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[平成29年度高校総体]値千金の決勝点!地元強豪の門を叩いた澁川鈴菜が日ノ本学園を日本一へ導く

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

日ノ本学園が2年ぶり5度目の優勝を果たした。

ユアテックスタジアム仙台で行われた、宿敵・藤枝順心との決勝戦。素早いプレスと攻守の切り替えからテンポよくボールをつないで相手陣内に侵入していく藤枝順心に対して、準決勝までと同様に我慢の戦いを余儀なくされる日ノ本学園。押し込まれる中で前線のサポートが得られず、前半はシュート1本に終わった。

ついに試合が動いたのは後半18分。右サイドでボールキープしたFW宮本華乃がサポートに走ってきたMF伊藤美玖へパス。伊藤がダイレクトでゴール前へクロスを上げると、このボールに走り込んだMF澁川鈴菜が頭で押し込んだ。

「クロスを上げてくれた伊藤選手はキックの精度がいい。走ったら絶対出てくると思って走った結果、めっちゃいいボールがきてフリーで決めることができました。準決勝までは自分たちは見て出して、ひとつテンポが遅かった。昨日の夜のミーティングで”信じて走ることが少ない”と(田邊監督に)言われた。それを意識した結果がゴールにつながったと思います」と、値千金のゴールを振り返る。

1回戦(vs 日本航空)では2アシストで3−0の勝利に貢献。2回戦(vs 前橋育英)でも宮本の決勝点を演出している。さらに作陽との準決勝では内藤夏鈴の先制点の起点となった。全ての試合で得点に絡み、貢献度の高いプレーをしているが、ここまでノーゴール。それまでのサイドではなく、宮本とツートップを組んだこの日はゴールへの意欲に燃えていた。

「この大会はアシストばっかりだったので、そろそろゴールが欲しかった。決勝で決めてやろうとずっと思っていました。その気持ちがプレーに出たと思います。(ツートップは)クロスに対して、自分みたいなでかいのがいたら相手も嫌だろうということで自分を真ん中に置いて、ヘディングですらして、華乃さんが抜けていくという作戦でした」

優勝が決まった瞬間、抱き合って喜びを分かち合う澁川鈴菜とアシストした伊藤美玖。 優勝が決まった瞬間、抱き合って喜びを分かち合う澁川鈴菜とアシストした伊藤美玖。

INAC神戸レオンチーナ出身の2年生。登録メンバーでは唯一の兵庫県出身だ。姫路市を所在とする日ノ本学園だが、チーム全体を見渡しても兵庫県出身の選手は多くない。ほとんどいないと言っても言い過ぎではないだろう。”行っても試合に出られない”と、全国から有力選手が集まる日ノ本を敬遠する空気があるという。

「自分が中3の時の選手権を見に行きました。日ノ本のサッカーを見ていてここがいいと決めました。日ノ本はつないでつないでというサッカーだったので、自分みたいな大きい選手はいません。自分がスパイスになれればいいと思いました」

厳しい競争があることは覚悟した上で、しっかりとヴィジョンも持って名門の扉を叩いた。1年目のインターハイでは全3試合に先発出場。その冬の選手権でも全2試合に出場した。0−3から追いつき、PKの末に星槎国際湘南を下したこの選手権1回戦では、2点目と3点目を挙げている。

166cmの長身とキック力を活かし、入学前に思い描いた通りのプレーで確固たる地位を築いているが、まだ満足はしていない。「自分の中で今の3年生が本当に偉大なんですけど、その中に自分も食い込んでチームを引っ張っていける選手になりたい。選手権は兵庫開催なので、地元優勝できるようにまた全員で気持ちをひとつにして頑張りたい」と、チームの中心として夏冬二冠に導く決意だ。