[皇后杯]風間氏の下で「止める」「蹴る」を磨き上げた静岡SSUアスレジーナが初戦突破!
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この一年間、徹底的に磨き上げてきた「止める」「蹴る」を皇后杯のピッチで存分に披露した。
皇后杯 JFA 第42回全日本女子サッカー選手権大会は28日、1回戦8試合を行った。高円宮記念JFA夢フィールドでは筑波大学と静岡SSUアスレジーナが対戦。前半、セットプレーから2点を先行したアスレジーナが3−0で勝利を収めた。
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強風下で行われた試合は立ち上がりからアスレジーナが主導権を握る。足もとでボールをつなぎ、ドリブルやコンビネーションで崩しにかかる。攻撃に人数をかけ、狭い局面でも臆せず切り込んでいった。選手同士が近い距離感を保っているため、ボールの回収も速い。ボールを奪い返し、セカンドボールを拾い、二次攻撃につなげていった。
試合の均衡が破れたのは18分。高島絢音が藤原加奈とのワンツーで密集を抜け出して、左サイドの石田梨紗へパス。石田の突破で得たコーナーキックから高島が速いボールをゴール前に蹴り込む。左山桃子がヘディングで逸らすと、ファーサイドの平野麻美がシュート。丁寧に枠を捉えたボールがゴールネットを揺らした。
続く38分には追加点を奪う。藤原が倒されて得たフリーキック、キッカーの高島が右足を振り抜くと、逆サイドから山田優衣が折り返したボールを左山が決める。試合を優位に進める中で得たセットプレーをゴールに結びつけ、2−0として前半を折り返した。
後半は風上に立った筑波大が押し込んでいく。58分には強化指定選手としてジェフ市原・千葉レディースでプレーする千葉玲海菜を投入。千葉が前線でボールを呼び込み、チーム全体としても攻守に渡ってアグレッシブさを増していく。
防戦一方となったアスレジーナだったが、GK高橋美春を中心とした守備陣が粘り強く凌ぎながら反撃の機会を窺う。81分には藤原が右からペナルティエリアに切り込みシュート。この場面では筑波大学GK野島優希子の好守で凌いだが、86分に藤田桃加が勝負を決定づける3点目を決めた。
「チャレンジリーグで圧倒的な強さで勝てるかなと思ったら全然勝てなかった。蹴ってくるチームが多くて、まず回収する能力をそれぞれが持たなければいけなかった」と守備面で苦しんだ。チャレンジリーグEASTでは10試合中9試合で失点を喫し、4勝2分4敗で3位に終わっている。
この日も風下に立った後半は、2点を追いかける相手の勢いに押し込まれた。それでも無失点に抑え、試合終盤にはダメ押しの3点目を挙げている。11月22日のチャレンジリーグEAST最終節(○4-0 vs つくばFCレディース)に続き、2試合連続で完封勝利をあげたことは好材料だ。
一方、攻撃では川崎フロンターレや名古屋グランパスで監督を務めた風間八宏氏(今年5月、テクニカルアドバイザーに就任)に指導を仰ぎ、「止める・蹴る」のトレーニングを徹底的に行なった。
まずは各々がワンステップでボールを蹴れるところにボールを止める。しっかりとボールを止められれば、すぐに顔が上がって次の選択肢を探せる。逆に、ボールを止められなければ、相手に寄せられてしまう。
トレーニングは「運ぶ」「外す」などへと進展していくが、その基礎となる「止める」「蹴る」の最初のトレーニングでは対面パスを延々としていたという。その難しさについて、左山は目を輝かせながら語ってくれた。
「風間さんがやっているのを見ると”簡単じゃん”と思って、いざやってみると出来ない。ステップを踏むことで相手にも寄せられる。しっかり止めて蹴ることができれば相手も寄せにくい。そこはみんなもできるようになっている最中だし、アスレジーナを立ち上げた時より全然違うサッカーができていると感じています」
「難しいけど楽しい」。風間氏の指導は選手の向上心を刺激した。その成果がこの日の前半のプレーにも表れていた。
2回戦ではなでしこリーグ2部を制したスフィーダ世田谷FCに挑む。「2部で優勝しているチームで相手も勢いを持ってくると思う。私たちは今できる私たちのサッカーをしながら相手のいいところを消して絶対勝って次に繋げたい」(左山)。この一年間積み上げてきた自分たちのサッカーを信じて、格上の相手から勝利を掴みとる。