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[高校総体関東大会]組織の中で輝く存在に成長した日本航空FW市村萌那、全国は「自分が決めて勝たせる」

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

[高校総体関東大会 決勝 十文字 0-1 日本航空]

令和4年度第11回 関東高等学校女子サッカー大会は5月30日、大和なでしこスタジアム(神奈川県大和市)で決勝が行われ、十文字(東京)と日本航空(山梨)が対戦。市村萌那(2年)が挙げた先制点を守り切った日本航空が1-0で勝利した。初優勝を飾ると同時に、昨年の選手権関東大会につづく関東制覇を成し遂げている。

攻守において主導権を握っていくスタイルの日本航空だが、十文字も相手のプレスをかわしてスペースへボールを運ぶ技巧を持ち合わせている。十文字にとっては、引いた相手に苦しんだ準決勝に比べれば、前から来てくれた方がやりやすい。

リスクを取らなければ、欲しいものは手に入らない。果たして、先に仕掛けたのは日本航空だった。立ち上がりから相手DFラインにプレスをかけ、相手のビルドアップを封じていく。

一方、十文字もプレスを回避しながらゴールへ向かっていった。前半6分に野口初奈(3年)、同10分に三宅万尋(2年)がシュート。だが、同22分にFKから氏原里穂菜(3年)が頭で合わせたのを最後に、シュートは打ち止め。公式記録によると、十文字のシュートはこの3本だけである。

主導権を引き寄せた日本航空は、自分たちのサッカーをピッチで展開していく。前半28分には最終ライン、中盤のパス交換からボールを運んだ五味小暖(2年)がミドルシュート。その4分後には、一瀬葵夢(3年)が右サイドから左スペースを突いたロングフィードを放ち、市村が走り込む。絶妙なパスだったが、オフサイドの判定。最終ラインの選手も攻撃に関わりながら、ゴールを窺っていく。

スコアレスで折り返した後半も日本航空が流れを明け渡さない。後半5分には右からのスルーパスに反応した高橋柊(3年)が相手DFと競り合い、コーナーキックを獲得。同10分にはカウンターから高橋がシュートを放つ。

着々とゴールに近づいていった日本航空は後半12分、大島暖菜(3年)、沼中彩里(3年)とつなぎ、沼中のパスを市村が受ける。市村が右足で放った鋭いシュートがゴールネットに突き刺さった。

「ファーを狙って蹴ったんですけど、あんなにいいコースにいくと思わなくて、自分でもびっくりしています。まさか入るとは思わなかった」と、本人も驚くゴールだったが、「ここに来ていない人の分まで絶対に勝って、自分が点を決めて絶対に優勝する」という強い想いが実る形となった。

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滝川結女(アルビレックス新潟レディース)を筆頭に技術の高い選手を育てることに定評のある楠クラブレディース出身。中学時代は大好きだったというドリブルに磨きをかけていたが、日本航空ではさまざまな攻撃の仕方を学んだという。

日本航空は複数のポジションをこなせる選手が多い。試合の中でポジションチェンジするだけでなく、選手の立ち位置なども変えながら相手DFを崩しにかかる。守備のタスクも含めて、チームから求められる役割を果たさなければ、どんなに個が優れていてもスタートから試合に出ることは出来ない。

「縦へのドリブルの仕方やタイミング、ボールの受け方、相手との横距離・縦距離とかを意識して受けようとしたり、裏への抜け方やタイミングを学びました。中学の頃より全然自分が出せる」と、語る。より緻密なサッカーを身につけながら、自らの成長につなげてきた。

昨年のインターハイでは、後半25分からアディショナルタイムを含めて約15分足らずの出場に終わり、悔しい思いをしたという。チームは1回戦で藤枝順心に0-1で敗れ、初戦敗退している。

「自分がチームの勝利に貢献できるように点を決めて絶対に勝ちたい」と、市村は全国大会に向けて決意を語る。この日のように、自らの得点でチームを勝利に導けるよう、ゴールへの意識を高めていくつもりだ。