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[選手権]東北女王・聖和学園、自由自在の布陣変更で攻撃のバリエーション増加。4年ぶりの初戦突破!

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

[2021.1.3 全日本高校女子サッカー選手権1回戦 聖和学園 2-1 神村学園伊賀]

わずか2分の逆転劇だった。

第29回全日本高校女子サッカー選手権が3日に開幕。いぶきの森球技場では聖和学園(東北①/宮城)が神村学園伊賀(東海③/三重)に2−1で逆転勝ちした。

立ち上がりから主導権を握ったのは聖和学園だった。技術、アイデア、コンビネーションを駆使して相手をゴール前に釘づけにする。だが試合の均衡を破ったのは、粘り強く相手の攻撃を跳ね返していた神村学園伊賀だった。前半16分、GKからのパスをインターセプトした横路朱也香(3年)が左足でシュートを決め、先制に成功する。

聖和の反撃は後半19分、櫻井寧々(3年)のバックパスを櫻井まどか(2年)がダイレクトで櫻井寧々に戻す。櫻井寧々は島村美風(3年)とのワンツーでDFの背後に抜けると、右足でゴール左隅に蹴り込んだ。

その1分後、聖和学園は右サイドをドリブルで抜け出した渡辺琉那(3年)が柳原希帆(2年)へパス。柳原の左足シュートはDFに阻まれたが、こぼれ球を仲田光希(3年)がシュート。このボールがDFに当たってコースが変わったところに渡辺が詰める。相手DFも必死に掻き出そうとするが及ばず。聖和学園が逆転に成功した。

今年の聖和学園は個々の技術レベルが高いだけでなく、攻撃陣に複数のポジションをこなせる選手が多い。柳原と櫻井寧々がインサイドハーフ(またはフォワード)、鹿山美玖がボランチを務めるなど、サイドを主戦場とする選手がポジションの幅を広げている。

島村、仲田らフォワードもポジションチェンジしながらプレーするが、こうした選手たちが状況に応じて配置転換する選択肢が増え、相手に的を絞らせない。

この試合でも曽山加奈子監督は失点するとすかさず、インサイドハーフの柳原と左ウイングの渡辺のポジションを入れ替える。

すると中央、右サイドに相手の注意を引きつけながら、逆サイドでフリーになっている柳原へ展開する場面が急増。柳原は得意のドリブル突破で岩盤のような固い相手の守備ブロックに幾度もくさびを打ち込んでいった。

そして後半10分過ぎには渡辺を右ウイングに移し、右ウイングの櫻井寧々が中に入り、仲田と2トップを組ませた。「櫻井寧々を一番奥に置いて、センターバックの動きを封じたかった。アイデアのある島村と仲田が中盤で前向きにプレーした方がいいと思った」と、曽山監督は配置転換の狙いについて話している。

この配置転換では櫻井寧々と島村の中央でのコンビネーションで同点ゴールが生まれ、渡辺が右サイドからドリブルで切り込むプレーをきっかけに決勝点が生まれた。

とりわけ渡辺は左ウイング、インサイドハーフ、右ウイングと、チームが配置を変えるたびにポジションを移してきた。今年は東北新人戦から中央をまかされてきたが、今大会の東北大会から両サイドのウイングでもプレーしている。

「サイドに比べたらプレーの選択肢も増えるから自分の良さを出せる。サイドはドリブルがメインですけど、パスを使い分けられるようになってきた。いろんなポジションをやらせてもらって、いい経験になっています」と、東北大会の決勝後に語っている。

聖和学園は4年ぶりの初戦突破。これまで3年連続PKで敗れている上に、3試合で1点しか獲れていなかった。”鬼門”であった初戦を突破した今、充実した攻撃のバリエーションを武器に作陽との一戦に臨む。