[高校総体東北大会]常盤木学園を全国へ導く決勝弾!MF伊藤結菜は全国でのアシスト増加も誓う
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19日に準決勝が行われた東北高等学校サッカー選手権。第1試合では常盤木学園(宮城)と専大北上(岩手)が対戦した。試合はスコアレスのまま規定の70分(35分ハーフ)を終え、20分(10分ハーフ)の延長に突入。PK戦までもつれるかと思われた延長後半に均衡を破った常盤木学園が勝利を引き寄せた。
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今シーズン、両チームが対戦したのはこの日で二度目。前回対戦(東北女子サッカーリーグTOPリーグ)では常盤木学園が7-2で大勝している。だがこの試合はまったく参考にならない。専大北上はフォーメーションも戦い方も変えてきたからだ。
3-5-2の布陣で臨んだ専大北上は、守備時には5バック気味で対応する。5バックだからといってゴール前にブロックを作るのではない。ラインを押し上げ、高い位置から相手にプレスをかけていった。
パスをつないでいきたい常盤木学園にとって、ピッチコンディションも不利に働いた。試合が行われた釜石鵜住居復興スタジアムは、見た目以上にデコボコが多く、ボールが走らない。中盤でパスが相手に引っかかり、カウンターで幾度もゴールを脅かされる。
「自分たちはまずトップに当てることが多いんですけど、5バックでがっつり付かれてて、トップに当てられずやりづらかった」(伊藤結菜)と、相手のプレスをかいくぐりながらゴールへの道筋を探していく。ボールこそ保持していたものの、専大北上に主導権を握られている時間帯も確かにあった。
最大のピンチが後半早々に訪れる。後半7分、昆野めい(2年)のクロスに佐藤なごみ(2年)が走り込む。このボールをヘディングで必死にクリアしたのは高塚映奈(3年)だった。つづくコーナーキックでも高橋莉奈(2年)のドンピシャヘッドをまたしても高塚が頭でクリア。キャプテンであり、攻撃の要でもある10番が絶体絶命のピンチを救ってみせた。
足を攣らせて倒れる高塚映奈。攻守に奔走し、チームを牽引した。
それでも延長戦に突入すると、攻守に奔走した高塚を筆頭にオフザボールの動きを増やしていく。試合の流れを徐々に引き寄せ、チャンスを作っていくと、ついに試合が動いた。均衡を破ったのはMF伊藤結菜(3年)である。
延長後半5分、常盤木学園はコーナーキックを獲得する。延長開始から投入された竹内瀬戸香(3年)がゴール前に入れたボールをファーポスト付近で保原ひな(3年)が頭で折り返す。このボールは専大北上GK藤原萌菜(3年)がはじいたが、リバウンドを伊藤結菜が頭で押し込んだ。
伊藤結菜は延長前半8分、延長後半1分にも決定機を迎えながら決め切ることが出来ていなかった。「絶対決めて、絶対勝つ」という思いを込めたヘディングが決勝点となり、1-0で常盤木学園が勝利。2大会連続8回目のインターハイ出場を決めた。
「保原(ひな)か(高塚)映奈が絶対決めると思ってたんですけど、こぼれの位置にいて、たまたまドンピシャで来て、コースを狙わずにただゴールを見て、絶対入れるっていう気持ちでヘディングしました」と、伊藤結菜はゴールシーンを振り返っている。

このインタビュー中、伊藤結菜の口から何度も出てきたのは”決定力”という言葉だった。本人だけでなく、チーム全体の課題として挙げている。その上で、今後の展望について次のように語った。
「スルーパスが得意。シュートを決めるのも好きだけど、自分がっていう気持ちにならないで、アシストも増やしていきたい」
東北女子サッカーリーグで得点ランキング2位につける伊藤結菜はチームの得点源のひとり。だが、今シーズンの常盤木学園は得点力のある選手が多く、チームとしてたくさんの得点機会を作れている。得点はもちろん、アシストでも勝利に貢献する。それを体現する舞台、インターハイは1ヶ月後に迫っている。