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[高校総体2018]MVP級の存在感、鉄壁の守備を誇った常盤木学園CB大河内友貴

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

常盤木学園の初優勝で幕を閉じたインターハイ。個人賞では13名の優秀選手が発表されたが、最優秀選手(MVP)は設けられなかった。MVPを選ぶとするなら、常盤木学園のCB大河内友貴(3年)を挙げたい。

今大会は全4試合フル出場を果たした。3バックの中央で最終ラインを統率。背後にロングボールが放たれればいち早く帰陣し、前方にピンチの兆しを見つければ迷うことなく駆けつけた。研ぎ澄まされた危機察知能力に加え、スピードと当たり負けしない強さで敵を潰し続けた。

大会直前の練習で正GK今井佑香(3年)が負傷し、出場が難しくなった。昨年から主要な大会ではほぼフル出場を続けてきたキャプテンを欠くなか、守備の責任を一身に背負ってピッチに立ち続けた。

大会序盤はイージーなミスや連携不足からの失点が続いた。守備に安定感を欠くなか、苦しい流れでも気持ちを切らさず、反撃に転じることができたのは大河内を中心とした守備陣の奮闘があればこそ。守備陣の奮闘に攻撃陣も応えるという、いい循環が生まれた。彼女の活躍なくして、優勝はなかっただろう。

選手権覇者、藤枝順心との準決勝では初先発した今井が試合途中の怪我で交代を余儀なくされた。それまで的確なコーチングで抜け目のない守備を構築してきた守護神の離脱はまさに非常事態。その瞬間からそれまで以上に声を発し、仲間を鼓舞しつづけたのが大河内である。

「自分がまず盛り上げなければ、みんなが盛り上がらない。普段の練習中から声を出しています。自分が率先してやらなきゃというのがありますね」(大河内)

経験の浅いGK伊藤春紀(2年生)を支えて奮闘する一方、厳しい一面ものぞかせている。作陽との2回戦。動揺を隠せない伊藤に対して、「お前がしっかりやれ!」と一喝したのだ。

「ちゃん(今井)も3年生だし最後(のインターハイ)なので、怪我して悔しいと思う。その想いをしっかり背負って、”ちゃんだったら”とか言いたくないんです。だからその分、お前がちゃんとやってくれよという気持ちでした。それを言うためには人一倍責任感を持たないといけないし、何もやらないのに言っても誰も付いてきてくれない。人一倍やって、言うことを心がけています」

聞いているこちらがヒヤヒヤするほど厳しい声だったが、気持ちを揺さぶられる一言でもあった。

中学時代はFC JUBELGOL(北海道)というクラブチームで男子とプレーしていた。「今まで男子とやっていたから女子には負けない」と当たり負けしない自負がある。だがもともとはフォワードだったという。越境入学した常盤木学園でレギュラー争いを勝ち抜き、ポジションを確保するにはいかなる努力をしてきたのだろう。

「1年生の時は杉田めい(INAC神戸レオネッサ)さんがいたり、(当時の)3年生はみんな尊敬できる人ばかりでした。積極的に3年生の練習に入り、何かあったら聞いて直してという感じで1年生の時からやってきました」(大河内)

常盤木は練習の準備などを勝手がわかっている3年生が率先して行う。また先輩に対して敬語を使ったり、さん付けする必要はなく、上下関係も存在しない。1年生にとってはサッカーに集中できる環境が整っているが、それをどう生かすかは選手次第でもある。

大河内は自ら学びにいき、与えられた環境を最大限に生かした。毎週月曜日の早朝に行われるモーニングセミナー(講話)、仙台駅前の朝清掃のボランティアなど、ピッチ外の活動にも取り組んできた。

「そういうことを手を抜かずにやっていたことが結びついているかなと思います」と、ピッチ内外で貪欲に取り組んできた成果を実感している。もちろん、ここで満足することはない。「選手権で優勝すること。二冠です」と、次なる目標を見据えている。