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[山梨県高校総体]原動力は3年生の経験!薄氷を踏む思いで優勝を勝ち取った日本航空

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

山梨県高校総体は11日、押原公園人工芝グラウンドで4日目の1試合が行われ、日本航空が甲府商業に4ー0で勝利した。4チームによる総当たりのリーグ戦で争われた大会は全日程が終了。日本航空と帝京第三が勝ち点7で並んだが、得失点差で1点上回った日本航空の優勝が決まった。6月2日から群馬県で開催される関東大会に出場する。

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日本航空が3ー0でリードしたまま試合は終盤に突入する。このまま試合が終われば勝利するが、得失点差と総得点で帝京三と並んでいるため、レギュレーションにより優勝決定は抽選に委ねられることになっていた。日本航空はどうしてもあと1点が欲しかった。

刻一刻と残り時間が減っていくなか、中盤でボールを持った谷島利実(1年)がスルーパスを放つ。だが、素早く察知した甲府商業GK志村奈月紀(3年)にキャッチされ、味方にはつながらない。すると周囲から"他にも選択肢があったのだから焦るな"とすかさず声がかかった。

「縦、縦と行っちゃうとボールが切れるので、それだったらサイドから大事に行こうと話していました。あの時は横にサイドバックの選手がいたので、そこに出せばと言いました」とキャプテンの田澤友梨奈(3年)は振り返る。そこには右SB中西彩稀(3年)がフリーとなっており、前方にはボールを運べるスペースがあったのだ。相手のミスを逃さず、小林千夏(3年)が”決勝点”を決めたのは、この直後のことだった。

最終的に得失点差、いかに多くのゴールを決めるかの争いとなった今大会。日本航空は富士北稜との初戦(5/5)に17-0で勝利したものの、11点を奪った前半に対して後半は6ゴールしかできなかった。帝京三との直接対決(5/9)も引き分けに終わり、優勝を決めることはできなかった。

リーグ最終戦では帝京三が富士北稜と先に対戦(5/10)。日本航空と同じゴール数(17点)を最低限の目標とし、より多く得点して、翌日に試合を行う日本航空にプレッシャーをかけたいところだった。だが富士北稜も最後まで集中を切らさず、また帝京三にもプレッシャーがかかったのか、結果は16-0。これにより、日本航空のノルマは4点差以上の勝利と決まった。

そして迎えた甲府商業との最終戦、堀祥太朗監督は帝京三戦で先発した3年生7人をふたたびスタメンで送り出した。「シナリオは決まっている。なるようにしかならないから、やるべきことをしっかり焦らずやっていこう」と堀監督が声をかけると、力が入っていた選手たちの気持ちが”スッと”落ち着いた感じがしたという。

汚名を挽回するチャンスを得た3年生にも指揮官の思いは十分伝わっていた。「3年生を多く出してもらっていた。その分経験もあったので、しっかり中で話すことは話して落ち着かせる。そこだけはしっかり声を出そう」(田澤)と話し合った。堀監督の言葉を借りれば、試合開始の時点でシナリオは決まっていたのかもしれない。リベンジする準備は整っていた。

先陣を切ったのはキャプテンの一発だった。前半14分、C Kからヘディングシュートを叩き込み先制ゴールをあげる。「自分が得意なのはヘディングなので、そこでチームに貢献するためにセットプレーで1点取ってやるという気持ちで入りました。体で押し込みました」帝京三戦につづく、2試合連続ゴールでチームを勢いづかせる。

23分には城倉歩未(3年)のスルーパスから小林千夏(3年)が決めて追加点。その1分後には左サイドに切り込んだ加藤梨子(3年)がマイナス方向に折り返すと、2列目から走りこんできた谷島がゴール隅に流し込む。前半は徹底したサイド攻撃が実り、3点をリードして折り返すことができた。

あと1点が遠かった後半もチャンスは作れていた。8分には小林のパスから加藤がゴールネットを揺らすがオフサイドの判定。16分には谷島がボールを運んでミドルシュートを放つが、ゴールポストに阻まれる。それでも我慢強く攻めつづけ、30分の小林のゴールに結びつけた。

「焦らず急ぎすぎず、やるべきことをちゃんとやり続ける」。堀監督が口を酸っぱくして言い続けてきたことを選手がピッチで表現しつづけた。やるべきことを忘れず、それを仲間に伝える冷静さとコミュニケーション能力の高さが得失点差わずか1の分かれ目となった。
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