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[選手権関東大会]スタイルを確立した秋の一ヶ月、健大高崎が積み上げた成果を発揮して初戦突破

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

[選手権関東大会 1回戦 宇都宮文星女子 0-2 健大高崎]

16チームが7つの全国出場枠を争う、第30回全日本高等学校女子サッカー選手権大会関東予選健大高崎(群馬②)は1回戦で宇都宮文星女子(栃木①)を2-0で下すと、つづく2回戦では鹿島学園(茨城②)に0-6で敗北。残り3つの枠をかけて、20日と21日の順位決定戦に臨む。

出場権獲得に向けて絶対条件となる初戦突破に向け、健大高崎は幸先良いスタートを切る。相手のコーナーキックをしのいで迎えた前半11分、右スペースを突いた高橋歩(1年)が中へ折り返すと、ゴール正面で受けた原田莉緒(1年)が冷静に決めて先手を奪った。

「最初にチャンスがあってそれをものにできなくて、その後(宇都宮文星に)コーナーが二つあって、そこを凌いだ。次のチャンスでしっかり決め切ったので、2点目も勢いづいた」と植木雅也監督。相手の最初の得点チャンスを守り、逆に健大高崎にとって最初のシュートを一発で仕留めてみせる。

リードを奪ったものの、前半は球際で強さを発揮し、セカンドボールも拾って相手陣内に押し込んでいった宇都宮文星の攻撃を受け止める展開となる。

押し込まれるなか、またしても健大高崎にビッグチャンスが訪れる。前半20分、田中結衣(3年)と久保詩織(3年)の連携で中盤から左サイドへ進む。山下華菜子(1年)の突破からゴール前へ折り返しのパス。このボールは相手DFに阻まれたが、セカンドボールを拾った喜楽陽菜(2年)がすかさず山下へパスすると、これを受けた山下がカットインして右足を振り抜く。宇都宮文星GK鈴木那智(3年)が懸命に伸ばした手の先をすり抜けたボールがゴール右隅に突き刺さった。



先制点を挙げた原田とアシストした高橋、二点目の場面で立て続けに左サイドを切り崩した山下。3トップを形成するこの3人はいずれも1年生である。「今までうちにいなかったタイプのフォワード陣。推進力がある子たちが今年の1年生で入ってきたが、今までそこの使い方が曖昧だった。両ワイドを起点にというところから背後のアクションが増えてきたので、期待して3トップを使いました」(植木監督)と、意気の良いルーキーたちの特長と、ボールを動かすチームのスタイルが見事に噛み合った。

2-0とリードして折り返した後半、相手の足が止まり始めるにつれて、後手を踏んでいた球際の競り合いとセカンドボールの回収でも互角以上の戦いを見せる。技術の差が浮き彫りとなり、試合の流れは健大高崎に傾いていく。

「(宇都宮文星は)ヘディングが強いのでファーストで勝てなくてもセカンドボールを回収すること。健大高崎はあまり高さがないので、コーナーキックにしない切り方を監督から教えてもらった。(前半は)くさび(のパス)が少なかった。アンカーからシャドーにかけて結構空いてたので、自信を持ってそこは刺していいよと言われました」(田中)

選手同士の距離感が近くなり、ワンタッチやくさびのパスで次々と相手の急所を突いていく。中央でつないでDFを引きつければ、両サイドのウイングが空いたスペースでドリブルを仕掛ける。サイドバックも高い位置をとって、攻撃に関わっていった。

後半スコアは動かなかったが、ハーフタイム明けから選手交代で攻撃をテコ入れした宇都宮文星にチャンスらしいチャンスを作らせなかった。

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健大高崎の2点目をアシストしたMF喜楽陽菜(2年)。的確なポジショニングでパスを引き出し、攻撃にリズムを与える。 健大高崎の2点目をアシストしたMF喜楽陽菜(2年)。的確なポジショニングでパスを引き出し、攻撃にリズムを与える。

2-0で会心の勝利を飾った健大高崎だが、チームが上向いてきたのはこの一ヶ月ほど。前述したように、それまでは攻撃の起点である両ワイドを活かしきれていなかった。日々のトレーニングでは、中盤でワンタッチでボールを動かすことと同時に、ワイドを意識することを徹底した。

「一ヶ月前から自分たちがこういう風にするということが示されて、試合を通してそれが表現できていた」(植木監督)

「ワイドを起点にするということを言われていてもなかなかできなくて、できないと言うかやろうとしていなかった。意識が全然なかった。練習でワンタッチをチームとして増やしていくうちに自然とワイドへの意識をみんなが持てるようになった」(田中)

アンカーという要のポジションをまかされ、キャプテンとしてチームを引っ張る立場である田中もまた壁にぶち当たっていた。2-4で前橋育英に敗れた選手権群馬県予選決勝の後、監督・先輩から厳しい言葉をかけられたという。

「それをポジティブに受け止めて、1年の頃の映像を見返して、自分の良さを見直した。それで今は少しずつ上がってきています」。ネガティブな指摘を受けるのは誰でも好きではないが、田中は前向きに受け止め自分を見つめ直した。「緊張より楽しみな気持ち」。この試合を前にそう思えるまでに、調子を上げてきたのである。

「試合が始まる前に言ったんですけど、勝っても負けても健大高崎のスタイルがこの一ヶ月で作り出せていた。負けたとしてもこの先の健大高崎に大きな影響を与える代だった」と指揮官に言わしめるほど、チームは充実している。

大会は残り二日間。2試合で1勝すれば2年ぶりの全国出場が決まる。ライバルは強豪揃いだが、健大高崎にもチャンスは十分にある。この一ヶ月で積み上げてきた自信をよりどころに全国を掴みに行く。