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[めぬまカップ2018]成長力でつかんだ初の栄冠、飛鳥が花咲徳栄を下して初優勝

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

第24回選抜高校女子サッカー大会「めぬまカップ」in熊谷は3月29日、利根川総合運動公園サッカー場などで順位決定戦を行った。決勝では飛鳥(東京)と花咲徳栄(埼玉)が対戦。前半に先制した飛鳥がリードを守り切り、1−0で勝利を収めた。

予選リーグを5連勝で首位通過した飛鳥は、準々決勝で十文字(東京)を2−1で破ると、準決勝ではPKの末に湘南学院(神奈川)を退ける。関東の強豪を連破し、3年ぶりの決勝に駒を進めた。

★★★

飛鳥に先制点が生まれたのは前半12分のこと。猪又紅音(1年)が左サイドから折り返したボールがゴール前で競り合いになる。こぼれ球に反応した酒井夏(2年)が渾身の左足シュートを放つと、ボールは人混みをすり抜けてゴール右隅に吸い込まれて行った。「あのシュートはまぐれに近いけど素晴らしいシュートだった」と金澤真吾監督をも驚かせるゴールが決勝点となった。

ハイプレスを仕掛けてくる花咲徳栄に対して、飛鳥もひるむことはなかった。飯田若奈(3年)と中谷汐音(3年)の両CBを中心に堅固な守備を構築する。押し込まれる場面もあったが、最終ラインがしっかりとはね返して決定機を作らせない。堅い守備からのカウンターで相手の背後を突き、ゴールを脅かした。

「トップの汐音(中谷)をCBに置いてからチームが落ち着いている。(中谷は)足が速くてしっかり蹴れるし、ヘディングもできる。飯田は空中戦や前には強いんだけど、裏に弱い部分がある。それを補うために汐音が必要だった」と金澤監督は話す。

中谷は16年のJKリーグで得点王に輝き、東京トレセンなど選抜チームでも活躍する左利きのフォワードだ。この試合では、スペースカバーに加えて、得意の左足キックでカウンターの起点となり、慣れないはずの守備でも奮闘した。

1年からレギュラーを張る飯田は、今大会の得点王を獲得したCF新井優紀(3年)ら花咲徳栄のFW陣に仕事をさせず、キャプテンとしての重責を全うした。それぞれの良さで互いの欠点を補った両CBは、チームの原動力となった。

中谷が抜けた前線では、飛田楓(3年)と猪又が2トップのコンビを組んだ。後半3分には飛田のパスを受けた佐藤莉子(3年)がドリブルを仕掛けてシュート。15分にはスペースに走り込んだ猪俣がDFと競り合いながらフィニッシュに持ち込んだ。猪俣は23分にも決定機を作っている。

「あいつが前で追いかけてくれた」と金澤監督が褒め称えたのが飛田である。攻撃ではスペースに出されたボールに走りこみ、守備に転じれば前線からのプレスで相手DFを追い込んだ。決勝でのパフォーマンスが評価され、大会ベスト11に選出されている。

実は彼女のサッカー歴は約2年。いわゆる”高校デビュー”の選手である。中学では陸上競技に打ち込み、主に短距離で大会に出場していた。初心者とは思えないプレーぶりどころか、今やチームに欠かせない戦力のひとりである。

「うちに来てくれれば伸ばすよといいたいけど、その子たちにも選択権がある。今年も1年生が入って、それぞれ課題はあるけど、少しずつ伸ばしていこうかなと思う。それで戦うしかない」

今年のチームは、「ここ数年間でも一番選手層が薄い」(金澤監督)。ならばいる選手を育てるしかない。ここ最近はジェフ千葉レディースOGの阿部麻美コーチに指導をまかせ、金澤は一歩引いた形で練習を見守っていたという(試合前の集合写真ではこれまで通り、主役を張り続けている)。実際、昨年のJKリーグでは阿部コーチが監督、金澤監督がコーチとして、大会に臨んでいる。

「優勝は出来過ぎ」と金澤監督も驚きを隠せないが、東京都新人戦ベスト4に続いて、めぬまの舞台でも成長したところを見せてくれた。めぬまカップにも参加していた新1年生を加えたこのチームの成長の伸びしろは無限大だ。

<優勝の軌跡>
▽予選リーグ
○2-1 久喜
○1-0 帝京長岡
○2-0 神戸弘陵
○1-0 八千代松陰

▽決勝トーナメント
○2-0 帝京長岡
○2-1 十文字
○1(10PK9)1 湘南学院