minasaka.net

日本女子サッカーの"今"が分かるWEBマガジン「みんな@サッカー」

[選手権予選]2年ぶりに大会を全うした文京学院。杉並総合との息づまる戦いでみせた成長

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

[選手権東京都予選2回戦 文京学院 1-2 杉並総合]

昨年はベスト8進出を果たしたものの準々決勝を前に出場辞退を余儀なくされた文京学院大学女子(以下、文京学院)。今年は1回戦で国際に13−0で快勝。杉並総合との2回戦に臨んだ。

試合は一進一退の攻防がつづき、スコアレスで折り返した後半に動く。右サイドを突破してからのクロスで杉並総合が先制すると、その4分後には文京学院がコーナーキックから石渡日菜(1年)が決めて同点に。だが後半アディショナルタイムに杉並総合が勝ち越して万事休した。



「これから選手たちを褒めてあげたい」。試合後、山田ゆり香監督が語ったように、文京学院の選手たちは指揮官の戦術を忠実に遂行しながら試合を進めていた。

CBからのロングボール、スピードに秀でたアタッカーなど、相手の背後を突いていく攻撃に長けている杉並総合に対して、文京学院は普段より守備ブロックを下げて戦った。

ダブルボランチの堀みさき(3年)と岩﨑柚希(1年)、トップ下・深山絢音(2年)がトライアングルを形成する中盤でボール奪取を狙っていく。

奪ったボールはCF及川瑠月(3年)が前線で体を張って起点を作り、サイドからゴールを窺う。守備ブロックを越えてきたロングボールは、1年生CB春日柚希を中心とした最終ラインが粘り強くはねかえした。

前半11分には及川とのパス交換からSH井上小雪(1年)が左サイドを駆け上がり、その3分後にも及川、井上とつなぎ、左SBの位置から駆け上がってきた片岸恵美(3年)がシュートに持ち込む。

得点こそ奪えなかったもののプラン通りに無失点で折り返した後半、文京学院は切り札的な存在としてベンチに置いていた木村櫻子(1年)を投入。木村のプレーを足がかりにして、ゴールを目指していく。

後半14分、木村は相手がクリアするかに思えた場面で巧みに体を入れてボールを奪うと、するするとドリブルで抜け出して最終的にコーナーキックを獲得。深山のキックから及川が飛び込むシーンを作り出す。

クーリングブレイク明けに失点を喫したが、つづく25分、右スペースに出されたボールの競り合いでコーナーキックを獲得する。キッカーは及川。ふわりと浮かせたボールはクロスバーに当たって、ファーサイドへ。人の動きが一瞬止まったが、これを石渡が右足で丁寧に蹴りこんだ。

ボールがラインを割る瞬間までボールを追いかけ相手にプレッシャーを掛け続けた結果、体を入れていたDFの足にボールが当たってコーナーキックとなった。木村の粘り強いプレーが同点ゴールを呼び込んだのである。

終盤に失点してあと一歩のところで勝利には届かなかった。だが先制されてもすぐさま追いつくなど、最後までどちらに転ぶかわからない試合を見せた。

【スカパー!】1chから自由に選べて変えられる!

1年生アタッカー木村櫻子。DFとの競り合いからマイボールにするとドリブルで前進してコーナーキックを獲得した。 1年生アタッカー木村櫻子。DFとの競り合いからマイボールにするとドリブルで前進してコーナーキックを獲得した。

手応えを感じられる試合内容だったが、結果を残すことはできなかった。課題も残った。だがここでは成長した部分について触れていきたい。

今シーズン、文京学院が磨いてきたことのひとつに連動したプレッシングがある。試合を通じてプレスを掛け続けられるわけではないが、前線からのプレスを機能させることで試合の流れを引き寄せてきた。

それが顕著に現れたのが、4月11日に行われた関東リーガスチューデント・武蔵丘短大戦である。1−1で迎えた前半27分、CB春日のロングフィードに走り込んだ木村が勝ち越し点を奪っている。高いラインを保ってプレーすることにより、前線への放り込みではなく、精度が高い春日のロングフィードを活かすことができた。

一方、杉並総合戦では守備ブロックを下げて戦った。ロングボールに対応してラインを下げると、全体が間延びしてプレスがかからなくなる。コンパクトなラインを保つため、前線からは追わずに中盤で守備の網を張った。相手によってボールの奪いどころを変えられるようになったことはこの夏の成長だ。

1年生の台頭もチームを底上げした。

杉並総合戦では井上と小嶋茉菜(1年)が左右のサイドハーフとして先発。後半はこのふたりに代わって、木村と石渡が投入された。ふたりが得点に絡むを活躍をしたのは、先述した通りである。前後半に入れ替わって出場した4人のサイドハーフは全員1年生だ。

選手の成長がチーム戦術の幅を広げ、戦術の熟成が選手の個性を活かした。文京学院の挑戦は2回戦で幕を閉じたが、今シーズン積み上げてきたこと、残りのシーズンで積み上げていくことをベースに、来シーズンのチームの躍進に期待したい。