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[皇后杯]PKまでもつれた接戦を制した静岡SSUアスレジーナで成長をつづけるティーンエージャー

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

[皇后杯1回戦 静岡SSUアスレジーナ 2(10PK9)2 FCふじざくら山梨]

45分ハーフに15分ハーフの延長戦。さらに11人全員が蹴ったPK戦とまさにフルコースのゲームだった。

11月27日、28日に各地で行われた皇后杯JFA第43回全日本女子サッカー選手権大会の1回戦。27日、藤枝総合運動公園サッカー場では静岡SSUアスレジーナ(なでしこリーグ2部)とFCふじざくら山梨(関東/山梨)が対戦した。

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岡山湯郷BelleとAC長野パルセイロ・レディースを率いた本田監督と、東京電力マリーゼとノジマステラ神奈川相模原の監督を務めた菅野将晃監督。なでしこリーグで幾度も剣を交えた名将が皇后杯の舞台で激突した。

8分には左サイドからカットインして右足を振り抜いた辻野友実子のシュートがクロスバーを直撃。カテゴリーでは格下となるFCふじざくら山梨の攻勢で試合は始まった。23分には鮮やかな反転から相手を振り切った南條里緒のゴールで山梨が先制する。

静岡は35分、藤原加奈のコーナーキックから山田優衣が決めて試合を振り出しに戻すと、2分後には三好茜のゴールで逆転に成功する。「最初は相手のペースに飲まれていました。コーナーから得点してから自分たちの良さが出た前半の終わり方でした」(藤原)

あっという間に逆転して前半を折り返した静岡だったが、このリードを守り切れない。82分には南條の突破からのクロスに辻野が合わせて、山梨が同点。試合は延長、さらにはPKにもつれこみ、GKを含めた全員がキッカーを務める総力戦で静岡が10-9でPK戦を制した。

「決めるべきところで藤原あたりが強さを出してくれたら、もうちょっと早く決着をつけられた。そこの課題が一年間の中でもうちょっと積み上げたかったところではあります」(本田美登里監督)

苦言を呈することを忘れない指揮官だったが、「ふじざくらさんもうちをリスペクトしてくれて、見ている人も試合は面白かったのではないか」とも語った通り、見ごたえたっぷりの試合となった。



三好の積極的なプレーがチームを勢いづかせた。

1-1で迎えた35分、ピッチ中央で藤原からの横パスを受けると、ボールを少し前に持ち出して右足を強振。豪快なシュートがネットに突き刺さる。

「シュート力だったり、スピードがある選手なので、思い切り撃てというのは練習中もずっと言っていた。それがいい形で前を向けて、ゴールにつながったのはすごく嬉しい」。”撃ってこい!”というメッセージのようなパスを出した藤原も後輩の活躍を喜んだ。

三好は静岡県伊東市出身の17歳。14歳でアメリカに渡り、IMGアカデミーで約2年半プレーする。帰国後は東駿河湾リーグ三部に所属するSS伊豆のセカンドチームに加入。公式戦で2得点を挙げた。今シーズン途中に静岡入り。なでしこリーグ2部の選手登録期限が過ぎていたため、この皇后杯が公式戦デビューとなった。

得点シーンだけではない。28分、藤原からのパスを受けて前進するも相手DFにボールを奪われた。だが三好はそこでプレーをやめない。猛然とボールホルダーにプレスをかけた。最後方まで戻されたボールを山梨GKが蹴り出し、攻撃に転じようとした相手の機先を制している。攻守の切り替えが早く、チームに流れを引き寄せるプレーのひとつだったと筆者は感じた。

「うちでもトップクラスの運動量は持っている。最初はもっとアメリカンスタイルで大雑把な感じだった。アメリカで勉強してきた良さを出しながら、日本人の特徴である足もとをやっていけたら。スケールが大きい選手なので、なんとかアンダー(年代別代表)に入り込ませてあげたい」。

学生や社会人に混じって、高校生も一緒にプレーしながら成長できる環境にある。このチームの良さでもある。来年8月にコスタリカで開催が予定されているFIFA U-20女子ワールドカップへの出場が決まっているヤングなでしこに食い込むことができるか、今後の動向に注目したい。