minasaka.net

日本女子サッカーの"今"が分かるWEBマガジン「みんな@サッカー」

[高校総体予選]東北|全国制覇へ視界良好、ますます高まる常盤木の結束力

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)
55回東北高等学校サッカー選手権大会(女子)は17日、仁賀保グリーンフィールドで決勝が行われ、常盤木学園高校(宮城)が山形西(山形)に14-0で大勝を飾った。両チームは8月4日から佐賀県で開幕するインターハイに出場する。

昨年、決勝で日ノ本学園高校(兵庫)に敗れたリベンジを目指す常盤木にとっての東北大会は通過点に過ぎない。ひとつでも多くのゴールを奪って勝利することを求められる中、ここまで出場機会に恵まれなかった選手の活躍がこの優勝を価値あるものにした。この日、キャプテンマークを巻き、4得点したMF矢山奈津(3年)である。

開始8分に平國瑞希のパスから先制点を決め、5-0で迎えた23分には細かいパス交換からゴールにパスするように流しこみ2点目。続く29分にミドルシュートを決めてハットトリックを達成すると、後半8分にも津永佳琳が折り返したボールを落ち着いたトラップからゴールネットを揺らした。

プレナスチャレンジリーグが開幕して3ヶ月、試合出場どころかベンチ入りも果たせずにいる。「次の公式戦に出れるチャンスをもらえるように、ここでアピールしようという気持ちで臨みました」と臨んだ今大会、初戦となる準決勝では悔しい思いをした。千葉学園高校(青森)に11-0で大勝する中で自身も決定機を幾度か迎えたが、久しぶりの公式戦出場という緊張もあったのか、チャンスを決め切れずにノーゴールに終わった。

試合は、「キックオフの時に相手のラインがちょっと高いと感じた。サイドの裏を狙って、シュートまで行くようにした」(矢山)と、立ち上がりはロングボールで相手の背後を突いた。「途中から相手も読んできて、中が空いてきた」と、時間の経過とともに、中央でボールを繋ぐ。相手の陣形に応じて、ロングボールやパスを選択したことが、この日の大量得点に結びついた。

準決勝ではダブルボランチの一角としてプレーした矢山。決勝では、準決勝の試合途中にポジションを移した一列前の攻撃的なポジションで先発し、チームが判断良く攻撃を展開する中で積極的にゴール前に顔を出す。チーム最多となる9本のシュートを放ったが、「決めるところがたくさんあったので、ひとつひとつ確実にやっていきたい」と、4得点の活躍にも気を緩めることはない。

2010年、11年にチャレンジリーグに参戦していたノルディーア北海道の出身。チャレンジリーグ創設1年目の10年にノルディーアの選手として対戦したことが、常盤木に入学するきっかけとなった。"悔しい"と、厚い選手層に出場機会を阻まれている現状を一言で表現するが、「自分のやってきたことを最大限に出して、チャレンジリーグに出場したい」と、残りの高校生活に全てをぶつけるつもりだ。

表彰式が終わると、常盤木の選手たちはある選手を囲み、それぞれのメダルを彼女の首にかけてあげた。彼女たちが目指すのは全国優勝であり、そこには笑顔しかない。メダルだけに留まらず、優勝カップも表彰状も彼女に押し付けるように渡され、少々、悪ふざけの側面もあった。それでも、その光景に常盤木が今大会で得たものを見ることが出来た。手にしたというより、さらに強くした"チームの結束力"である。

一瞬戸惑いながらも笑顔でメダルを受け取っていたのが、MF小須田璃菜(3年)である。日テレ・メニーナから常盤木に加わった彼女は今シーズン、ボランチのポジションをまかされるはずだった。だが、シーズン開幕前に右ヒザ十字靭帯を負傷する怪我に見舞われ、シーズンの大半を棒に振ることになった。

地元の病院での手術を終えて仙台に戻り、体が動けるようになると、小須田はグラウンドに出てチームのサポートに回った。U-16日本女子代表候補でもある1年生MF市瀬奈々がボランチに定着する中、焦る気持ちを見せることなく黙々とチームのために働いている。メダルはそんな彼女に対する労い、そして、励ましの意味が込められていたのかもしれない。

常盤木は今シーズン、部員が60人を越えた。1995年の創部以来、最も多い部員数である。部員63人という大所帯を引っ張り、支えるのは、12人の3年生だ。普段はAチーム、Bチームと分かれて練習することもあるが、今回の遠征には全員が参加。ここまでも強い結束力でチームをまとめ、チャレンジリーグでは首位争いを演じてきた。だが、3日間の東北大会を経て、その結束力、絆はますます深まった。