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[なでしこジャパン]U−20効果で進化を示したコスタリカ戦

トピックス 大住良之(サッカージャーナリスト)
 なでしこジャパンの進化が止まらない。

 4月9日(日)、なでしこジャパンは熊本の総合運動公園陸上競技場にコスタリカを迎えて「熊本地震復興支援マッチ」を行い、3−0(得点:横山久美、田中美南、籾木結花)で快勝した。

 3月のアルガルベカップではFW横山が「エース」の座に名乗りを上げる4ゴールを決め、初代表の左MF長谷川唯も存在感を見せた。長谷川とともに昨年のU−20女子ワールドカップで活躍したDF北川ひかる、FW籾木も短時間の出場ながら光るプレーを見せ、2019年の女子ワールドカップ(フランス)、2020年東京オリンピックに向けて若い世代が堂々と世界の強豪に渡り合えることを示した。コスタリカ戦は、その流れをさらに強めるものだった。

 北川はアルガルベカップのアイスランド戦で右足を骨折してリハビリ中だが、このコスタリカ戦に向けては、長谷川、籾木に加え、DF市瀬菜々、MF隅田凜、そしてFW上野真実の3人も、昨年のU−20から引き上げられ、なでしこジャパンに加えられた。そして市瀬は2011年ワールドカップ優勝メンバーで今回主将を任された熊谷紗希と組んでセンターバックとしてフル出場、安定したフィードなどで非常に優れたプレーを見せ、隅田と上野は交代出場して堂々たるプレーを見せた。

 コスタリカは2015年ワールドカップでスペインに1−1、韓国に2−2、そしてブラジルに0−1という結果を残した強豪。体格も大きく、フィジカル面ではなでしこジャパンをはるかにしのぐ相手だった。

 なでしこジャパンの布陣は、GK池田咲紀子、DFは右から高木ひかり、熊谷紗希、市瀬菜々、宇津木瑠美、MFはボランチに中里優と阪口夢穂、右に中島依美、左に長谷川唯、FWには横山久美と田中美南が並んだ。

 GK池田は、昨年のU−20日本代表だった平尾知佳が体調不良で出場を辞退したのにともなってアルガルベカップに交代で選出され、ノルウェー戦(2−0で勝利)でデビュー、非常に優れたプレー、なかでも「11人目のフィールドプレーヤー」としての高い能力を見せ、注目された選手。今後フィジカル能力に優れた山下沙也加とポジションを争っていくとみられる選手だ。

 もうひとつの注目は、昨年高倉麻子監督が就任して以来、DF熊谷、MF宇津木、FW横山とともに全7試合に出場してきた小柄なMF中里優を、これまでずっとプレーしてきた右MFではなくボランチとして起用、ずっとボランチだった宇津木を左サイドバックに回したことだった。

 この2つの注目ポイントは、いずれも良い結果に出た。池田は非常に安定したプレーでチームを支え、中里は持ち前の正確なパスだけでなく、球際の強さも見せた。

 コスタリカの厚い守備に手を焼いていたなでしこジャパンだったが、前半23分、エースの横山がその呼称にふさわしいスーパーゴールを決める。

 右からサイドバックの高木が中央に向かって切れ込み、ペナルティーエリア正面手前にボールを受けにきた横山の足元にパス、そのままリターンを受けようとペナルティーエリア内に走り込む。足元にボールをキープした横山は一瞬リターンパスを出す体の向きをつくって至近距離でマークする相手DFを動かすと、すかさず右足で切り返し、一歩押し出して左足シュート。これがゴール右上隅に決まったのだ。わずか1メートルほどのスペースをつくり、そこで決定的な仕事をする—。これこそストライカーだ。

 後半、高倉監督は中里に代えて隅田凜をボランチに入れ、右MFを中島から籾木結花に代えた。これでピッチ上には、DF市瀬、MF長谷川に加え、MF隅田、MF籾木と4人の「U−20組」が並んだ。さらに後半24分にはエースの横山に代えてFW上野真実を投入、フィールドプレーヤーの半数が「U−20組」となって、後半29分には籾木のアシストで田中が、さらに37分には地元熊本県出身の上野のアシストで籾木が決めて3−0と相手を突き放した。

 コスタリカも次々とメンバーチェンジしてチーム組織がばらばらになったこともあり、終盤のなでしこジャパンは面白いようにパスをつないで決定的なチャンスをつくり続けた。

 高倉監督は昨年のU−20代表選手たちをひとりずつチームに固定してきた。その結果、なでしこジャパンは昨年までとはまったく違ったレベルの技術と攻撃のスピードをもつチームとなりつつある。

 ことし12月に東京で行われる「東アジアカップ」では、2019年、そして2020年に向けた、まったく新しいなでしこジャパンが姿を現すに違いない。 (了)