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[高校総体]柔軟なポジション変更がたぐり寄せた1−0の勝利。作陽が4年ぶりの準決勝へ

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

[全国高校総体2回戦 尚志 0-1 作陽]

1回戦に続いて、終盤までスコアが動かないジリジリした展開。PK戦突入かと思われた後半32分、作陽はFKを獲得する。キッカー、梶山朋恵(3年)が蹴ったロングボールに抜け出したのは中野琴音(2年)だった。完全に背後をとると、GKとの1対1から丁寧に右足でゴールに蹴りこんだ。

令和3年度全国高等学校総合体育大会2回戦は、初出場で北海道大谷室蘭(北海道)を破った尚志(東北②/福島)と、試合終盤の決勝点で大阪学芸(近畿①/大阪)を退けた作陽(中国/岡山)が対戦。この日も終了間際に勝ち越し点を挙げた作陽が1-0で勝ち、準決勝に駒を進めた。

突然の豪雨で始まった試合の立ち上がり、優位に進めたのは勢いに乗る尚志だった。集中した守備で相手の攻撃をはね返し、大光望結(2年)、大槻美生(3年)ら、前線のスピードやパワーを活かして攻め込んでいく。

「(作陽が)攻めた後に背後へのボールが来ることがわかっていたので、攻撃している間に守備の確認をしていた」と、作陽のキャプテン・梶原美咲(3年)。早め早めに守備を整えながら味方の援護を待った。

「2,3個ポジションをこなせる選手がいますので、そういった選手で一番ハマりやすいところを狙って、自分たちがチャンスを作り出せそうな場所に力をかけられそうな選手を置いている」(池田浩子監督)とベンチも早めにテコ入れを図っていく。

前半29分には右SHの村上菜月(3年)に替わって伊藤真生(2年)を投入。さらに、両SBである松本彩花(2年)と望月咲良(3年)のポジションを入れ替える。その効果はすぐに表れた。

37分には中野のクロスに合わせて左スペースに走り込んできた松本がシュート。その1分後には森宙舞(3年)のクロスに望月が頭で合わせる。その直後にも望月の折り返しに生田七彩(3年)と中野がゴール前に飛び込むシーンを作り出した。

シュートまでの形を幾度もつくり、あとは決め切るだけというところまでこぎつけて前半を折り返した。

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左サイドへ展開する中野琴音。右から左へポジションを移した松本彩花のシュートを引き出す。 左サイドへ展開する中野琴音。右から左へポジションを移した松本彩花のシュートを引き出す。

後半も作陽が攻める展開は変わらない。

7分には梶山が運んだボールを生田がスルーパス。「奪った瞬間、絶対ボールが来ると思って走っていた。マイナスが空いていたのでそこを狙っていた」というCB梶原が走り込んでシュートを放つ。その3分後にはコーナーキックの流れから生田がゴールネットを揺らすが、オフサイドの判定に阻まれた。

前半と同様に後半も選手交代、配置転換を交えながらゴールへの道筋を探っていく。そして32分、ボランチから前線へとポジションを上げた中野の決勝点という形で実った。

「みんなの思いがゴールに向かっていた。力が束になった瞬間だったので、みんなで獲った点かなと思います。(試合中に)ポジションを変えることができる。今年は周りを見て判断することができる選手が多い」(池田監督)。

作陽らしくチーム全体がひとつになって勝利をめざす力と、試合の状況に応じて戦い方を変化させる緻密な部分。それらが合わさった勝利だった。

2試合連続の1-0勝利。1回戦は後半33分、2回戦は後半31分に決勝点が生まれるという薄氷を踏む勝利ではあったが、チームとしては自信を深めている。キャプテンの梶原は次のように、ここまでの2試合を振り返った。

「2試合を戦って、自分たちが得意としている奪った瞬間の背後だったり、速い選手を活かしたスペースへ出すボールだったりが得点につながっている」と、攻撃には手応えを見せる。トーナメントを勝ち上がれば、一本のシュートを決める決めないの重みは増してくる。あとはいかに決め切るか。

作陽は21日、5年ぶりの決勝進出をかけて神村学園(九州②/鹿児島)と対戦する。