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[なでしこリーグ]浦和レッズレディース、引き分けも優勝をほぼ手中に収める

トピックス 大住良之(サッカージャーナリスト)

浦和レッズレディースが2009年以来5年ぶりのなでしこリーグ優勝に大きく前進した。

 全10節で戦われている「エキサイティングシリーズ上位リーグ」の第9節、11月16日(日)に神戸で行われたINAC神戸レオネッサ戦を0-0で引き分けた首位浦和は、勝ち点を24に伸ばした。同じ日にジェフ市原・千葉レディースに1-0で勝った2位日テレ・ベレーザとの差は「3」に縮まったものの、得失点差(浦和は+10、ベレーザは+2)が大きく違うため、ほぼ優勝が決まったという状況となった。

11月24日(祝)の最終日、浦和はホームにアルビレックス新潟レディースを迎え、ベレーザはアウェーで岡山湯郷ベルと対戦する。

 0-0で迎えた後半44分、浦和の吉田靖監督は、猛烈な走りで貢献してきて、まだ疲れが見えたわけでもない左MFの加藤千佳を引っ込めた。投入されたのは大型DFの斉藤あかね。4-2-2-2システムからDFを1人増やして5-2-3とし、「絶対に失点はしない」、すなわち、「引き分けでOK」というメッセージだった。

 レギュラーシリーズでは最終戦でINAC神戸に敗れ、手中にしかけていた優勝を取り逃した浦和。しかしエキサイティングシリーズに入ると、初戦こそINAC神戸にロスタイムで追いつかれて2-2で引き分けたものの、以後4連勝。第4節にはレギュラーシリーズ優勝の岡山湯郷に4-1で快勝した。そして11月8日(土)の第8節でも、勝ち点3差で追う2位湯郷ベルを2-0で下し、優勝に大手をかけた。

■柴田華絵のチャンスメイク光るが、2トップが決めきれない

 「勝てば優勝」という試合。神戸のノエビアスタジアムには多くのサポーターが駆けつけ、アグレッシブな浦和のサッカーを後押しした。

 前線から果敢にプレスをかけ、両ボランチも迷わずに相手にアタックに行く浦和のチーム守備に、前半、INAC神戸はプレーを落ち着かせることができず、ほとんど攻撃にならない。だが浦和も、相手陣で何回かボールを奪い返すものの攻めきるところまでいけず、前半はともに大きなチャンスがないまま0-0で終了する。

 浦和にとっては、序盤に相手と衝突してひざを痛めたMF猶本光がわずか26分で交代を余儀なくされたのは痛かった。交代で出場したのは15歳(高校1年生)のMF長野風花。だが高い技術を駆使して残りの時間を無難にこなした。

 ともに攻撃を作れなかった前半とは打って変わって、後半は試合がスピードアップし、シュート数も増えた。

 まず攻め込んだのはINAC神戸。速い判断で浦和のプレスをかいくぐって前線にボールを入れ、前半からINACの唯一の武器だったMF仲田歩夢の左サイドからの崩しでまずチャンスを作ると、ロングパスの跳ね返りをMFゴーベルがシュート(相手DFがブロック)、さらにはDF南山千明のクロスを受けたFW高瀬愛実がシュート(わずかに左に切れる)。

 後半20分を過ぎるとその猛攻をしのいだ浦和が攻め返す。FW吉良知夏がもちこみ、MF加藤から返されたボールをシュート(バーを越す)、MF柴田華絵が華麗なドリブルでゴールに迫り、タイミングよく出したパスを受けたFW後藤三知がシュート(GKの正面をつく)、そしてやはり柴田のパスを受けた交代出場のFW清家貴子が右からシュート(GKがかろうじてはじき、CKに逃げる)。

 この試合で最も目立ったのは、浦和の右MF柴田だった。見事なボールコントロールとステップワークで2人、3人と外してゴールに迫り、INAC神戸の守備陣が引きつけられたところでタイミングを逃さず送るパスは抜群だった。

 しかし吉良、後藤と「なでしこジャパンクラス」が並ぶ2トップは、そのチャンスメークを生かすことができなかった。

 今季を通じて、浦和のサッカーは前線からDFラインまでの守備の連動は本当にすばらしかった。高い位置でボールを奪うことも再三ある。しかし後藤と吉良のFWラインがあまりに粗雑で、そのチャンスを生かし切れないという試合が少なからずあった。エキサイティングシリーズ9試合を終えて、ボランチのMF岸川奈津希と左MFの加藤、そして吉良が3得点で並んでいるところに、浦和の苦しさがある。

 この日プレーしたFW3人のうちでは、18歳、高校3年生の清家(出場時間は短いが、レギュラーステージから通算で7得点)が、最もFWとしての能力が高いように思えた。

 INAC神戸は後半35分に左MFの仲田に代えてアメリカ人DFのチェルシーを左MFに起用。「なんとしてもホームで勝利を」という姿勢に出た。それに対し浦和の吉田監督は、ヘディングが強くハードな守備を得意とするDF斉藤を入れた。それによってチェルシーの威力は消され、試合は0-0の引き分けに終わった。そして浦和は勝ち点を24に伸ばした。

 この日、2位にいた湯郷ベルは新潟に1-5という信じがたいスコアで敗れて優勝戦線から離脱、3位ベレーザが後半27分のMF隅田稟のFK1発で千葉を下し、勝ち点を21に伸ばして2位に浮上した。しかし「得失点差の差」はあまりに大きい。今季のなでしこリーグ優勝は、事実上浦和に決まったと言ってよい。

 同じ時間に東京で行われていたベレーザの試合、そして新潟で行われていた湯郷ベルの試合経過をにらんでの、吉田監督の決断だった。
(了)