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[選手権]修徳|驚くべき成長力で成し遂げた2年連続のベスト4

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

90分プラスPK戦の激闘の末、あと一歩のところで決勝には届かなかった。チームの歴史は塗り替えられなかったが、今シーズンの修徳は新チーム発足から進化を遂げてきた。

昨シーズンはスタメン11人中8人が3年生。しかも5人は修徳中出身という熟成されたチームだった。各ポジションに替えの効かない選手が名を連ね、インターハイと選手権でベスト4という好成績を残している。その3年生が巣立っていき、新たなチーム作りが始まった。

「(1月に開幕した)新人戦は不安でした。去年はディフェンス全員が3年生だったり、3年生が多いチームだった。プレッシャーではないんですけど、完成度は去年の方があった」(広沢実佳子)

CBに鏡玲菜がはいり、春のインターハイ予選からはボランチの中村澪葉が鏡に代わって最終ラインに下がった。試合展開によっては守備の強い中村が中盤に上がり、ボランチの鏡が最終ラインから攻撃を組み立てる。相手や試合展開によって柔軟にポジションを入れ替わることは、このチームの特徴のひとつとなっていく。

「できることが多い」と有賀重和監督はこのチームを評した。スカウティングで敵を丸裸にし、相手の良さを消すことが得意な修徳にとっては強みとなる。だがオプションが多いということは可能性が広がると同時に、作り上げるのに時間も要する。

3バックを試したり、選手の配置を変えたりと、試行錯誤を続けていった。チーム作り半ばのインターハイは都予選準決勝で十文字に敗れたが、選手権予選が始まる夏の終わりに向けて少しずつチームが固まっていく。

「負けたことで自分たちは去年とは違うと受け入れた。人がすごく替わったので、自分たちの形をつかめていなかった。選手権に向けて何を練習したらいいのか、自分たちはどこが強みなのかを考えながら、夏休みは練習しました」(中村)

選手権の大会中にもチームは成長していった。1、2回戦で山陽、花咲徳栄と選手権初出場校に快勝を飾り、準々決勝では名門・常盤木学園と対戦。初めて3位入賞を果たした5年前には、0−9で大敗した相手である。

試合は先制点を含めて、二度に渡ってリードしながら追いつかれる苦しい展開。「後半追いつかれた時は、簡単には勝たせてくれないと思った。だからこそ次の1点は大事にしたかった」と、この日2ゴールの平川杏奈は振り返る。そしてPK戦突入かと思われた後半アディショナルタイムに岩下友香が決勝点を生まれた。苦境に陥っても決して諦めない、強いメンタリティが備わっていることを感じさせた。

この試合で攻撃のキープレーヤーになっていたのが広沢だ。もともとはサイドで力強いドリブルを発揮するタイプだが、選手権予選でトップ下に定着。気の利いたポジショニングと献身的なプレーで攻守において支えとなる。

広沢がトップ下に配置されたことにより、中島彩音、岩下の両翼が力を発揮する。CFの平川と、鏡、杉下夏菜のダブルボランチも攻守においてサポートを得られるようになった。

目の覚めるようなミドルシュートを突き刺した2点目の場面では、ボールを奪った味方のすぐ近くでパスを引き出した。これもポジショニングの良さによるものだ。

”東京ダービー”となった準決勝は序盤から試合が動いた。前半8分に松本茉奈加のゴールで十文字が先行するとその2分後、この大会で初めて先制点を許した修徳もすぐさま反撃にでる。

GKからビルドアップを始めた十文字の陣内でボールを奪うと、広沢からのパスを受けた中島が右サイドをドリブル突破。折り返しは相手DFにカットされたが、こぼれ球を杉下が左足ダイレクトでシュート。十文字GK川端涼朱も反応するが、ボールはゴール右に飛び込んだ。

1−1のタイスコアになると試合は膠着する。十文字は両サイドを起点に攻めるが、修徳の守備は崩れない。決定機を作られた場面では、GK斉藤未菜の好セーブで防いだ。規定の90分では均衡が破れず、勝負はPK戦へと持ち込まれる。

両チームとも5人全員が成功し、サドンデスに突入する。9人目が成功した十文字に対して、修徳9人目のキッカーが枠を外してしまう。8−9でPK戦を落とし、修徳の挑戦は準決勝で幕切れとなった。

「すごく特徴的な選手が多かった。それがなかなかまとまらなかったが、全国大会になってすごくまとまり、特徴が出始めた。(決勝に進んで)もう一回やってみたかった。やりきったとは違うんですけど、この子たちは何をやってくれるんだろうと楽しかった」(有賀監督)

優勝した十文字に対してゴールを奪い、規定の時間で負けなかったのは修徳だけ。ここまでの過程を踏まえた上で、2年連続のベスト4(3位)は胸を張れる成績である。だからこそもう1試合、決勝で舞台でどんなプレーを見せてくれたのか、という想いを拭い去ることは難しい。だがその想いはきっと、新チームのスタートを切った1、2年生たちが引き継いでくれるに違いない。