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[選手権]「日本一しか目指していない」(宮嵜主将)、全国制覇に挑む帝京長岡が手に入れたふたつの武器

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

帝京長岡が3年連続3度目の選手権に向け、準備を進めている。

7日には大原運動公園(新潟県南魚沼市)に関東大会を控える本庄第一を招き、トレーニングマッチを行った。40分ハーフで行われたトップチーム同士の対戦は6-0で快勝している。

前半6分、伊藤李里(3年)のクロスに村上琴海(3年)が頭ですらした技ありのヘディングシュートで先制。同33分にはサイドを駆け上がった越路萌永(3年)の折り返しに逆サイドの横山加奈(3年)が合わせて追加点。いずれも左サイドを起点に2点を奪い、2−0で前半を折り返す。

後半16分には最終ラインからボールを運んだ鈴木碧(3年)のパスにンザング丹羽茜澄美(3年)が反応。ゴール右隅に決めると、さらに伊藤の2得点など3点を追加した。その後は本大会を見据えて、PK戦も行っている。

今年3月、早稲田大学とのトレーニングマッチではセンターバックとしてプレーした宮嵜のロングフィードから鈴木碧が抜け出し、格上相手に唯一の得点を奪っている。宮嵜を起点とした縦に速い攻撃も帝京長岡の攻撃の形ではあるが、本庄第一戦で際立っていたのは選手一人ひとりの技術の高さである。

この日はアップから試合を通じて、素早い連携からの崩しを意識していた。選手同士がいい距離感で攻めれば、守備にも好影響を与える。ボールを奪った相手が攻めようとした瞬間にボールを奪い返すことで、二次攻撃が可能となり、敵のカウンターを防いだ。

「去年は自分からのロングボール、背後へのボールで一発で崩したりすることが多かったんですけど、今年は足元の技術がある選手が多い。そこで個人ではなくグループで崩してゴールを目指してます」と宮嵜。技術の向上が地上戦での攻撃を可能にした。

サッカーには必ず相手がいて、自分たちが意図したプレーが常にできるわけではない。帝京長岡は戦い方の引き出しを増やすことにより、そうした相手や状況に対応する術を身につけた。

バージョンアップを遂げたチームで、攻守において中心となるのが宮嵜である。

恵まれたフィジカルを生かしたコンタクトプレーの強さ。センターバック、ボランチの位置からの展開力。それらに加えて、技術が高い。正確なトラップやボールコントロール、長短高低のパスも器用に使い分けることができる。

チームのキャプテンでもある。攻守で中心的な役割を担う宮嵜がキャプテンシーを発揮しているチームなのかといえば、そういう訳でもない。ここに帝京長岡のもうひとつの強みがある。

「試合中は特に、みんなと喋るようにしています。プレーが合わなかったら、今のはどうした方が良かったとか、こっちの方がうまくいったよねとか話すようにしています。(チームに)上下関係がないので、チームも一つになれるのかなと思います」

帝京長岡の選手はとにかくよく話す。試合中にプレーが止まるたび、ハーフタイムにベンチに戻ってきては、選手同士でしきりに話し合っていた。先輩後輩関係なく、お互いに要求し合い意見を交わし、試合中に起こった問題を解決していく。

コロナ禍でインターハイが中止なるなど、順風満帆だったわけではない。意見がぶつかり合い、言い争うこともあったという。雨降って地固まるという言葉もあるように、それを乗り越えてなんでも言い合える仲になった。

「今年の3年生は特に、いい意味で我が強いので、そこで意見が食い違って喧嘩になることもありました。仲が悪くなったりはしないですけど意見が合わなかったり言い合いになって、そこからまた作り上げてきたのが今かなっていうのはあります」

今年は昨年のレギュラーが7人残っている。初出場からすべての大会を経験している宮嵜、鈴木碧、横山ら3年生にとっては集大成の大会となる。

初出場の1年目はベスト8、2年目は2回戦敗退ながらも準優勝した神村学園相手に接戦を演じている。申し分ない結果を残していると言えるが、目指すところは”日本一”だ。

「この2ヶ月で一日一日積み重ねれば、絶対に凄く力になるものが積み上げられると思う。一日も無駄にしないように、日本一しか目指してないので、それに向かって44人全員でしっかり取り組んでいきたい」。宮嵜は落ち着いた口調の中にも力強い言葉で意気込みを語ってくれた。

柔剛どちらでも戦えるスタイル、学年の垣根がないチームの結束力。ふたつの武器を手にした帝京長岡が、夢を現実のものにする冬がもうすぐやってくる。