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[選手権関東大会]霞ヶ浦とのPK戦を制した修徳。無得点も自分たちのサッカーを表現して全国切符をつかむ

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)



11月13日、第31回全日本高校女子サッカー選手権関東大会2回戦が行われ、Bピッチ第1試合では修徳(東京②)と霞ヶ浦(茨城②)が対戦した。

試合は規定の80分と10分ハーフの延長を終えてもスコアは動かず、PK戦に突入する。修徳は長峰伶愛(3年)が2本、霞ヶ浦も中村優乃華(3年)が1本を止めるなど、両チームのGKが見せ場を作ったが、3ー2で制した修徳が準決勝に進むと同時に11大会連続11回目の全国出場を決めた。

★★★

「前半は押し込まれる時間帯が多かった。でもそこを粘って後半になった時に、点は入らなかったですけど自分たちの形で攻撃できた」。そう振り返ったのは、キャプテンのMF小倉琉海(3年)である。

強風の下で行われた一戦。前半はコイントスで陣地を選び、風上に立った霞ヶ浦が試合を優位に進めた。最終ラインの堅い守備をベースに、奪ったボールを前線のフォワードに集め、手数をかけずにゴールをめざす。

「蹴られた時にセカンド(ボール)を拾えるような位置に常にいるようにしました」と、ダブルボランチの一角を務める小倉も守備に重点をおきながらプレーした。押し込まれるなかでも相手の決定的なシーンを最小限に抑えながら反撃の機会をうかがった。

そして前半31分にビッグチャンスが訪れる。起点となったのは小倉。ルーズボールを拾ってMF小川結羽(2年)に預けると、ボールがFW那須野陽向(2年)を経由する間に前線へ走り出す。那須野からのパスを受けると、がペナルティーエリアに侵入して右足を振り抜く。シュートは相手GKに阻まれたが、鮮やかな連携からのフィニッシュであった。

「自分の特長は前に出るとか、裏に走ること。チャンスのシーンでは後ろから飛び出していくことを意識しました」と、ここぞという場面では躊躇することなく、前線に飛び出していった。

コートチェンジして風上に立った後半は前から積極的にプレスをかけ、主導権を引き寄せる。開始直後には小川とのワンツーでインナーラップした小倉が右サイドを突破。クロスは惜しくも味方に合わなかったが、こぼれ球を拾って最後はMF白城璃々花(2年)がミドルシュートを放った。

後半9分には白城が右サイドをドリブルでえぐり、ペナルティーエリアに侵入して折り返す。このボールに修徳はふたりの選手が飛び込むが、体を張って前に出たGKがボールを死守する。

修徳はCF那須野のポストプレー、ドリブルとパスをまじえた連携、ロングフィードなど、さまざまなプレーを織り交ぜながら霞ヶ浦の守備網を破り、ゴールに迫っていく。一方、後半は主導権を握って相手にシュートを撃たせず、延長に入っても決定的チャンスは作らせていない。ゴールネットを揺らすことはできなかったが、ここまで積み上げてきたサッカーをピッチで表現することに成功した。

「中盤に足もとがある選手が多くて、(フォワードの)那須野もボールを収められる。裏に蹴るだけじゃなくて、裏に蹴るモーションに入った時に、相手が下がったところのスペースをうまく使えるように、ポジション優位を結構意識してます」と、今年のチームの特徴について小倉は話す。

日体大SMG横浜の吉川はなの、横浜FCシーガルズの平川杏奈(今オフに海外移籍)と片山由菜、伊賀FCくノ一三重の藤田理子。修徳を卒業した、ずば抜けた能力を持つ前線のアタッカーを挙げれば枚挙にいとまがない。

今年の修徳は小倉、白城、筒井まつり(1年)と、中盤に配された足もとに秀でる選手たちの技術、アイデア、運動量を土台として、主導権を握りながら多彩な攻撃を繰り出す。例年とは異なるスタイルだが、選手権に向けてしっかりとチームを作ってくるところはさすがの一言である。