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[インカレ]初陣はPK戦で敗れた名経大、敗戦の中で存在感を示したMF川島美生

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)



第30回全日本大学女子サッカー選手権大会は12月26日、ラウンド16 8試合が行われた。みきぼうパークひょうご第2球技場 第2試合では明治国際医療大学(関西②/京都)と名古屋経済大学(東海①/愛知)が対戦。2−2からのPK戦を制した明治国際医療大が準々決勝に駒を進めた。

敗れた名経大で2得点にからんで気を吐いたのがMF川島美生(2年 藤沢清流)である。60分には左サイドでMF石井彩千香(4年 湘南学院)とのパス交換から左足で鮮やかなミドルシュートを決め、先制点を挙げた。さらに1−2で迎えた84分には川島が蹴ったコーナーキックが相手のオウンゴールを誘う。このコーナーキックにつながるシュートを放ったFW北村ほのか(1年 安城学園)にパスを出したのも川島だった。

得点シーンだけではない。この日はFW北村と縦関係になり、2トップを組んだ。北村が自陣からのボールを受けに前線を離れれば、そのスペースに入って高い位置をとり、時には中盤に下がって周囲と関係を作りながら攻撃を組み立てる。そして決定的なパスを狙っていった。さらにセットプレーのキッカーもまかされ、高精度のキックで味方のシュートシーンを演出している。

川島は藤沢清流出身の2年生。高校時代は主にボランチとしてプレーしていたが、名経大ではトップ下としてよりゴールに近い位置でプレーしている。川島はどのような役割が求められているのだろうか。その意図を三壁雄介監督は次のように話す。

「ボランチでゲームを動かすということより、ひとつ前でシュートに結びつく最後のプレーヤー。高校生の時からそうだったと思うんですけど、それにプラスしてラストを決めるプレーができる。そういう意味であそこでやってもらっている。この2年間、あの子はまた成長していると思います。守備も非常に献身的にやってくれている」

高校時代は前述したように主にボランチとしてプレーしながら、他のポジションに配置されることもあった。その試合でキーとなる、戦術的に最も重要なポジションで起用される。筆者はそういう印象を受けていた。それは当時も今も変わらない。チームにとって、欠かすことの出来ない選手である。

この日はPK戦で3人目のキッカーとして臨み、シュートをGKに止められている。本人としても悔しさが残ったに違いない。それでも指揮官からの信頼は揺るぎないものがある。

「PKに関しては誰が蹴るか僕が決めてるので、彼女たちに責任は一切ない。川島が今までやってきた結果というのは、内容が豊富だから今の結果が出ているんだと思います。インカレ予選でもゴール、スコア、チームとしては間違いなく大きな選手です」。

昨年、チームはインカレ出場を目前にコロナ禍の影響により、予選の辞退を余儀なくされている。その試練を乗り越えて今大会の出場権をつかんだ。川島もまたこの大会での悔しさを糧に、試合を決める選手として成長した姿でインカレの舞台に帰ってくることを期待したい。