[高校総体東北大会]ノースアジア大明桜が新体制で公式戦初勝利!結果にとどまらない現れた変化の兆し
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明桜は後半25分に岡崎夏子がチームの2点目を決める。この得点が決勝点となった。
新監督とともに新たなスタートを切ったノースアジア大明桜(秋田)は2018年以来、3大会ぶりのベスト4入り(2020年は中止)した。準決勝で敗れてインターハイ出場は逃した。だがチームにとって価値ある一勝をつかんだだけでなく、周囲の明桜に対する印象も変えつつある。
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6月18日から20日まで岩手県釜石市で開催された第64回東北高等学校サッカー選手権大会。初戦(1回戦)で八戸学院光星(青森)と対戦した明桜は、2点を先行して2-1で逃げ切り。新体制下において、公式戦初勝利を挙げた。
試合はロングボールを軸に攻撃してくる八戸学院光星に対して、明桜は守備陣がカバーし合いながらゴールを守る。相手の攻撃をはね返すと、素早い攻守の切り替えから徐々に相手陣内でプレーする時間を増やしていく。そして前半14分、ロングボールに反応した遠藤蓮(3年)が右サイドを抜け出す。飛び出してきた相手GKと入れ替わり、無人のゴールにシュートを流し込んだ。
1-0で折り返した後半、同点を狙って前に出てきた八戸学院光星に押し込まれていくが、最終ラインが踏ん張り同点ゴールを許さない。守備陣の奮闘に攻撃陣も応えた。後半25分の追加点は狙い通りの形から奪ったものである。
ゴールキーパーへのバックパスに堀井美里(2年)が寄せていく。ここで奪ったボールを岡崎夏子(2年)がシュート。これはDFに阻まれたが、こぼれ球がふたたび岡崎のもとへ。今度は冷静にトラップしてボレーシュートを撃ち込み、ゴールネットを揺らした。
「みんなで分析を何時間もやっていた。そこの守備がはまって、なおかつ速く攻撃しようというところを意識しているので、そこで速く攻撃しきれてよかった」と、松永吾賢監督は練習の成果が発揮できたことを喜んだ。
しかし喜びも束の間、わずか3分後に失点する。2-0からの失点は危ない展開だったが、その後もコーナーキックからゴールを脅かすなど受け身になることなくプレー。ベンチからも声をかけ続けて集中を切らさず、チーム全員でリードを守り切った。
「今まで練習してきたことをみんな発揮できたし、試合を楽しめた。ちゃんと勝ち切れたので、すごく嬉しいです。みんなで声を掛け合って気持ちを高めたり、全員攻撃全員守備が出来ていた。いい緊張感の中で楽しむことができました」とキャプテンの中野仁湖(3年)は振り返った。

前日練習でマネージャーからサプライズを受け取り笑顔を見せる松永監督(右)。
「前よりもみんな明るいというか、(松永)先生の方からずっと声かけてくれて、練習中もすごく楽しみながら、盛り上げながらやってくれる。自分たちも声を出して頑張ろうみたいにみんなで話してやることが出来ました。厳しい言葉もあるけど、ポジティブな言葉が多いです」
筆者が取材した前日練習でも松永監督は選手とたくさんコミュニケーションをとり、練習を盛り上げていた。もちろん試合でも変わらない。選手の背中を押すように、時には選手を引っ張るように声をかけ、やるべきことを伝え、明るく前向きな雰囲気を作っている。
「明桜が変わったと多くの関係者から言われるようになった」と松永監督は話している。筆者もある指導者から明桜の印象を聞いている。核となるポジションに質の高い選手がいることはもちろんだが、松永監督のポジティブなコーチングや選手のひたむきさを評価。「チームワークは明桜が一番だった」と話していた。まったく同感である。
チームの変容を感じられたのは、尚志(福島)との準決勝だ。試合は前半だけで5点を奪われ、その時点で勝敗は決した。だがモチベーションを下げることなくピッチに戻った明桜は、後半8分に堀井が虎の子の一点を奪った。試合は1-6で敗れたが、後半は1-1のタイスコアで終えている。最後まで諦めない姿勢がゴールを呼び込み、試合を引き締めた。
「みんな仲間だよっていうところで、声を掛け合おう、支え合おう、カバーし合おう、というところを意識してる。あとはなんと言っても、秋田のプライド持って秋田から東北を盛り上げていきたいと思っている。そういうところを大事にしています」(松永監督)
松永監督が大切にしていることをピッチで表現し、今後につなげる試合をした明桜。”秋田から東北を盛り上げる”という挑戦は始まったばかりだ。