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[東北新人戦]全国で勝てるチームへの再出発、新ツートップが躍動した専大北上が初戦突破!

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

[2021.1.16 東北新人戦1回戦 酒田南 0-6 専大北上]

第20回東北高等学校新人サッカー選手権大会(女子)は16日、相馬市光陽サッカー場で1回戦4試合を行った。専大北上(岩手)は酒田南(山形)と対戦。1−0で折り返した後半に5得点を奪い、6−0で快勝を飾った。

初戦敗退した選手権から2週間足らず。専大北上が東北新人戦の初戦に臨んだ。前半はCB土岐花稀(2年)を中心にゴール前でブロックを崩さず守る酒田南が奮闘する。21分にオウンゴールで先制したものの、前半の得点はこの1点のみ。1−0で折り返した。

「相手の守備のリズム、スライドのスピードとか、それにハマるテンポでこちらもボールを動かしていた。ボールを動かすなり、ドリブルを仕掛けるなり、判断・決断のスピードを速くしてテンポを上げる」(佐藤徳信監督)ことを意識して臨んだ後半に試合は大きく動いた。

独力で突破ができる二瓶華菜(2年)のドリブル突破、右SB千葉さくら(2年)が攻撃参加を繰り返す。サイド攻撃を強化した上に、パスやドリブルを絡めていく。

攻撃のテコ入れが実ったのが後半8分、中盤に降りてボールを受けた村上明衣(1年)が右スペースへパス。サイドを駆け上がってきた千葉が深い位置から折り返すと、ゴール前でフリーとなっていた川村瑠葵(2年)がゴールへ流し込んだ。

この得点の起点となった村上はハットトリックを達成する(後半9分、17分、21分)。裏のスペースに抜け出して2得点。さらにはクリアを試みた相手DFへプレスしてボールを奪い、そのままゴールネットを揺らしている。そして、後半アディショナルタイムには二瓶が決め、ゴールラッシュを締めくくった。

ハットトリックの村上は、3年間レギュラーを務めてきた三井瑠奈(3年)に代わって川村と2トップを組む。ドリブルで局面を打開するだけでなく、中盤に下がってボールを受け、周りを活かすことにも長けている。

「もともと技術的にはすごくいいものを持っている選手。(今日の)シュートも上手かった。身体的なことも含めて、前のチームではまだ出せなかった。(川村)瑠葵と(三井)瑠奈の2枚がいい形でやっていたので、そこに割って入るほどの力はなかった」(佐藤)

この日はキャプテンマークを巻いてプレーした川村は、新しい相棒についてこう話していた。

「(村上)明衣とは近い距離でパス&ゴーができる。これからも距離を近めでプレーしようと思っています。自分は裏に走る方なので、明衣が足もとで受けてくれるのはありがたい」

最終ライン裏への抜け出しなどボックス内で仕事ができる川村と、技術が高く攻撃の組み立てにも関われる村上。このツートップが専大北上の攻撃を牽引する。


選手権は日ノ本学園に0−6で大敗。シュートすら撃たせてもらえなかった。

「守備的にすることなく、自分たちが積み上げてきたものを出せるんじゃないかという気持ちもあった。局面々々では狙ったことがやれるんですけど、プレッシャーがある中で徐々に難しくなった」と佐藤監督は振り返る。

序盤こそ粘り強く守りながら相手陣内までボールを運ぶ場面も見られたが、後半は防戦一方となる中で失点を重ねてしまった。三井とツートップを組み、先発フル出場した川村も相手のプレッシャーを感じていたひとり。

「ボールを全然収められなかった。フィジカルがまだまだだし、(相手を)怖がっていた部分もあった。大きかったので、裏へのボールは全部取られちゃうので、足もとで勝負したかったんですけど、ずっと守備でボールもこなかった。どこでボールをもらえるか考えようと思っていました」(川村)

川村が前線で対峙していたのは、はINAC神戸レオネッサ入りが内定している竹重杏歌理(3年)。長身で球際にも強く、ボールを収めることもままならない。そればかりか、左右両足から繰り出すロングフィードへの対応にも苦慮した。

「上位に行ったチームは球際とか競り合いが男子と変わらない。それが当たり前の中でプレーしている選手たちから自分たちは取り残されてしまった」と、佐藤監督は危機感を露わにする。

それでも先制点を許した直後、二瓶のパスから三井、平野佑和(1年)とつなぎ、最後は伊藤心愛(3年)がゴールネットを揺らしている。オフサイドの判定によりゴールは認められなかったものの、時間もスペースもないゴール前で崩しの形を見せることは出来た。

時間もスペースも与えられず、球際など相手の強度が高い中でも、こうしたプレーを当たり前のように繰り返して出していけるか。選手権に出場するだけでなく、いかに勝っていくかの課題を持ち帰ってきた。

今年のチームは選手権のスタメン6人が残る(小野寺、加藤、及川、平野、二瓶、川村)。選手権で感じた課題、通用したことをもう一度、全国の舞台で見返すことができる。

準決勝の相手は尚志(福島)。創部2年目だが昨年の選手権東北大会ではベスト入りを果たしている。新チームが始動したばかりの専大北上とは対照的に、昨年春から1、2年生だけで活動している。チームの塾生度合いでは尚志に一日の長がある。

それでも与えられた環境で最善の結果を出さなければならない。選手権で勝てるチームへと進化するため、この逆境に立ち向かっていく。