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[選手権]上下関係のない常盤木学園で伸び伸びとプレー、FW高塚映奈が勝負を決める2点目をアシスト

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)



第30回全日本高校女子サッカー選手権1回戦 常盤木学園 2-0 広島文教大学附属]

常盤木学園(東北①/宮城)が広島文教大学附属(中国③/広島)を2-0で下し、初戦突破した。後半25分にコーナーキックから葛西彩(1年)が鮮やかなダイレクトシュートを決めて先制すると、その9分後には伊藤璃胡(2年)が追加点。守ってはGK西川佳那(3年)が前半の決定機を阻止するなど、完封で初戦を飾った。

2点目の場面、左サイドでボールを受けた高塚映奈(2年)がファーストタッチで前にボールを押し出す。フリーだったがシュートコースが見つからない。すると、矢のようなパスをマイナス方向へ送る。そこに走り込んできた伊藤が合わせ、勝負を決定づける2点目を奪った。

「(ボールを)受けて、スペースがあったからゴールを狙うつもりで仕掛けていって、でも角度的に難しいし相手も来てたからマイナスに来てるなと思って、そこにストーンと(パスを出した)」と、高塚は自身のアシストを振り返った。

試合は前半、常盤木学園が主導権を握って相手陣内に押し込み、次々とチャンスを作っていく。だが、粘り強く守った広島文教も反撃。FW村上穂乃実(3年)が幾度もドリブル突破を図る。前半35分には常盤木学園のビルドアップを断ち切り、村上がGKと1対1となる決定機を迎えるが、GK西川佳那(3年)のセーブでピンチを免れる。

チャンスを決めきれず、失点するという負けパターンも懸念される試合展開。だが、「自分たちなら絶対にチャンスが来る。次はそこで決めればいい」と、高塚は慌てることなくプレーしていたという。

そう思えた理由。それは1年前にさかのぼる。東北第3代表として出場した昨年の選手権。常盤木学園は1回戦で秀岳館に5-0で快勝すると、2回戦では星槎国際湘南をPKの末に破り、2年ぶりのベスト8に進出する。だが、つづく大商学園との準々決勝では開始早々に失点するなど1-3で敗れた。

「もうちょっと上に行けたし、めっちゃ悔しかった。もっとやりたかったなというのがあって、今年は絶対そんな思いはしたくない。(大商学園戦は)点が取れなくて慌ててて、だから今年はそうならないように落ち着いて、とりあえず楽しんでプレーしようと心がけています」。この時の悔しさは忘れていない。だからこの試合でも平常心を保ち、楽しむことを心がけていた。

高塚は埼玉県を拠点に活動するFCクレセル出身の2年生。実際、昨年の選手権では1年生でありながら3試合に出場し、3ゴールを記録した。常盤木学園に進んだ理由について、くだらない理由なんですけどと前置きしながら、「(先輩後輩の)上下関係がないこと」と明かしてくれた。

進学を決めるのに、立派な理由もくだらない理由もない。と筆者は思う。彼女にとって、それが大切なことだったに違いない。「ズバズバ言えてよかったです」と語り、与えられた環境でのびのびとプレーしている。そして、上下関係がないということは、下級生であっても上級生と同じように責任を担わなければならない。攻撃の主軸として、チームを勝利に導くべく、また昨年の悔しさを晴らすべくプレーに邁進する。