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[東北高校選手権]専大北上MF昆野杏梨「ゴールは狙ってた形」、4年ぶりインハイへ導く延長戦の2得点!

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「尚志に大事なとこで負けてきて、3年生の悔しい顔をいっぱい見てきた。今日勝たせられてよかった」

苦しい試合展開の中で迎えた延長戦で2ゴールを挙げ、チームを勝利へと導いたのは専大北上MF昆野杏梨(2年)である。

6月18日に行われた東北高校選手権の準決勝。専大北上(岩手)は尚志(福島)と激突した。全国大会の出場権がかかった試合で対戦するのは、2021年の選手権東北大会以来となるが、両チームは今年1月の東北新人戦、4月の東北女子サッカーリーグで対戦。いずれも専大北上が敗れている。そのリベンジを果たし、4年ぶりのインターハイ、そして2年ぶりの全国大会出場を決めた。

試合はMF白石朝香(3年)とMF工藤蒼生(3年)のゴールで専大北上がリードを奪うが、尚志は終盤にMF柳橋里奈(3年)とFW福田こはる(3年)のゴールで追いつく。福田の同点ゴールが決まったのは後半アディショナルタイムだった。

2ー2で突入した延長戦。専大北上は延長前半4分に途中出場のFW佐藤なごみ(3年)がゴールポスト直撃のシュートを放つなど、試合を優位に進める。歓喜の瞬間はすぐに訪れた。

延長前半7分、「(大野)妃菜とのコンビネーション。妃菜ならパス出してくれると信じて走った」という昆野杏梨の足もとへFW大野妃菜(2年)からグラウンダーのパスが届けられる。中央やや右寄りでボールを受けた昆野杏は、ゴールに向かってドリブルで切り込み、左足でゴールネットを揺らす。

さらに一気に畳み掛けて追加点を奪う。延長前半10分、白石がDFライン背後へ浮き球のパスを放つと、飛び出してきたゴールキーパーの背後で受けた昆野杏が無人のゴールへ流し込んだ。

「監督からはどんどんシュートを撃ってチャレンジしろと言われていた。左足だったんですけど、思い切って撃って、ちゃんとコースに決められてよかったです」と、得点シーンを振り返った。



「攻守においてとても影響力あるプレーで、時間が経てば経つほど存在感が出てきた。 本当に最後まで走りきれる選手だなと思います。延長の1点目は自分で持ち込んでシュートを決めるという、彼女が練習してた形。今までずっとパスだったので、その形を自分で意識していた。それがうまく実ってくれて良かったなと思いました」。

手放しで喜んだ佐藤徳信監督は昆野杏に厚い信頼を寄せる。3年生が居並ぶスタメンにあって、昆野杏は数少ない2年生レギュラーのひとり。高い技術と圧倒的な運動量でゲームに関わり、チャンスを演出。試合終盤になっても運動量が落ちることはなかった。尽きることのないスタミナは、苦しい時間帯に2列目から飛び出していった得点シーンからもうかがえる。

3バックと4バックを併用する専大北上。昆野杏は3バックではキャプテンの白石とダブルボランチを組み、4バックではアンカーを務める白石の1列前でインサイドハーフとしてプレーする。チームを重要な役割を担っているが、フォーメーションの変更にも器用に適応している。

「(白石は)たくさん声かけてくれる。そこは関係性、練習してきたことをしっかり出せたかなって思います。(3バックも4バックも)どっちも練習してきてたんで、 少し最初の方は手こずる部分とかあったんですけど、落ち着かせられてできました」

チームにとっては4年ぶりだが、彼女にとっては初めての夏の全国舞台。本大会へ向けた意気込みを次のように話した。「インターハイでも絶対勝ち切って、みんなで1つでも多く勝って、笑顔で戻ってこれたらなって思います。ベスト4という目標掲げてるので、まずはそこに向かってみんなでひとつひとつ勝っていきたい」
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