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[選手権予選]聖和学園で進化を遂げるドリブラー、柳原希帆が値千金の同点弾で連覇に貢献

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

[選手権宮城県予選決勝 常盤木学園 1-2 聖和学園]

第30回全日本高校女子サッカー選手権宮城県予選は20日、松島フットボールセンターで決勝戦が行われた。常盤木学園と聖和学園の一戦は、開始早々に先制点を許した聖和学園が2点を奪って逆転勝ち。昨年につづく2連覇を飾り、この代としては初めてのタイトルを獲得した。

試合は開始早々に先制した常盤木学園が勢いに乗って相手陣内に押し込んでいく。苦しい立ち上がりとなった聖和学園だったが、「攻撃は出来るところは出来ていたし、シュートにも行けていたので、負ける気はしなかったです」(柳原)。

数少ないチャンスをシュートに結びつけ、反撃の機会を窺っていた。前半9分にはFW高橋朝静(3年)がヒールで落とすと、櫨川結菜(3年)、柳原希帆(3年)とつなぎ、最後は本田悠良(1年)がシュートを放つ。

つづく14分、「朝静が(聖和用語で)半タッチできれいに落としてくれた」(柳原)と、高橋が落としたボールをゴール正面で受けた柳原は躊躇することなく、ドリブルを仕掛ける。警戒する敵の包囲網を苦もなく突破すると、右足でゴールネットを揺らした。

不運な形で失点したが、すぐに取り返したこの得点が試合の流れを引き寄せる。システムを2トップに変更した後半は前線からの守備も機能。常盤木学園から主導権を奪うと、後半11分には本田が倒されて得たPKを櫨川が思い切りよくゴール左隅に決めて勝ち越し。この得点が決勝点となった。



今大会、複数のシステムを使い分けていた聖和学園だが、キープレーヤーのひとりになっていたのが同点ゴールを決めた柳原である。昨年までは左右のアタッカーとして、凄まじいドリブル突破を仕掛けていた。今年はインサイドハーフ、さらにボランチなど中央に主戦場を移している。

「ドリブルがすごく上手ですし、ひとりでも得点も獲れる。ドリブルが出来てパスも出来るとなると、対応するのが難しい。私が相手だったら嫌だなと思う」と、曽山加奈子監督はコンバートの狙いについて話す。

中央は相手DFがもっとも警戒するエリアだ。ゴールへ通じる門は堅く閉じられ、360度すべての方向から相手が迫ってくる。180度になるサイドと比べてプレッシャーは増し、プレーの難易度は格段に上がる。そういうイメージだが、柳原はむしろやりやすいという。

「サイドだと狙われたり、3人くらいから囲まれることが多かった。真ん中だと360度逃げるところがあって、(DFが)ガッと来てもワンタッチで出してもう一回自分がもらえばフリーでドリブルもできる。相手が来ていてもそこまで焦らない。真ん中で受けることは怖くありません。守備はまだまだですけど、攻撃は思い通りにできるポジションです」。

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「ちょっと余裕ぶっこいちゃってるんですけど」と、冗談めかしてはいたが、その言葉には自信がみなぎっていた。柳原のドリブルはスピードだけではない。高速ドリブルから急ストップして相手を置き去りにしたかと思えば、華麗なダブルタッチで抜き去る。それは中学時代に所属したAC. gloria girls(ACグロリアガールズ)で習得したものだ。

「緩急は中学の頃から言われていたし、(自分が)ダブルタッチをめっちゃ使うと思うんですけど、あれも三木さん(グローリアガールズ・三木利章監督)から教わりました。ダブルタッチしか使うなと言われていたぐらいです。ダブルタッチがあれば、ほとんど抜けるんですよ。タイミングを見れば全部抜けます」。

スピードに頼るのではなく、技術も持ち合わせているからこそ、緩急やタイミングを図ったプレーなど相手の状況を見てドリブルすることが出来るのだろう。ゴール正面からドリブルで守備網を突き破っていくさまは、これまでの聖和学園とは一線を画する。得意のドリブルを磨きながらパスサッカーにも順応したドリブラーが、新たなスタイルを作り上げる。