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[チャリティーマッチ]成長過程のベレーザ、ガナーズの決定力に沈む

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)
12月4日(日)、東日本大震災復興のチャリティーマッチとして、日テレ・ベレーザとアーセナル・レディースが多摩市立陸上競技場で対戦した。

先月30日にINAC神戸レオネッサ(1-1で引き分け)、2日に武蔵丘短期大学シエンシア(5-0で勝利)と連戦をこなしたアーセナル。この日は、DFステフ・ハウトンに代わり、ボストン・ブレイカーズから期限移籍中のDFアレックス・スコットが右サイドバック。今遠征でキャプテンを務めたMFジェーン・ラドローがメンバー外となり、MFキム・リトルが中盤に下がり、INAC神戸戦で同点ゴールを決めたFWジェニファー・ビーティーがセンターフォワードを務めた。一方、日テレ・ベレーザは怪我のDF須藤安紀子(ベンチ入り)に代わって、DF小林海青が左サイドバックに入った他はベストの布陣。FW岩渕真奈(18)、DF村松智子(17)、小林青(19)と3人の10代選手が名を連ね、平均年齢は22.4歳。アーセナル(25.3歳)とも、「TOYOTA Vitz CUP」のINAC神戸(25.6歳)と比べても3歳前後若い。

才能豊かなベレーザにしても、国際経験の豊富な選手が少なく、チームとしても欧州の強豪クラブと初めて対戦する。「それが多分、最初の失点に繋がっている。慣れるまでに失点しちゃいけない」(岩清水)と、経験の少なさが試合の入りに現れてしまった。開始早々の4分、右サイドでボールを運んだキム・リトルのパスに抜け出したエレン・ホワイトに左足で決められ、いきなりリードを奪われる。だが、その2分後、伊藤香菜子が左足で蹴ったコーナーキックが相手のオウンゴールを誘い、試合は振り出しに戻った。

この得点で落ち着きを取り戻したベレーザは、積極的なラインの押し上げと攻守の切り替えの速さでボールを奪い、177cmの長身FWビーティーへの縦パスを入れるアーセナルの狙いを封じていく。23分にはロングボールに反応した岩渕がGKエマ・バーンとの1対1を迎える。だが、GKの頭上を越えるループシュートは、ゴールイン直前で必死に戻るディフェンスにクリア。その後も有吉佐織、岩渕がミドルシュートを放ったが、勝ち越し点は奪えない。

アーセナルもINAC神戸戦での経験からベレーザがポゼッションしてくることは予想していたことだろう。中盤で起点となる原菜摘子、前線の岩渕らにボールが入っても簡単には前を向かせない。最終的にパスを繋がれても、時間を掛けさせ、粘り強く守った。ベレーザはボールを支配したものの、相手の守備網を切り崩すには至らず、シュートも遠目からのものが多くなる。

すると31分、アーセナルはDFラインからロングボールが放たれる。このボールに反応したジョーダン・ノブスは、DF村松に競り勝つと、角度のないところからゴールにねじこむ。先制点を再現するようなゴールでアーセナルが勝ち越し点を奪った。さらに前半終了間際、44分にはホワイトが左サイドから折り返すと、ペナルティエリア内で受けたキム・リトルがDFと入れ替わり、逆サイドで待ち構えるビーティーが決め、3-1として前半を折り返した。

後半も攻めるベレーザ、守ってカウンターを狙うアーセナルという展開は変わらない。「全員で前から行けたし、圧倒的に自分たちのペース」(岩渕)と、ベレーザがいっそうポゼッションを高めていく。だが、ポゼッション率の上昇に決定機の数は比例せず、時おりアーセナルの迫力あるカウンターに晒された。

ベレーザが攻めている時間帯はフォワードも守備に回り、中盤もヴァイタルエリアを埋め、ベレーザにスペースを与えない。そこから攻撃に転ずると、62分にはコーナーキックのこぼれ球からノブスが強烈なミドルシュート。この場面以外にも、リトル、ホワイトがDFライン背後のスペースを突き、ゴールに迫っていく。後半シュートはわずか3本に終わったものの、最後までプレーをやりきることで、ベレーザのDFラインにプレッシャーを掛け続け、追撃のゴールを許さなかった。

「相手はチャンスのところで全て決めている。そういうところは体格以前の差かなと思います」と、岩渕も悔しさを隠さない。アーセナルは前半、シュート3本でゴールネットを3度揺らしているのである。ベレーザは多くの時間帯でボール支配したものの、「いざシュートを打つ時に相手が体を張ったり、リーチの長さでボールを奪われる。それをもうひとつかわさないとシュートにいけない」(岩清水)と、フィニッシュに至るラストプレーに課題が残った。一方、守備では相手のフィジカル、スピードで背後を取られ、ゴールに向かってディフェンスせざるおえない場面もあった。

逆に言えば、攻撃では主導権を持ってボールを動かすことができ、守備ではあらかじめ準備できている場面ではボールを奪い取り、跳ね返すことができている。その上で、先述したような課題が明らかとなった。「今回、気づいたことがいろいろあると思うので、来週から意識を高めに設定できるんじゃないか」と、岩清水も期待を込めて語っている。2週間後に初戦を迎える全日本女子サッカー選手権に向け、この試合で得ることのできた課題にどう向き合うか注目したい。