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[東北新人戦]決勝|両校優勝に悔しさにじませる。聖和の新キャプテン・黒柳美裕に芽生えたリーダーの自覚

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)


悔しさの残る優勝となった。今シーズン5度目の顔合わせとなる常盤木学園との東北高校新人サッカー選手権大会の決勝戦。聖和学園はキックオフ直後に鮮やかな崩しから富井 寿里菜が先制点を挙げるが、前半9分に追いつかれる。後半9分には宮本春花のゴールでふたたび勝ち越しに成功するも、後半終了間際に同点ゴールを許してしまった。10分ハーフの延長でもゴールを奪えず、規定により両校優勝となったのだ。

チームの成長を感じさせるゲームではあったが、勝たなければいけない理由があった。32年に渡ってチームを率いてきた国井精一総監督にとって、この試合が最後の公式戦だったからだ。この春に定年を迎える国井総監督にタイトルを捧げたい。そんな想いで聖和イレブンは試合に臨んでいた。

「どうしても勝ちたいから勝ってくれと、生徒たちに頼んでいた。勝てるかなと思っていたけど最後に同点弾をやられてしまった。悔しいの一言です」と、今シーズンから監督に就任した曽山加奈子監督は悔しさをにじませる。

DF黒柳 美裕も同様の想いを口にした。「国井先生が最後の大会だったので、絶対に勝ちたいという気持ちをみんな持っていた。優勝という形で終われたことは嬉しかったですけど、やっぱり勝って終わりたかったです」。

★★★

単独優勝という形で国井総監督を送り出すことはできなかった。それでも新チームとして得たタイトルは大きな一歩である。そして結果だけでなく、試合内容にも進歩の跡が見られた。

常盤木とは昨年11月の高校選手権東北大会決勝で対戦。スコアレスで突入した延長に2点を奪われ0−2で敗れている。今回は勝ち越し点こそ奪えなかったものの、相手の猛攻にも守備が崩れることなく耐え抜いた。「延長戦でも集中力を切らさないで戦えた。少し成長したと思います」。守備の奮闘を称えた曽山監督は、続けて話す。

「キャプテンの黒柳の成長が大きい。周りをよくみてプレーできるようになった。技術的なプレーもそうですし、チームメイトへの声かけの部分でも成長したとすごく感じます。安心してボールを任せられる」

スピード、力強さを誇る常盤木の攻撃陣に対して、CBのコンビを組んだ中鉢梨穂とともにペナルティエリア内への侵入を阻み続けた。長身を活かしたヘディングの強さも発揮し、背後を狙ったボールもはね返す。「体を張って守ってきた。絶対触るぞと、気持ちの面でも負けないというのが伝わってきた」と、常盤木のFW沖野くれあも聖和DF陣との激闘を振り返る。

センターバックのコンビを組んでいた西城瑞希が抜け、両サイドバックは公式戦の経験がまだ少ない。守備の要としての役割だけでなく、今シーズンから就任したキャプテンとしての責任の重さを実感している。

「今までの先輩がキャプテンマークを巻いていたことの重みを知りました。(前キャプテンの)莉子(下山)さんとか(前々キャプテンの)朱々奈(高柳)さんは本当にすごいなと痛感しています」。

一方で、「もっと周りを見なきゃなと、自然とみんなのことを見ようと思えるようになった」とも話している。キャプテンとしてどうあるべきかを考えることでそうした想いが芽生えた。それが前述した曽山監督の評価につながったのだろう。

今夏には宮城でインターハイが行われる。「絶対に出たいという気持ちが強くなっている」(黒柳)。地元で開催される全国大会には是が非でも出場したいところだ。新人戦ではすっきりとした勝利とはならなかったが、インターハイでの活躍こそが国井総監督の恩返しにもなるはずだ。