minasaka.net

日本女子サッカーの"今"が分かるWEBマガジン「みんな@サッカー」

[高校総体東北大会]厚田亜紗稀が決勝弾!今井鈴那とのボランチコンビで尚志の逆転劇を支える

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

[東北高等学校サッカー選手権 決勝 常盤木学園 1(延長)2 尚志]

6月18日から20日まで岩手県釜石市で開催された第64回東北高等学校サッカー選手権。釜石鵜住居復興スタジアムで常盤木学園(宮城)と尚志(福島)が対戦した決勝は、延長の末に尚志が2-1で競り勝った。

悲願の初優勝だった。

2019年の創部からチームを率いる松本克典監督にとって、常盤木学園は常に目標としてきたチームである。勝利することはもちろん、そのチーム作りもリスペクトしてきた。聖和学園と仙台大明成に一度ずつ勝利しているが、常盤木学園には一度も勝利したことがなかった。

「富岡の時もそうだったんですけど、常盤木学園というチームを目標というか、こういうチームを作れたらいいと感じていた。常盤木、聖和に勝てるチームを作りたいという思いで(チームを)立ち上げたんですけど、4年で夢を現実にできたということに関しては嬉しく思います」

前回大会決勝で0-4と完敗。東北大会決勝で初めて常盤木学園と対戦したが、その牙城を崩すことはできなかった。さらに今年の東北女子サッカーリーグでは、7-7という壮絶な打ち合いを演じている。指揮官の想いに加えて、チームとしても決着をつけておきたかったに違いない。

試合の均衡を破ったのは常盤木学園だった。前半10分、伊藤璃胡(3年)がドリブルでボールを運ぶ。自身を追い越した保原ひな(3年)へスルーパスを通すと、保原が左足で蹴ったシュートがゴール右隅に吸い込まれた。

「前半0-1で負けてて、苦しい状況ではありましたけど、自分たちなら残りの35分、延長でひっくり返せるという強い気持ちがあった。それは誰もが思っていたと思う」と語ったのはキャプテンの今井鈴那(3年)である。

その言葉通り、時間の経過とともに尚志が主導権を引き寄せていく。そして後半6分にはついに試合を振り出しに戻す。尚志のロングボールを常盤木がクリア。このこぼれ球を大槻美生(3年)がダイレクトでゴールに叩き込んだ。

その後も尚志ペースで試合は進む。常盤木学園からチャンスの芽を奪い取り、土俵際に追い詰めていく。試合は規定の70分を終え、10分ハーフの延長に突入しても流れは変わらない。

そして、PK戦突入かと思われた延長後半9分、尚志に歓喜の瞬間が訪れる。厚田亜紗稀(2年)が思い切って放ったミドルシュートがゴールに突き刺さり、待望の勝ち越し点。この得点が決勝点となった。

「キーパーが前に出ているなと思った。この距離なら届くかもと思って撃ちました」(厚田)。ボールを受けた瞬間はセンタリングも考えたが、GKの位置を確認して思い切り右足を振り抜いた。素早い判断が生んだゴールでもある。

逆転劇の要因は、中盤でボールを奪い切れたこと。前半もハーフタイムが近づくにつれて高い位置でボールを奪えるようになり、徐々に主導権を引き寄せていった。その原動力となったのが、今井と厚田でコンビを組むダブルボランチだ。

「声を掛け合うということを話していて、常に声を掛け合って、お互いの位置だったり、自分が見なきゃいけないマークだったり、積極的に声を掛けながらプレーすることは意識してます」(今井)

「バランスを意識してます。ボランチはサイド展開とかにも対応していかなきゃいけないので、ボールに寄りすぎてしまってもダメだし、離れすぎてしまってもダメなので、バランスを意識してやるようにはしています」(厚田)

お互いのポジション、役割に加えて、個々のプレーにおいても常にバランスを意識しながらプレーした。前半の劣勢を受け、そうやって守備を修正していった。攻撃に関しても今井が中盤の底でバランスをとり、厚田が高い位置で前線の選手と連携を取るなど、バランスを意識しながらプレーしている。

今井が何よりも喜んだのは、相棒の後輩が挙げた決勝点。「今まで一緒にボランチをやってきて、たくさん努力してきたのも見てきてますし、東北1位をかけた大舞台でああいうゴールを決めてくれたのが嬉しい」。今後もふたりが中盤を担い、チームの歴史を塗り替えていく。