[東北高校選手権]新境地開拓でV貢献!聖和学園DF今野杏凪「今日みたいなサッカーがとても楽しかった」
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「最初から最後まで聖和が自由にいろんなプレーができる状況が多くて、本当に楽しかった。ゲームメイクをしたいと思ってた。自分の想像してたゲームメイクができて、 とても楽しかったです」。
専大北上(岩手)との決勝を制した聖和学園(宮城)のMF今野杏凪(2年、日テレ・東京ヴェルディメニーナ)は開口一番、そう試合を振り返った。パスとドリブルを融合させたスタイルで70分にわたって主導権を握った聖和学園は、5ー0で勝利を収めた。中盤で攻守にわたって存在感を発揮し、チームを牽引していたのが今野である。
そんな今野に得点チャンスが訪れたのは、2ー0で折り返した後半8分。中盤で味方にボールを預けた今野はするすると前線へ駆け上がっていく。米村歩夏(3年、十勝FSリトルガールズ)、本田悠良(3年、INAC東京)、MF石川麗奈(2年、日テレ・東京ヴェルディメニーナ)とパスをつなぐと、「麗奈だったら絶対出してくれると思って、思いっきり走ったらそのまま出してくれた」。ペナルティーエリアに走り込んだ今野がスライディングしながら石川のラストパスに合わせ、ゴールにねじ込んだ。
つづく同26分には、ゴールを演出した石川がミドルシュートを決める。すぐ近くにポジションをとっていた今野はすかさず石川に抱きつき、喜びを分かち合う。日テレ時代から5年目の仲となるふたりはこの日、アンカー(今野)とインサイドハーフ(石川)としてプレーし、ともに中盤を担っていた。
今野は準決勝では3バックの左サイド、決勝ではアンカーとして起用され、複数ポジションでのプレーでチームの優勝に貢献。今野をコンバートした曽山加奈子監督は、その狙いについて次のように話している。
「彼女は元々、攻撃参加の意欲が高いので、そこで守備をしつつ攻撃に、下から湧いて出るみたいな感じで、オーバーラップとかどんどんしてもらいたい。今日も点を取ってましたけど、ああいうプレーを期待しています。今日は彼女のいいプレーを出せたかなと思います」。得点は曽山監督の期待をそのままなぞるようなシーンであった。
昨年までは4バックの左サイドバックとして、オーバーラップからの攻撃参加に加えて、左サイドだけには留まらない神出鬼没な動きで得点に絡んできた。今年1月に開催された東北新人戦、尚志との決勝ではゴールライン際までオーバーラップしてきた今野の折り返しから米村の決勝点が生まれている。

攻撃ばかりをクローズアップしてきたが、守備の貢献度も非常に高い。この日、アンカーの位置で相手の攻撃を食い止めたのは一度や二度ではない。
「はるかさん(CBの佐々木はるか)が見てるマークにまず出させないっていうのを目標にしてて、その背後で守るっていうのを、曽山先生からも今日のあんなのやるべきことみたいな感じで言われてたので、背後で守るっていうのは意識してやりました」(今野)。
最終ラインの前で相手の攻撃の芽を摘み、ひとたびボールを奪えば自由奔放な動きで攻撃参加。前述した得点シーンも今野のインターセプトから攻撃が始まっている。アンカーとしての今野は攻守において、チームを支える存在と言っても過言ではない。
東北制覇を果たした今、次は北海道で開催されるインターハイに臨む。前回出場した4年前の大会ではベスト4入りを果たしており、チームとしても優勝を目標に掲げている。またチームには北海道出身の選手が多く、モチベーションは高い。今野にとっては初めてのインターハイ。どんな思いで臨むのか。
「今日みたいなサッカーがめちゃくちゃ楽しかった。このサッカーを本番のインターハイでもできるように、これから練習していきたい。(個人としては)今日みたいに1点、得点かアシストにこだわりたい」。北海道の地で聖和のサッカーを存分に見せつけ、自らのゲームメイクと得点でチームを勝利に導く。