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[なでしこ2部入替戦]レイア湘南MF遠藤彩椋、新たなポジションでチームの昇格を支えたキャプテン

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

2023年11月12日(日)
2023プレナスなでしこリーグ2部入替戦 第2節
‪SEISA OSAレイア湘南FC‬ 1-1 FC今治レディース
得点:[R湘南]鈴木陽笑、[FC今治]森瀬希咲


プレナスなでしこリーグ2部入替戦の第2節。ホームにFC今治レディースを迎え撃った‪SEISA OSAレイア湘南FC‬(以下、湘南)は1-1で引き分け。勝ち点1を分け合った両チームは、2部への昇格条件である3位以内を確定した。

試合後、スタンドに向かって挨拶した湘南のキャプテン・MF遠藤彩椋は、「自分たちがやりたかったサッカーが出来なかった」と、反省の弁を述べた。その後のインタビューでも同様の話を繰り返す。

「最初は左から起点になって攻撃できたと思うんですけど、もっとチャンスがあった中で決め切れなかった。失点してからの流れが少し悪くなり、相手の動きに合わせて自分たちの動きを変えられなかった。もうちょっと判断を変えるべきところはあったと思う」(遠藤)。

試合は前半8分に湘南が幸先良く先制するが、同34分にはFC今治に同点ゴールを許す。その後はラインを押し上げてきたFC今治の圧力を受けることとなり、自陣でのプレーがつづく。決定的なチャンスを作られたわけではないが、気も抜けない難しい状況だった。

この日は3バックでスタートした湘南だったが、前半終了間際に4バックへ移行。後半も4バックから3バック、4バックと目まぐるしくフォーメーションを変えていく。そうした中、フォーメーション変更の意図を汲みとりながら中盤の舵取り役を担っていたのが遠藤である。

「相手のやり方が変わった時にコーチ(柄澤監督)も変えてると思うので、その時その時によって、自分のポジションも変わる。4枚の時はちょっと守りたい時間じゃないですけど、堅く行きたい時間なのかなと思って。なるべくリスキーなことはしないように意識してやってました」。



中盤の底でチームを支えていた遠藤だが、もともとは攻撃的なポジションの選手だった。クラブの下部組織でもある星槎国際高校湘南では、高校3年時の全日本高校女子サッカー選手権で「10番」を背負い、センターフォワードとして5試合出場3ゴールを記録。チーム史上初となる全国制覇に貢献した。

卒業後はトップ昇格を果たして、湘南に加入。昨年までは攻撃的なポジションでプレーしていたが、今シーズンから現在のポジションにコンバートされる。「わからないことだらけ」だったという中盤のポジションでも時間の経過とともに自身の役割を見出していく。

「ずっと攻撃をやってたので守備が得意じゃなかった。だから攻撃的なポジションを取ってたんですけど、守備的なポジションを取るようになっていった。なんとなくリスクを感じるというか、リスク管理が大丈夫かなって。上がりすぎてカウンターを食らって戻りきれなかったり、追いつかないことが増えてきた。となった時に、上がりすぎないようにしたり、ちょっとバランス取るようになって、気づいたら守備的になっていました」。

3バックと4バックの併用にも順応する。3バックではMF森美礼亜とダブルボランチを組み、4バックではワンボランチ。高校時代からこのポジションを務めてきた森を一列前に押し上げ、アンカーと呼ばれる重要な役割を担っている。自身の役割がはっきりしているアンカーと比べて、相方との連携もより必要になってくるダブルボランチについては課題も口にする。

「4バックの方が守備重視だから、アンカーの方がやりやすいというか、守備のバランスを取ればいい。ツーボランチ(3バック)の時は攻撃も守備もなのでちょっと難しいですねまだ。ツーボランチだと美礼亜とバランスも取らなきゃいけないので、バランスだったり攻撃参加できるようになったりとか、守備でももっと上手く、前の選手をコントロールできるようにしていきたい」。

昨シーズンからキャプテンに就任し、今年はボランチへのコンバート。慣れない役割、ポジションをこなして、チームをなでしこリーグ2部昇格へ導いた。 昨シーズンからキャプテンに就任し、今年はボランチへのコンバート。慣れない役割、ポジションをこなして、チームをなでしこリーグ2部昇格へ導いた。

来シーズンはまだどのポジションを任されるかわからない。「できたらもうちょっと攻撃的なポジションがいいかな。やっぱり攻撃の方が好きなので」と、遠藤自身はより攻撃にかかわるポジションでのプレーにも意欲を見せる。同時に、「来年どこをやるのかわからないですけど、どこをやってもうまくバランスを取って、状況判断がもっとできるようにしたい」と、どのポジションであっても自らがやるべきことを明確にした。

慣れないポジションで試行錯誤を積み重ねてきた今シーズン。チームの新たな歴史を切り拓き、最高の結果を手繰り寄せた。なでしこリーグ2部へ挑む来シーズンはまだどのポジションでプレーするかはわからないが、与えられたポジションと向き合いながら自身の役割を見出していく。