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[平成25年度高校総体]2回戦|三重が健闘した前半、大商学園に落ち着きを与えた価値ある先制点

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

2大会連続出場の大商学園(関西1/大阪)と三重(東海2/三重)。2日にまたがって行われた1回戦、大商学園は山形西(東北2/山形)、三重は神埼(開催県/佐賀)を下し、揃って初の2回戦に進んだ。6日、サガン鳥栖(J1)の本拠地、ベストアメニティスタジアム(佐賀県鳥栖市)で2回戦を戦った(試合は35分ハーフ)。

序盤から主導権を握ったのは大商学園だったが、三重の健闘も光る前半だった。

キックオフでDF松原有沙がいきなりロングシュートを放ったように、ロングボールとサイド攻撃を効果的に使い、相手陣内に押し込んでいく。9分にMF吉田紫穂がミドルシュートを放てば、2分後にはMF藤根有彩の折り返しを三浦桃が頭で合わせる。

いずれもGK山北麻由の好セーブで凌ぐと、三重も少しずつ反撃の糸口を探りだしていく。低い位置からでも少ないタッチでパスを回して中盤を突破。労を惜しまずに味方を追い越して前にボールを運び、サイドの突破力や前線のスピードを生かして、ゴールに迫る。終始劣勢の中でも、そうした狙いをはっきりと見て取ることが出来た。

ボランチのMF山本早織はスペースに顔を出してDFラインからのボールを引き出し、正確な左足で前線、サイドに展開。2トップのFW日野瑞希、FW押田彩は揃ってスピードがあり、ふたりのコンビネーションを使って、大商学園の3バックの隙を突く。そうした攻撃が奏功し、25分にはCKから前田真帆がヘディングで先制点を狙う場面も作り出した。

だが、こうした攻撃を繰り返すことは出来ない。大商学園は吉田を中心にセカンドボールを拾い、三重の攻撃の芽を断ち分厚く攻めてくる。ゴールキックを直接跳ね返されることもたびたびあった。少ない攻撃の機会は、自分たちのゴール近くから始まることが多かったのである。

それでもスコアレスで前半を折り返すことが出来れば、後半に勝機を呼び込むことも出来る。だがアディショナルタイムの37分、ついに試合の均衡が破れる。

こぼれ球を拾った吉田がそのまま左サイドに流れてドリブルを仕掛ける。相手DFとの1対1から左足でゴール前に鋭いボールを折り返すと、このボールに走り込んできたのは、吉田とダブルボランチを組む鎌田知夏だった。鎌田がワンタッチで合わせ、大商学園が1-0とリードして前半を折り返した。

■ゴールラッシュの呼び水となった後半開始直後の追加点

三重の田中伸弥監督はHTに、「少ないチャンスを逃すな。1点を取ることで相手にプレッシャーがかかる」と、ベンチ前で選手に強い口調で語りかけた。最少失点で戻ってくることができ、攻撃でも全くチャンスがないわけではなかった。接戦に持ち込めば、三重にも勝機はある試合展開だった。

三重のキックオフで始まった後半、指揮官に背中を押されてピッチに戻った三重イレブンはボールを保持する大商学園のDFラインを追い回す。対する大商学園は相手のプレッシャーを落ち着いてかわしてビルドアップし、ボールを失ってもセカンドボールを拾って、ボールを前に運んだ。

後半開始早々の37分、失ったボールを取り返そうとスライディングしてくる相手を松原が巧みにかわすと、左サイドに流れたFW大井美波に正確なフィード。その大井を追い越して、スペースを突いた藤根がゴール前に折り返すが、ニアに走り込んできたFW田中江梨奈にピッタリと体を寄せながら戻ってきた相手DFがCKに逃れる。

さらに、藤根が蹴ったCKのボールがエース田中の前にこぼれると、田中はGK山北が飛び出して無人となったゴールにシュートを蹴りこみ、あっさりと追加点を奪う。田中はその4分後にも自身2点目をゲット。大井からのパスをペナルティエリア内で受けると、背後に付いた相手のマークを物ともせず、反転からゴールネットを揺らす。65分にはゴールラッシュの締めくくりとなる7点目を奪い、ハットトリックを達成している。

「1-0」という前半のスコア。勢いを持って後半に臨んだ三重と同様に、「"こんなもんじゃない"と納得はしていなかったが、落ち着くことが出来た」(岡久奨監督)と、前半終了間際の1点が大商学園から心理的なストレスを消し去った。

「(前半は)立ち上がりから流れには乗り、自分たちのサッカーは出来ていたんですけど、点が取れなくて焦ってミスしていた。ロスタイムに点を取ることで後半はリズムに乗って、どんどん点を重ねることが出来た」

56分に豪快なロングシュートを決めたキャプテン、松原はこう試合を振り返った。長いボールを交えながらサイド攻撃を繰り返し、セカンドボールを拾って分厚く攻める。後半は、そこにダイナミクな動きと、プレーの正確性が加わり、大量得点に繋がった。