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[神奈川県高校新人戦]がむしゃらに駆け抜けた一年、湘南学院の岩佐祐美が残した成長の跡

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

1月20日に行われた第24回神奈川県高校女子サッカー新人大会の準決勝。湘南学院は藤沢清流と対戦した。昨年のインターハイ予選では、木村みき監督と当時のキャプテン・佐久間未稀が退場処分となっているこのカード。そうした因縁がなくとも常に1点勝負となり、ピッチの至るところで両チームの意地がぶつかり合う顔合わせだ。

昨秋の選手権関東大会1回戦で修徳に敗れ、6年ぶりに本大会の出場権を逃した湘南学院。新たな船出をしたチームを先導したのはMF岩佐祐美(1年)だった。

試合は立ち上がりから藤沢清流がロングボールを放り込み、防戦一方の展開に。ゴール前ではね返すのが精一杯となった湘南学院だったが、虎視眈々と反撃機会をうかがっていた。前半17分、FW伊藤香吹(1年)からのパスを受けると、ドリブルでゴールに向かって突き進む。進路を阻もうと体を寄せるDFに負けじと右足を振り抜き、ゴールネットを揺らした。

「ドリブルでかわしていこうと思ったんですけど、パスがきた時にコントロールをミスってしまった。ボールをもう一回見たら相手もゴール前ということで焦って空振りして(ボールが)前に流れてきた。インサイドで決めようと思ったんですけど、ちょっとタイミングをずらしてトーキックでけった」

この得点が決勝点となり、1−0の勝利を飾った。昨年末の高校リーグでは藤沢清流が1−0で勝利している。この試合が公式戦ラストゲームだった湘南学院の3年生は、引退試合を勝利で飾ることを阻止された。それからもずっと1、2年生の練習相手を務めてきた3年生も大喜び。試合後はともに喜びを分かち合った。

「率直に疲れました」と安堵の表情を見せる岩佐はこの日、インサイドハーフで先発出場。中学時代(Y.S.C.C.コスモス)から磨き上げてきたドリブルで相手DFに脅威を与えつづけた。(先制点の場面のように)周囲といい関係を作りながら、味方が作ったスペースに走りこんでボールを引き出すなど、オフザボールの動きにも優れている。

1年生ながら主力のひとりとして攻撃をけん引する岩佐。しかし、その持ち味を最初から発揮できたわけではなかった。今シーズン、公式戦での出場はあまりない。今でも忘れらない試合があるという。

「インターハイ県予選決勝で、キャプテンがレッドカードで出られない代わりに自分が出させてもらったんですけど、緊張しすぎて何もできずにHTで交代しました。公式戦のユニホームを着るとその試合をすごく思い出して、悔しいという思いがある。このユニホームで最後全員で笑いたい。その試合が終わってからずっと思っていました」

前述した藤沢清流戦で退場したキャプテンの佐久間が出場停止となり、代わりに抜擢されたのが岩佐だった。試合は1−3で敗れ、岩佐もシュートを打つことなく退いている。「2年生になったら、監督から求められることがもっと高くなってくる。1年生のうちはがむしゃらにと先輩たちも言ってくれたので、全員で声を出して全力でやってきました」と、必死に先輩たちの後を追いかけてきた。

脇目も振らずにゴールへ突き進んだ先制点の場面はもちろん、決定的な場面でシュートを外すと、ピッチに思い切りこぶしを叩きつけて悔しがる。印象に残るシーンだった。がむしゃらに、ひたむきにプレーするだけでない。1−0のまま突入した終盤、チームが一番苦しい時間帯。岩佐は決して下を向くことなく、声を出しつづけてチームメイトの背中を押した。これには年末に一週間限定でキャプテンを任されたことが活かされたという。

「自分が下を向いたらチームも下を向いてしまうということが、そこでわかった。試合中は失敗しても常に前向きにということを意識して今日もやりました」

勝利をつかみ取った一週間後の決勝では、延長の末に1−3で星槎国際湘南に敗戦。笑顔で大会を締めくくることはできなかった。それでも試練を乗り越えて成長したこの一年のように、悔しさを原動力として新たなシーズンに挑む。