[インカレ]長短パスを駆使する名手・MF牧野美優、4得点を演出する活躍で日本大をインカレ初勝利に導く
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[インカレ 1回戦 活水女子大学 0-6 日本大学]
第30回全日本大学女子サッカー選手権大会は12月24日、1回戦8試合が行われた。三木総合防災公園陸上競技場 第2試合では活水女子大学(九州②/長崎)と日本大学(関東⑧/東京)が対戦。初出場の日本大が6−0で快勝し、インカレ初勝利を飾った。
日本大にはパスの名手がふたりいる。ひとりはCB大沼歩加(3年 花咲徳栄)。前半18分には先制点の起点となり、最終ラインから左サイドへ展開。このボールを受けた藤原愛里(1年 村田女子)がドリブルで中へ切り込み、FW松田岬(4年 三重)を経由して、右スペースに走り込んできた間庭遥香(1年 群馬FCホワイトスター)がゴール左スミに流し込む。
つづく30分の追加点でも起点になったのは大沼である。今度はDFラインの裏へロングボールを放つ。このボールに反応したMF牧野美優(2年 十文字)が折り返し、ゴール前の間庭が頭で決めた。もうひとりの名手、それが2点目をアシストした牧野である。
「アシストは絶対にしようと思って、積極的にボールを受けて、前に出そうというのは意識していた。(相手が)引いてくるのであわよくば自分がロングシュートを決められたらいいと思ったんですけど、前半は外してしまったので、アシストで貢献したいと思っていました」(牧野)
開始早々の10分、牧野は佐藤結花(4年 湘南学院)からの落としを受けると、相手をひとりかわしてシュートを放っている。コメントのロングシュートとは、おそらくこのシーンだろう。狙っていたゴールこそ決められなかったが、試合を通じて攻撃の軸でありつづけ、いくつものゴールを演出した。公式記録では2アシストだが、実際には4ゴールに絡んでいる。
前半アディショナルタイムにはチームの3点目を演出する。相手のクリアボールをDF金澤柚希(2年 藤枝順心)が回収する。このボールを左サイドで受けた牧野が決定的なパスを出す。牧野の内側からスペースに抜け出した日野くるみ(3年 大商学園)が冷静にGKをかわしてゴールに流し込んだ。勝負を決定づける3点目を奪った日本大は、3−0で前半を折り返す。
牧野にこの試合最大の見せ場が訪れたのは57分。大沼からパスを受けると、まるで背中に目がついているかのように振り向きざまにパスを出す。その先には後半開始から出場したFW渡邉莉沙子(2年 花咲徳栄)が完全にフリーとなってスペースへ走り込んでいる。渡邉は落ち着いてGKとの1対1を仕留めた。さらに77分には、コーナーキックから精度の高い右足キックで松田のヘディングによるゴールをアシストしている。
「主にポゼッションでつなぎながら相手のスキを作って背後(を狙う)。優先順位は背後ですけど、蹴るような戦術ではなく、ボランチも使いながらサイドの足が速い選手を活かしながらという感じで。最後の方は主にワンタッチを意識してメニューを組んだりしてくださいました」(牧野)。
その中心にいるのが牧野である。得意のロングキックでサイドアタッカーにパスを送り届け、ゴール前では決定的なパスでシュートチャンスを作り出す。チームにとって欠かすことのできない存在だ。
牧野は十文字高校出身の2年生。高3時のインターハイでは4試合にフル出場し、チームを初のインターハイ優勝に導いた。当時も今も中盤で攻撃の舵取り役を担い、プレースタイルは変わらないが、大学でプレーするなかで成長も感じているという。
「自分が蹴れるのでどうしても自分で前に出したいというプレーをしてしまっていた。いっかい人を使ってから自分がフリーになって前を向いたり、自分が(相手を)寄せておくことで周りがフリーになる。簡単に預けたり、周りとのプレーが前よりも出来てるんじゃないかなと思います」
味方と連携しながらプレーすることで、牧野の持ち味である精度の高いキックがより活かされ、そのパスがチームメイトの特長を引き出す。そのプレーで日本大の攻撃をこれからも牽引していく。
