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[東北新人戦]10人の明桜、ひとり少ない状況下で磨き上げた”判断力”

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

18日から相馬光陽サッカー場で開催されている東北高等学校新人サッカー選手権大会。出場8チーム中、最も少ない10人で大会に臨んでいるのが明桜(秋田)である。1,2年生の部員は11人だが、皇后杯と選手権の東北大会でゴールマウスに立ってきたGK小林未唯(2年)が負傷離脱したため、フルメンバーで戦うことができなくなった。

初戦の相手は鶴岡東(山形)。前半7分にフリーキックからのこぼれ球を佐藤風花(2年)が詰めて先制すると、つづく前半20分には岩沢萌加(2年)がコーナーキックを直接決めて追加点を挙げる。

数的不利の中でセットプレーをモノにした形だが、ゲーム全体でも10人で戦っているとは思えない内容だった。

4-4-1のフォーメーションで臨んだ明桜は、ワントップの中川茉利恵(2年)が安定したポストプレーで攻撃の起点となった。

中盤に落ちてきた中川がくさびのパスを受けてボールを収めると、周囲の味方が動き出してパスを引き出す。流動的に動き続け、相手に的を絞らせなかった。とりわけ岩沢と佐藤が組むダブルボランチは、中川が空けたスペースを積極的に使いながら、中川とのコンビネーションでゴールを目指した。

運動量が落ちた後半は鶴岡東DFに対応され、反撃を受けたが、GK石川葉月(2年)とCB石川美音(2年)を中心とした守備陣が敵の猛攻をはね返した。



つづく準決勝では聖和学園と対戦。昨年の東北新人戦では0−3、昨冬の選手権東北大会では0−5で敗れている相手だ。実際の試合も劣勢は否めず、0−7で敗戦。シュート数でも0対28と圧倒されている。スコアだけを見れば大敗に違いないが、試合内容では今後に繋がる収穫も得られた。

「”網を張る”という表現で選手たちに伝えた。中にドリブルしてきてGKとCBの間を通してくるから、そこの距離をなくして前半は戦った。1失点目は前に出た時に背後をとられたが、それを彼女たちが理解できてくると今後の戦いに活かしていける」と菊池祐太監督。

ドリブルやコンビネーションで守備ブロックの中央を崩し、背後のスペースを狙ってくる相手に対して、コンパクトなラインを保ちながら敵の侵入を防ごうと試みた。聖和学園はゴール前に築いたブロックをこじ開け、ゴールを積み重ねていく。

それでも失点するたびにコミュニケーションをとって修正を試み、励まし合いながら気持ちを切らさない。決して試合を投げず、チームとしてやるべきことを70分間やり切った。その意志の強さは、ピッチの外から観ていた我々にも十分伝わっている。

「後半2失点目をしたくらいから、ボランチの佐藤、岩沢から”もっとコンパクトにやろう”という声があった。自分たちでゲームを判断して修正できるようになっていると感じた」と、菊池監督も手応えを口にしている。

明桜は初出場した2015年度の選手権以来、全国からは遠ざかっている。5年ぶりの全国出場を目指す上では、格上や敵の良さを消そうとしてくる相手にも打ち勝たなければならない。やりたいことをやらせてもらえない状況でもピッチの中で判断しながら、勝てる術を探していかなければならないのだ。

相手よりひとり少ない状況で戦えば、11人でプレーするよりできることは少ない。「やり抜く強い意志」、「豊富な運動量」、そして前述した菊池監督のコメントにあるように「選手の判断」で、ここまで乗り切っている。とりわけ選手自身の判断については、菊池監督がもっとも大切にしている部分でもある。

「僕らがコントローラーを持っているわけではないので、選手の判断をゲームで見て、成長と思っていきたい。もっと判断を彼女たちにさせたい。そのために練習で口うるさく言って、そこ右だ左だと言って、彼女たちの判断は殺したくない。その時に初めて原因が出てくると思うので、どんどん失敗してくれと言っています」

最終日(20日)の3位決定戦では、ふたば未来学園(福島)と対戦する。3連戦の3戦目で体力的にも厳しく、1戦目、2戦目の相手とスタイルも違う。これまでとは求められることも違ってくるだろう。そうした中、ピッチ内の選手たちはどんな戦いぶりを見せてくれるのだろうか。