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[選手権予選]東北|1回戦 明桜の中盤を支える松木実冬、意識改革が生んだ貴重な同点弾

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

2大会連続の全国出場を目指す明桜(秋田)は11日、不来方(岩手)との1回戦に臨み、1−1からのPK戦を7−6で制して勝利。酒田南(山形)との2回戦に駒を進めた。

0−1で迎えた30分、同点ゴールを決めたのは、1年生MF松木実冬だった。

キャプテンでCBの北望来を中心に集中した守備が特長の不来方。前半はその圧力に対して受身となり、リズムに乗り切れない。27分には間接FK与えると、その後のCKを山本菜央が頭で合わされ、不来方に先制点を許す。

明桜も間髪入れずに反撃する。先制点の余韻も冷めやらぬ3分後。大場綾乃のパスに反応した奥山蘭が右サイドを駆け上がる。

「サイドの選手に入ったときに、真ん中に自分がいて、味方の選手がびっちりDFに付かれていた。自分がこぼれを狙ってスペースに思い切り走ったら、サイドの選手がボールをけってくれたので決めることができました」

ゴール前の状況を冷静に判断した松木は、ファーサイドに走り込むと、奥山からの折り返しをワンタッチで押し込んだ。

1−1で折り返した後半は、「1年間やってきた」(西澤監督)サイドアタックが機能する。

後半開始早々の2分には、右サイドを破った奥山が折り返すと、ゴール前の小沼優真がシュート。決定的な場面だったが、ボールは枠を捉えられない。12分には横山夏希が左から折り返したボールに中盤から走りこんできた松木がシュート。ボールはGK正面を突く。足が止まり始めた不来方に対して、明桜はチャンスの山を作り続ける。

松木がパスを出せば、大場が高い位置で攻撃に参加。大場がサイドに展開すると、ボールが動いている間に松木がゴール前へ顔を出す。息のあったボランチふたりの活動量が燃料となり、チーム全体が回るようになった。

中盤が機能した背景には、松木の成長がある。

「ボランチをする前はDFであまりゴールにからむ機会はありませんでした。なかなか前に出れない時期があって、どんどん前に出て絡んだり、裏に抜け出したりを練習でも意識して、今回も意識しました」

入学当初から献身的なプレーで中盤を支えていた松木だが、当時はシンプルにボールをさばいてリズムを作り出すプレーが多かった。インターハイ予選や夏休みを経て、現在はより活動範囲を広め、相手にとっても怖さを感じさせる選手へと、変わろうと取り組んでいる。

この日のゴールは成長の証であると同時に、チームが目指すサイドアタックが結果に結びついた瞬間でもあった。

試合は1−1のまま動かずに規定の80分を終了。つづくPK戦で松木は、5人目のキッカーという大役をまかされた。

「(普段は)大場を5人目にしているんですけど、その前に決め切りたかった」と西澤拓也監督。怪我でサブに回った、正GK今野里奈の代役を務める二ノ宮菜々子の負担を減らしたいという思いもあったのだろう。大場は3人目に、松木は1年生ながら5人目のキッカーに指名される。

結果は、3人目の大場が失敗するという想定外のものに。先行の明桜は4人目の三浦奈央が成功すると、不来方の4人目をGK二ノ宮がストップ。5人目の松木は、「練習でも決めたことがなかった。”ズバッとけってこい”と、チームメイトに言われました」とネットを揺らす。重責を果たし、サドンデスでのPK戦勝ちにつなげた。

2回戦の相手は、山形の酒田南。「先制したんですけど、後半追いつかれて同点で終わってしまいました。今度こそは気持ちをどんどん前に出して、勝ちたい」と、この大会中も成長つづける松木は、雪辱を誓っている。