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[FIFA女子W杯]日本が招致断念、ライバルにはあって日本にはなかった招致の決め手

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)
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日本サッカー協会(JFA)は22日、開催国として立候補していた2023年のFIFA女子ワールドカップの招致から撤退することを発表。同日に開催された臨時理事会で決定した。25日にFIFA理事会での投票を控えていた中での決断だった。

「日本が女子サッカーの強豪国として世界から認められ、リーダーとして期待されていることをひしひしと感じました。また、この20年間で、2002年のFIFAワールドカップやFIFAクラブワールドカップをはじめ、数多くのFIFA大会を運営してきたことから、日本の運営能力などを評価する声を多く聞くことができました」

JFAの田嶋幸三会長はこのように招致活動の成果を述べた。ではなぜ立候補を取り下げることになったのか。要因は主に3つある。

1、新型コロナウイルスの影響


新型コロナウイルスの影響により、今年7月に開幕が予定されていた東京オリンピックが21年に延期となった。女子ワールドカップはその2年後に開催される。

思わぬ状況変化により、短期間で立て続けに同じ国で世界大会を開催することへの理解を得難い状況となってしまった(ただしは中国では07年に女子W杯、08年に北京五輪が開催されている)。

「新型コロナウイルスの影響によってその女子サッカー最高峰を決める2つの大会が、短期間に同じ国で開催されることに対する抵抗感が強まったことも感じました」と、田嶋会長はコメントしている。

2、ASEAN連盟が豪州/NZを支持


ASEANサッカー連盟がオーストラリア/ニュージーランドへの支持を表明。オーストラリアはAFC(アジアサッカー連盟)、ニュージーランドはOFC(オセアニアサッカー連盟)と、連盟をまたいで支持を取りつけている。

さらには今月8日にブラジルが立候補を取り下げ、コロンビア支持を表明することで南米が一本化した。投票日直前の情勢変化は、日本にとって不利に働いた。

3、FIFA評価では豪州/NZが高評価


今月10日にFIFAが公表した評価報告書では、日本の提案やサッカー環境が高く評価された一方で、オーストラリア/ニュージーランドが日本を上回る評価を得ている。得票数が並んだ場合、評価報告書のポイントが高い候補地となることが決まっている。

女子サッカーの普及・発展という選考理由


新型コロナウイルスの影響や直前の情勢変化が撤退という決断を促したことは間違いない。だが今回はそうした要因の有無にかかわらず、女子サッカーの普及・発展という点で日本の招致活動の逆風になったのではないか。

欧州12都市で開催されるUEFAユーロ2020(21年に延期)。アメリカ・カナダ・メキシコの3ヶ国で26年に開催されるFIFAワールドカップなど、近年はビッグトーナメントを共催で開催する傾向が高まっている。

共催は開催地の選択肢を広げ、女子サッカーの発展や普及を目指す多くの国で開催することが可能となる。世界的な女子サッカーの普及・発展を考えると、より多くの国や地域で開催することが望ましい。

オーストラリア/NZはオセアニア初、コロンビアは南米初。年代別ワールドカップをのぞき、男女通じて初めてのワールドカップ開催となる。

「数多くの FIFA 大会を開催してきた日本で女子ワールドカップを開催することは、世界的な普及や発展という観点から賛同を得にくいのではないかという根強い意見がありました」(田嶋会長)と、協会内にもそうした意見があったと話している。

女子サッカーの普及、発展は世界共通の課題であり、FIFAも同じ思いだろう。そして女子サッカーが欧米など一部の地域だけでなく、世界中に普及すれば、女子ワールドカップの放映権や大会スポンサーといった収益も増大する。

日本は21年に初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」が開幕する。まずは女子サッカーのプロ化に全力を注ぎ、その成功とともにあらためて女子ワールドカップの招致に乗り出してもらいたい。