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[平成29年度高校総体]2年ぶり優勝へ王手、折れない心を身につけた日ノ本学園が決勝進出

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

野を超え山を超え、2年ぶりとなる決勝の舞台に戻ってきた。

準決勝2試合が行われた3日、みやぎ生協みやぎ野サッカー場では日ノ本学園と作陽が対戦。後半5分までに2−0とリードしながら、アディショナルタイムに同点ゴールを許した日ノ本学園が、PKの末に勝利をもぎ取った。

ポゼッションする日ノ本学園に対して、コンパクトな守備から縦に速い攻撃を仕掛ける作陽という構図で始まった試合。日ノ本学園は最終ラインからしっかりとビルドアップしながらボールを動かすが、序盤は守備が機能した作陽もカウンターを仕掛ける。最初のビッグチャンスは9分。澁川鈴菜のクロスを作陽GK中村香苗がパンチング。こぼれ球にいち早く反応した宮本華乃がフリーでシュートを放つが、ボールを枠を捉えられない。

試合の均衡が破れたのは26分。GK米澤萌香の正確なフィードから始まった。米澤からのパスが左サイドの澁川に渡ると、後方から動き出していた左SB松永未衣奈にスイッチ。松永はドリブルで中に切り込み、ゴール前の内藤夏鈴にパス。他の選手の動き出しに釣られたDFの死角から入ってきたは、周りにいた3人のDFが寄せる間もなく左足を振り抜きゴールネットに突き刺した。

後半も立ち上がりから日ノ本学園が主導権を握る。素早い攻守の切り替えと連動した守備で作陽の攻撃を封じ込み、セカンボールを拾って相手陣内に押し込んでいく。開始早々の5分。左サイドで澁川がドリブルを仕掛けると、相手DFのファールを誘ってPKを獲得。これを伊藤美玖がゴール右隅に蹴り込み、2点のリードを奪った。

だが作陽もこのままでは終わらない。失点から3分後の後半8分に相手陣内でFKを獲得すると、初村和香が蹴ったボールにフリーで抜け出した山﨑涼帆が頭で合わせて1点を返す。さらにCB蓮輪真琴を中盤に上げて攻勢を強めると、アディショナルタイム5分に山﨑がFKを直接叩き込み、試合は振り出しに。直後にタイムアップの笛がなり、決着はPK戦へと持ち込まれた。

★★★

「今年の私のテーマが”器”なので、こういうこともあると受け入れて、過去を見ないようにというのを自分で心がけた。戻ってくる選手の顔が硬かったので、そこは笑ってと言った。PKは自信があったので、リラックスさせることだけを考えた」と、田邊友恵監督はまず自分自身が切り替えることで選手に笑顔を取り戻させた。

勝利を目前にしながらPK戦に持ち込まれた日ノ本学園の選手たちにプレッシャーがかかることは想像に難くない。だが、PK直前の円陣を組んだ選手は力がみなぎり、笑顔の選手もいたほどだ。一人目の伊藤美玖がチームの2点目に続いてPKを成功。さらにGK米澤が作陽の一人目を止めて波に乗り、4−2で制した。

今大会は初戦から楽な戦いはひとつもない。1回戦(vs 日本航空)、2回戦(vs 前橋育英)では、リトリートする相手の守備網を崩すことに手こずり、この日も最後のワンプレーで追いつかれてPK勝ち。自分たちのやりたいサッカーをピッチで表現できたとは言えないが、それでも終わってみれば勝者は日ノ本学園だ。それが今年のチームの強さのひとつでもある。

「これだけ苦しい戦いをしてきたということは、本当に苦しい時に糧になると思う。最後は勝てればいい。これまでやってきたことを全て出そうとチャレンジするからこそ、うまくいかなくても勝てると思う。この3試合を無駄にしないように、明日の決勝も戦いたい」とキャプテンの牛島理子は話す。藤枝順心との決勝はこれまで以上に困難の伴う試合になるかもしれないが。ここまで積み上げた経験を糧に栄冠を掴み取る。