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[第22回高校選手権]十文字(関東1)-主力の負傷離脱乗り越え、個に頼らないサッカーで挑む-

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

2014年1月に磐田市で開催される「第22回全日本高等学校女子サッカー選手権大会」。7年連続9回目の全国に挑むのが十文字(東京)である。

インターハイは都予選の準々決勝で晴海総合に敗れ、2大会連続の予選敗退を余儀なくされた。さらに最終ラインを束ねるDF荒木つばさが前十字靭帯を負傷する大怪我で戦列を離脱。イチからチームを作り直すことになる。

迎えた選手権予選、都予選ではインターハイ女王、村田女子と同組の決勝リーグを堂々の1位通過。決勝で修徳に3-0で下し、都大会3連覇を飾る。続く関東大会でも準々決勝で宇都宮文星を破り、全国出場権を確保すると、準決勝で湘南学院、決勝では修徳との再戦を3-0で制し、3年ぶりに関東大会優勝を飾る。

■予選結果
<東京都>
決勝リーグ:△2-2 村田女子
決勝リーグ:○3-2 晴海総合
決勝リーグ:○5-0 東久留米総合
決勝:○3-0 修徳

<関東>
2回戦:○7-1 浦和西
準々決勝:○4-1 宇都宮文星
準決勝:○2-0 湘南学院
決勝:○3-0 修徳

★★★

センターバックにDF熊谷汐華(2年)、MF野口彩佳(3年)とMF上津原千賀(3年)のWボランチ、両サイドハーフのMF山崎萌子(3年)、MF海老沢桃子(2年)、エースストライカーのFW佐藤美月(2年)など、今年のチームは要所要所に選手が揃っている。だが、石山隆之監督の言葉を借りれば、「作ってきた感じ」だという。

ベスト4入りした一昨年は、FW横山久美(湯郷Belle)という絶対的なエースを擁した。しかも大阪桐蔭との準決勝は延長までもつれこむ接戦の末の敗退だった。昨年度は2回戦で常盤木学園に敗れたものの、GK山田紅葉(早稲田大学)、DF下山田志帆、MF栃木栞(いずれも慶應義塾大学)といった軸となる選手がセンターラインを固めていた。

ここ数年に渡ってチームを牽引してきた主力が卒業したチームは、さらに前述したようにDF荒木を怪我で失った。もちろん主力が抜けたからといって、選手がいない訳ではない。1年時からチームの中心である野口を始め、個々の能力は高い。石山監督は最終ラインの穴埋めに着手し、個に頼ることのないチームを作り上げた。

負傷したDF荒木つばさの穴をチーム全員で埋める。 負傷したDF荒木つばさの穴をチーム全員で埋める。

荒木の代役には熊谷が選ばれ、1年生DF浦上光とセンターバックのコンビを組ませた。もともと中盤の選手だけあって、足元の技術は高い。味方ゴール前で相手からプレッシャーを受けても、簡単にボールを蹴りだすことはせず、落ち着いて味方に繋ぐ技術と判断力を備えている。「上手いし球際も強い」と、石山監督も絶大の信頼を置く。

センターフォワードには昨年の冬からレギュラーポジションを奪ったFW佐藤が大きく成長。「収まるし高さはあるし献身的だしスタミナもある」(石山監督)と、四拍子揃った大型FWだ。関東大会では初戦から決勝まで4試合連続6ゴールを挙げ、決定力の高さを身につけつつある。

そして、個に頼らないというチームコンセプトを体現するのが、このチームにとって替えの利かない存在でもある野口だ。INAC神戸の招待選手として参加した昨年2月のチャイニーズ・タイペイ戦では2得点を挙げる活躍。2011年にはリトルなでしこ(U-16日本女子代表)の一員として、AFC U-16女子選手権にも出場するなどチーム随一の経験を誇る。

自ら仕掛けて打開する力は抜群だが、悪い意味での我の強さは感じられない。現在はボランチとしてプレーしているからなおさらだが、攻撃的なポジションをまかされている時でも、自陣に戻って守備することも厭わない。頼りがいのある個であると同時に、欠かせないチームプレーヤーでもある。野口のワンマンチームではなく、「個に頼ることなく、全体でボールを動かす」(石山監督)プレーの浸透を武器に上位進出を目指す。