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[なでしこジャパン]アメリカ、ブラジル相手に成長を示したキリンチャレンジカップの戦い

トピックス 大住良之(サッカージャーナリスト)
なでしこジャパンは伸び続けている。4月1日から5日まで行われたキリンチャレンジカップでアメリカと1-1で引き分け、ブラジルに4-1で勝利。アメリカもブラジルに3-0で勝ち、勝ち点、得失点差で並んだが、総得点数で上回り、優勝を飾った。

 1日に日本 vs アメリカ、3日にアメリカ vs ブラジル、5日に日本 vs ブラジルという変則的な日程は、日本に圧倒的に優位。なでしこジャパンはあえてそのアドバンテージを消そうと3日に紅白戦を入れたが、相手チームにハンディがあったのは確か。しかしオリンピックではメダル争いの場(準々決勝以降)で対戦すると予想される相手に対して、なでしこジャパンは確実に成長していることを示した。

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 岩清水梓不在のセンターバックはアメリカ戦に続き、この日もベテランの矢野喬子が埋めた。大黒柱の澤穂希を欠くボランチは、この日は阪口夢穂も外し、田中明日菜と宇津木瑠美を並べた。

 なでしこジャパンは前半16分に相手のオウンゴールで先制、前半終了直前に直接FKを決められて1-1で折り返した。後半にはいると13分にFW永里優季、16分にMF宮間あやが連続得点して相手を引き離し、44分には右サイドのすばらしい攻めからFW菅澤優衣香が4点目を決めた。アメリカ戦でのブラジルの3失点はすべてリスタートからのもの。なでしこの2点目も、宮間のライナーの右CKをニアポスト前に走った永里がすばらしいヘディングで決めたもので、やはりリスタートからだった。

 しかし3点目はDF矢野から始まった攻撃が左サイドでDF鮫島彩、MF川澄奈穂美、FW菅澤と縦に縦にとつながった。ゴールライン際まで前進した菅澤からのパスを中央で受けたFW永里が反転してシュート、GKがはじくところに走り込んだMF宮間が叩き込んだ。そして4点目はやはりDF矢野から始まり、MF高瀬愛実から右サイドのMF上辻佑実に展開、上辻が持ち出して右外に上がったDF近賀ゆかりにパス、近賀がニアポストに低く強いボールを送ると、走り込んだFW菅澤が得意のワンタッチシュートで決めた。いずれも、サイドを使った見事な攻撃だった。

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 繰り返すが、相手のコンディションが万全でなかったことを差し引かなければならない。しかし1年前には体力とスピードで圧倒されていたアメリカや、そのアメリカと互角の力をもつブラジルに、持ち前のパスワークで互角以上の攻撃を見せることができたのは、オリンピックに向けて大きな収穫だった。

 昨年のワールドカップの時点では、試合に出ている選手と控えの選手の間にはかなり大きな差があった。昨年9月のオリンピック予選では、その差を相手チームに突かれて苦戦した。しかしわずかな期間で、何人もの選手が大きく伸び、レギュラーと見られている選手たちとの差を急激に詰めた。

 FW永里は昨年と同じ選手とは思えないほどキープ力を増した。なでしこジャパンが強豪を相手に攻撃の時間を延ばすことができたのは、永里の安定したポストプレーのおかげだった。澤がいないなか、その代役として3月のアルガルベカップから使われてきたMF田中は、昨年見られた軽さが消え、安心して見ていられるようになった。さらに、アルガルベカップではセンターバックとして好プレーを見せた宇津木が、ボランチとしても非常にレベルの高いプレーを見せた。

 FWでは、菅澤が試合ごとに良くなってきている。ブラジル戦は後半からの出場だったが、ゴール前だけでなく、中盤に下がってもしっかりとしたプレーを見せるようになって、3点目、4点目で決定的な役割を果たした。その菅澤に押し出される形になった本来はFWの高瀬も、ボランチというまったく新しい役割のなかで持ち前の強さを生かせるようになった。

 GKでは、ワールドカップで全試合に出場した海堀あゆみを、福元美穂が抜き返してしまったかもしれない。アルガルベカップ以来、それほど福元のプレーは安定している。攻撃面での自信を深めた。選手層が、昨年とは比較にならないほど厚くなった。なでしこジャパンは、オリンピックに向け、さらに成長した姿を見せた。
(了)