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[高校総体2018]チャレンジリーグで敗戦と向き合い、成長を遂げた常盤木学園

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

次々と強豪校を破ってインターハイを制した常盤木学園だが、今シーズンのチャレンジリーグEASTは5勝1分9敗で6チーム中5位。残留争いの渦中にある(プレーオフ順位決定戦 9位-12位に臨む)。過去最多となる9敗を喫したこのチームだからこそではないかと、作陽との2回戦を終わったあたりから、考えるようになった。

1、2回戦では計4失点しているが、これは大会直前に正GK今井佑香(3年)が負傷離脱した影響が大きい。ゴールマウスに立つことになった伊藤春紀(2年)とDFラインの連携などを合わせる時間はほとんどなかっただろう。だが、守備は試合を重ねるごとに落ち着きを取り戻し、準決勝と決勝では完封勝利を飾っている。

また、チャレンジリーグでは後半アディショナルタイムの失点が3試合あったが、今大会は無失点な上に4点を奪っている。クーリングブレイクと飲水タイムを設け、アディショナルタイムが増えたことと無関係ではないが、それでもチャレンジリーグと比べて長足の進歩を遂げている。試合ごと、そして試合の中でも波があり、勝ち点を落としていたチームは、インターハイで勝負強さを発揮した。

選手はどう考えているのだろう。

「今年はいっぱい負けたけど、負けをこの大会に活かせている。試合のビデオをみて反省するんですけど、自分たちで4時間かけてやりました。練習でもその反省の内容を意識して、今日はここを改善しようねと次の試合、次の試合と臨んでいった。反省を手を抜かなかったことが、今になって実になっているのかなって」(大河内)

「チャレンジリーグの経験が自信になっている。スピードもプレッシャーも速いので、前もってみて、スペースを意識してプレーしていました。最後の最後でやられることが多かったので、逆に今大会では自分たちが最後の最後で点を取ってやるという気持ちでした」(中村)

公式戦→分析→話し合い→修正(トレーニング)→試合というサイクルを4月のチャレンジリーグ開幕から毎週のように繰り返してきた。主に、なでしこリーグ昇格を目指している社会人チームとの真剣勝負である。この試行錯誤の量と質は、他チームの追随を許さない。

軍司美玖、大河内友貴柴山史菜。常盤木の3バックを支えた3年生である。今シーズンはそれぞれが怪我で離脱する時期があり、この3人で最終ラインを組んだ試合はわずかに1試合しかなかった。

「軍司が怪我でいない時は守備が安定しなかった。そういう時は常に話し合っていました。軍司がいなくても、元のメンバーが揃わなくても、そのメンバーで試合に向かわなくてはいけない。だから誰が入っても同じサッカーができるように心がけてやっていました」(大河内)

今大会、4試合中3試合でボランチの髙橋佳里(3年)に代わって佐々木涼花(3年)が後半途中からピッチに入った。軍司が負傷離脱中は右センターバックを務めていた佐々木が最終ラインの左に入り、左センターバックの柴山がボランチに上がるポジション変更だ。

佐々木は昨年までチャレンジリーグ出場1試合。今シーズンは第11節(6/16)に初めてベンチ入り、つづく第12節(6/24)に初出場して4試合に出場した。柴山をより高い位置で攻撃に関わらせることができたのは、佐々木の安定したプレーがあってこそ。怪我の光明ではないが、結果的に多くの選手がチャレンジリーグに出場したことで誰が出てもチーム力が安定するようになった。

攻撃面でも同様のことが言える。

今大会の得点者は下記の通り。「自分たちが共有することのひとつとして、距離感は近めにいこうと話しています」と、1回戦から3試合連続でゴールを決めた津田真凛(3年)が言う通り、いい距離感で多くの選手が攻撃に関わっていた。ひとりの選手に頼ることなく、どこからでも点を取れることがチームの強みとなった。

<得点者一覧>
中村恵実:4得点
津田真凜:3得点
北川愛莉:3得点
加藤栞:1得点
西野朱音:1得点
高橋果歩:1得点

4試合すべてに途中出場し、十文字戦の決勝点を含む3ゴールをあげた北川愛莉(3年)。そんな彼女がトップチームで出場機会を得たのは今年5月のこと。貴重な交代カードのひとりとして、すっかりトップチームに定着している。

昨年のインターハイでは登録メンバーに入ることができず、Bチームのメンバーとしてインターハイ後に行われたエスパルスカップ、東北リーガファイナルなど各地を転戦していた。東北リーガでは得点王のタイトルを獲得している。

北川をはじめ、佐々木涼花、髙橋佳里、安澤莉子は昨年のインターハイで登録メンバーに入れず、エスパルスカップに出場していた3年生である。こうした選手がトップチームに上がり、活躍することはBチームの選手たちにも刺激になっているのではないだろうか。

昨年度のチームからは滝川結女、沖野くれあがなでしこリーグ1部のクラブに加入。個の能力に優れた選手が多く、優勝する力を備えたチームだった。だが、地元開催のインターハイではベスト8(2回戦敗退)に止まり、選手権は初戦で姿を消している。

「歴代の先輩方はうまい人が多かった。しかも歴史もあるので、頑張らなきゃいけないとプレッシャーがあった。去年は(沖野)くれあ、(滝川)結女がいたんですけど、今年はいない。その分、細かいところを徹底していこうと、朝練とかも手を抜かずにしっかりやってきた積み重ねが今大会に結びついたかなというのはあります。サッカーの技術面で自信がないから、他のところにこだわろうという思いですね」(大河内)

大河内はこの他にも清掃ボランティア活動、早朝に講話を聞くモーニングセミナーなどをあげている。これらは以前から行われているものだが、サッカー以外からも何かを得ようと前向きに取り組んでいたのだろう。

チャレンジリーグには毎年参戦しているのに何故、今夏は結果を残すことができたのか?その答えにはなっていないかもしれない。ただこれだけは言える。チャレンジリーグで試行錯誤したことが血となり肉となり、インターハイで花開いたのだと。