[東京都高校総体]2G3Aの大暴れ!十文字MF早間美空はどのポジションもハイレベルでこなす万能型MF
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[2023.5.7 東京都高校総体 決勝 十文字 6-1 修徳]
「早間先輩のシュートすごかったね」。
試合会場の最寄りバス停に並んでいた十文字の選手たちが口にしていたのが印象的だった。早間先輩とは、十文字の10番を背負うMF早間美空(3年)である。
7日に決勝が行われた令和5年度 第24回東京都高等学校総合体育大会女子サッカー競技。6−1で勝利した十文字の10番、早間は2得点3アシストと、6ゴール中5つのゴールに関与する活躍を見せた。
圧巻だったのは、冒頭に紹介した、後輩たちをも驚かせたふたつのゴールシーンである。
1点目は1−1で迎えた前半21分。ゴール正面でフリーキックを獲得する。キッカーの早間が左足を振り抜くと、鋭い弾道でカーブを描いたボールがゴール右すみに突き刺さる。壁となった9人の選手、GKも触れることが出来ないゴラッソである。先制したものの直後に追いつかれたチームにとっても貴重な勝ち越し点だった。
「(フリーキックが)ずっと課題でした。キックの質が悪くて、いつも上とかに行ってしまって、全然入らなかった。今回は気持ちも強かったので、その部分が得点に繋がったのかなって思います」と、早間は振り返る。課題克服の努力が実り、大きなゲームで初めて決められたFKでの得点だったという。
2点目は後半アディショナルタイム。センターライン付近、右サイドでボールを受けると、「フリーで持ててたので、ゴールまで行ってやろうと思った」と、ゴールに向かってドリブルで突き進んでいく。飛び込んできたDFをかわしてペナルティーエリアに侵入すると、今度はDFとGKを一気に抜き去流。あとは無人となったゴールに流し込むだけ。ゴールラッシュを締めくくった。

2年時の昨年、サイドバックやサイドハーフとして頭角を現した。推進力あるドリブルからゴール前へクロスを送り、強烈なシュートを放って存在感を発揮する。さらに公式戦やトレーニングマッチなどでアンカー、インサイドハーフとしても起用され、プレーの幅を広げてきた。
この試合ではインサイドハーフとして先発すると、後半開始からセンターフォワードに上がる。「フォワードはまず守備の起点になるので、自分がスイッチにならないと意味がない。あとはボールを失わないことを意識していました」。そして、後半途中にはふたたびインサイドハーフに戻っている。
「フォワードへ移った時のプレーの切り替えがまだまだ」と、厳しい自己評価を下しているが、どのポジションでプレーしても自身の良さを発揮しながら光るプレーを見せている。複数ポジションをこなす中で成長したと感じている部分について聞いてみた。
「だいぶ周りが見えるようになったかなって思います。最初は後ろ向きで受けて、相手に取られて失点っていう場面がすごく多かったんですけど、最近はワンタッチではたいたり、周りを見て相手を食いつかせてターンとか、いろんなプレーができるようになった。そこは成長したかなって思います」
十文字では多くの選手が複数ポジションでプレーでき、それがチームの強みにもなっている。そして定まったポジションに固定されることなく、流れの中でもポジションを移しながら相手を攻略する。この試合でも十分に発揮していたが、満足はしていない。
「全員がいろんなポジションをできるのは本当に強みだと思うけど、まだそんなに強くない。他のポジションをやってもその人が一番うまいっていうぐらいに、どこをやっても一番上手いぐらいの勢いじゃないと穴ができてしまう。もっとレベルアップしないといけない」
全員がユーティリティー性を持つだけでは強みとは言えない。それぞれのポジションをハイレベルでこなし、スペシャルな存在になるくらいでなければならない。早間は妥協することなく、さらなる高みを目指して進みつづける。