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[東北高校選手権]新境地を開拓した常盤木学園の10番、中村円香が全得点に絡む活躍で東北制覇に貢献

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

[東北高校選手権 決勝 尚志 0-4 常盤木学園]

第63回東北高等学校サッカー選手権大会常盤木学園(宮城)が2大会(3年)ぶり6回目の優勝を手にした。準決勝では2得点、決勝でも1ゴール1アシストを記録し、攻撃を牽引したのがFW中村円香(3年)である。

1ー0で折り返した後半開始早々の4分、相手陣内でボールを奪った常盤木学園は中村がスルーパス。これを受けた伊藤璃胡(2年)がペナルティーエリアに切り込み、GKとの1対1から股抜きシュートを決める。

後半15分にはCB三浦音愛(3年)が縦パスを供給すると、このボールに走り込んだ中村がドリブルを仕掛ける。ゴール前まで到達すると、落ち着いた切り返しから左足でゴールに流し込んだ。

「音愛(のあ)からいい縦パスが来て、前に勝負するだけだった。昨日、専大北上の試合で同じような流れがあった。ゴール前で一回相手を外したシーンは、専大北上の選手から得たものです。そのイメージがあったから落ち着いて決められました」

中村が語る試合とは尚志との準決勝。専大北上のMF及川純奈(3年)がドリブルでペナルティーエリアにはいり、GKとの1対1から冷静に相手を外してシュート。必死に戻ってきたDFが触ったボールがゴールネットを揺らし、オウンゴールとなったシーンである。



1得点1アシストと目に見える結果を残した中村だったが、わずか3ヶ月前には慣れないポジションに戸惑っていた。

今年1月の選手権では左ウイングとして、3試合に先発。スピードを活かしたアタッカーとして、左サイドで攻撃の起点となっていた。そして迎えた今シーズン、阿部由晴監督にまかされたポジションはセンターフォワードだった。

「全然タイプが違うので、最初は上手くいかなかった。サイドではスペースに出て、運べて走って前向きで勝負できる。フォワードになると(DFを)背負ってとかキープとか今までにないプレーを要求されることが多い。最初はそこに戸惑いました」

新チーム発足後の初遠征、3月末に開催されためぬまカップでは、最前線で敵のDFと対峙しながら窮屈そうにプレーする中村の姿が印象に残っている。

「自分は体が大きいし、そこで体を張ってキープできればチャンスにもなる。ターンしてからゴールを狙えば、裏に抜け出したら前向きの勝負が出来る。コントロールとかキープの練習を増やしました」。

仙台に戻った中村はCFとして求められるプレーの習得に時間を費やした。その成果は着実に実りつつある。さらには宮城県予選・東北大会を通じて、求められるプレーをこなすだけではなく、自分が今できるプレーを懸命に取り組んでいるように感じられた。

まずは”長所”と自負する運動量を活かした相手最終ラインへのプレッシングと自陣へ戻りながらのプレスバック。「前が(プレスを)かけることで後ろが安定してくれて、そこから安定した攻撃ができる。自分もそういう面でサポートできればいい」と、汗かき役をいとわずチームプレーを徹底する。

攻撃ではサイドプレーヤーとしてスペースで勝負してきた経験を活かし、決定機を演出。この日は1得点1アシストに加えて、残りふたつのゴールにも関与した。

前半アディショナルタイム、カウンター攻撃でボール受けた中村は自身を追い越していく1年生MF葛西彩へ浮き球のパスを送る。スペースへ飛び出した葛西のドリブルはGKに止められたが、このプレーで得たCKが先制点に繋がった。

後半31分には右サイドからスペースへラストパス。このボールに走り込んだ高塚映奈(2年)のシュートはGKに阻まれたが、その後のCKで菊地莉央(2年)が直接決めている。

この決勝ではCFとしての役割をきっちりと果たし、その上で自身の特長も存分に発揮。新境地を開いた。



JFAアカデミー福島を受験するなど、小学生の頃から北海道を出てサッカーすることを意識していたという。北海道リラ・コンサドーレを経て、常盤木学園に進学。道外でサッカーをするという夢を叶えた。

「最初は不安も多かったけど楽しい。サッカーでうまくいかないこともあるけど全力で挑戦できる。サッカーに打ち込める環境が整っています」と、中村は充実した表情で仙台での日々を語る。

次は8月に福井で開催されるインターハイ。チームとしては優勝した2018年以来、3年ぶりの出場だが、自身初めての出場となる。チームとしての意気込み・課題は別記事に譲るが、個人としては明確な課題を持っている。

「この大会を通して得点が足りなかったことが課題です。得点を取れれば勝てる話なので、貪欲にゴールに行くところを追求していきたい」。

同郷の先輩、沖野くれあ(伊賀FCくノ一)と沖野るせり(ニッパツ横浜FCシーガルズ)が付けていた10番を引き継いだ中村は、ふたりに負けない得点力を身に着けてチームを高みへと導く。