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[東北新人戦]聖和学園FW米村歩夏、決めきる力を磨いてもぎ取った決勝点と4度目V

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

[東北新人戦 決勝 聖和学園 1(延長)0 尚志]

第22回東北高校新人女子サッカー選手権大会は23日、相馬光陽サッカー場で決勝が行われ、聖和学園(宮城)と尚志(福島②)が対戦。延長後半終了間際に決勝点を挙げた聖和学園が1−0で勝ち、3年ぶり4度目の優勝を飾った(2008年度と2016年度は両校優勝)。

この日、前半から積極的にシュートを放ち、チーム最多となる9本を記録したのがFW米村歩夏(2年)である。

前半から積極的にゴールを狙っていった米村は、後半開始直後の2分にドリブルから左足でシュートを放つと、時間の経過とともにギアを上げていく。

後半9分にはDF今野杏凪(1年)がドリブルで駆け上がり、相手DFに阻まれたこぼれ球を拾ってシュート。決定的なチャンスだったが、相手GKに阻まれる。同16分には浮き球のパスに走り込んだMF本田悠良(2年)が米村とのワンツーからシュートに持ち込む。

延長戦に突入すると、延長前半6分には前線からのプレスで奪ったボールを遠藤瑚子(2年)から受けた米村がシュート。延長後半7分にも遠藤のスルーパスに米村が走り込む。相手DFが必死に体を入れてシュートは撃てなかったが、後方でボールを拾った益子由愛(2年)が体を投げ出してシュートに持ち込む。

この試合最大の決定機だったが、シュートはまたしてもGKに阻まれた。このままタイムアップを迎え、決着はPK戦に委ねられるかと思われた延長後半9分、ついに試合が動いた。

聖和学園はSB今野が左サイドでドリブルを開始する。ペナルティエリアに侵入すると、角度のないところから思い切って左足を振り抜く。このボールは尚志GKがはじいたが、ゴール前には米村と本田が詰めていた。米村の前にこぼれてきたボールをそのまま押し込んだ。

「点を決めることを目標にして試合に臨んだので、最後のチャンスだったし、左サイドバックの人がシュートを撃って、ボールが来たら絶対決めるって決めてた。信じて走ったら自分のところにこぼれてきたので、しっかり決めました」(米村)。

尚志が反撃する時間は残されておらず、タイムアップの笛が鳴り響く。最後の攻撃機会を得点につなげた聖和学園が1-0で勝利した。



新チームを立ち上げて約3週間。「選手権で全然決めきれなくて負けてしまった。いいサッカーをしてたけれど、勝ちきれないところが聖和の課題だった。シュートで終わるだけじゃなくて、ちゃんと決めきる。一人ひとりがゴールの意識を強く持って練習してました」(米村)と、シュートに磨きをかけてきた。

今年1月の全日本高校女子サッカー選手権で味わった悔しさがこのチームの出発点となっている。1回戦で対戦した十文字に0−2で敗れ、初戦敗退を喫している。

聖和学園は前半、三度にわたって決定的なチャンスをつくった。そして、聖和学園がチャンスを逃すたびにゴールネットを揺らした十文字が2点のリードを奪う。それでもまだ付け入る隙は十分にあったが、三度目のチャンスも活かすことはできない。勝敗を分けたのは、チャンスを決め切る力だった。

”シュートを決めきる”ことはチームの課題であると同時に、米村自身も意識していることである。だからこそ、この日の試合でもゴールを決めることを胸に刻んで試合に臨み、ラストチャンスでゴールを決めてみせた。高校サッカー最後の年となる今年の目標を尋ねると、まず返ってきたのはやはり”決めきること”。

「フォワードなので得点でもチームに貢献したい。今日もそうだったんですけど、ゴール前のシュートの質、緊迫してる時のシュートの質(を上げる)。相手がいるのに撃っちゃう時があるので、そこでしっかりゴール前でも落ち着いて決め切る力をつけたい」

さらにつづける。「下で落ちて受けた時にサイドチェンジとか、広い方を見て、攻撃の起点になるプレーもどんどん増やしていきたいです」。実はこの日もシュートだけでなく、周囲との連携から多くのチャンスを作り出していた。自身の攻撃の引き出しを増やし、得点でもチャンスメイクでもチームを勝利に導くプレーをする。