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[宮城県高校総体]準決勝で実現した伝統の一戦、守備修正を図った常盤木学園が延長戦を制する

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

[宮城県高校総体 準決勝 常盤木学園 1(延長)0 聖和学園]

令和3年度 宮城県高等学校総合体育大会は6日、松島運動公園で準決勝2試合が行われ、常盤木学園が聖和学園に延長の末に1−0で勝利。大一番を制して決勝に駒を進めた。

常盤木学園は昨年11月に行われた県新人戦で仙台大明成に敗れて準決勝で敗退。おなじく決勝で敗れた聖和学園とトーナメントで同じ山に入り、5年ぶりに準決勝で顔を合わせることとなった。

前半は我慢に我慢を重ねる展開。シュート数は1対7、まさに聖和学園の一方的な展開となり、ゴール前でひたすら相手の攻撃をはね返し続ける。前半34分には聖和学園のシュートが2本続けてクロスバーを直撃するなど、相手の決定力不足にも救われた。

「絶対に点は決めさせないと思っていた。どこに当たってもいいから無失点で死守して、ほとんど気持ちでした。クロスバーありがとう、ラッキーという感じです。 でも打たせちゃったから、ペナルティエリアの外からのシュートが多かった。後半は誰でもいいから近い人が行こうと、コースに入れば(西川)佳奈が止められるから、コースだけを切っておけと、そこは全員で意識していました」

キャプテンの前田郁美(3年)が振り返るとおり、とにかくどんな形でもゴールを守り切る。前半を無失点で乗り切ったことが、後半の巻き返しにつながることとなる。



常盤木学園は後半、伊藤璃胡(2年)に替えて伊藤結菜(2年)を投入。前線の配置を変え、守備の役割を整理して後半に臨む。前半はCBふたりの聖和学園に対して、ワントップの常盤木学園はプレスがハマらない。CFの横のスペースを自由に使われてビルドアップを許してしまっていた。

だが後半はインサイドハーフの伊藤結がCFと協同でプレスにいくことで相手のビルドアップを封じる。聖和学園は苦し紛れのボールが多くなってきた。

相手の攻勢を断ち切り、主導権を奪い返した常盤木学園だったが、後半開始直後に佐藤まどか(3年)が決定的なシュートを作った後は、なかなか決定機をつくるには至らない。

ようやく試合が動いたのは延長前半2分、右サイドからクロスが上がると、そこにフリーで走り込んできたのが高塚映奈(2年)。「よく覚えていない」というほど必死に飛び込んできた高塚が右足を振り抜くと、歓喜の瞬間が訪れた。

ハーフタイムに選手交代した阿部由晴監督の意図を選手が汲み取り、後半は前線からの守備をしっかりと修正。前半に体を張ってゴールを死守したディフェンス陣の踏ん張りに応えてみせた。苦しい試合展開の中、守備が引き寄せた勝利だった。