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[宮城県高校総体]準々決勝|聖ウルスラ学院が初の県ベスト4!仙台育英との接戦を制する

トピックス

2024年6月1日(土)
令和6年度宮城県高等学校総合体育大会 準々決勝
聖ウルスラ学院 2-1 仙台育英
得点:[ウルスラ]岡本莉望(39分)、山内詩乃(64分)、[仙台育英]竹田蘭(42分)




令和6年度 宮城県高校総体は6月1日、松島運動公園で準々決勝3試合が行われた。第1試合では聖ウルスラ学院と仙台育英学園が対戦。聖ウルスラ学院が2-1で競り勝ち、初のベスト4に名乗りを挙げた。

インターハイ、選手権、新人戦を含め、聖ウルスラ学院が宮城県内の大会で準決勝に進出するのは初めてのことである。とりわけここ数年に渡って挑んできた仙台育英に対しては、2021年度以降だけでも8度目の挑戦にして初めて勝利を手にした。

試合は前半、ロングボールを放り込んでくる仙台育英に対して我慢の時間帯が続いた。 相手の攻撃を粘り強くはね返しながら、CF岡本莉望(2年)が 前線に残ってカウンターを仕掛ける。ボールを奪ったら全体を押し上げることも忘れなかったが、 どうしても単独での打開が多くなり、単発な攻撃になってしまう。それでも仙台育英に得点を許すことなく、前半を0-0で折り返した。

迎えた後半、聖ウルスラ学院は後半3分に左ウイングの矢野晏有(1年)が岡本とのワンツーでサイドを抜け出してゴールへ迫る。良い形で後半に入ったこの流れを途切らせることはなかった。後半4分、コーナーキックからファーサイドへ流れてきたボールをMF髙橋希咲(1年)が押し込み、聖ウルスラ学院が待望の先取点を挙げる。

CB布田ここみ(2年)が最終ラインからボールを運び、前の選手へつなげたプレーで得たコーナーキック。 攻撃に複数の選手が関われるようになり、得点へと結びついた。 だがその3分後、一瞬の隙を突かれて仙台育英に同点ゴールを許し、試合は振り出しに戻った。

その後も仙台育英のチャンスが続き、クロスバー直撃のシュートやゴールキーパーと入れ替わられるなど決定的なシーンを作られる。それでもセンターバック2人の連携など最終ラインが踏ん張り、 仙台育英に逆転を許さない。

そして後半終了まで残り4分となった31分、聖ウルスラ学院はMF伊東蓮夏(3年)のパスを受けたMF山内詩乃(1年)が勝ち越し点を挙げる。対する仙台育英も終了間際の34分にコーナーキックから決定的なヘディングシュートを放つが、クロスバーに救われる。そして聖ウルスラ学院の勝利を告げるタイムアップの笛が鳴り、歓喜の瞬間が訪れた。

後半31分にはMF山内詩乃が勝ち越し点を挙げる。この得点が決勝点となった。 後半31分にはMF山内詩乃が勝ち越し点を挙げる。この得点が決勝点となった。

10年以上にわたって4強(常盤木学園・聖和学園・仙台大明成・仙台育英)が上位を独占してきた宮城県。聖ウルスラ学院がその牙城を崩した意義は大きい。宮城県の歴史を変えた勝利でもある。だが、本当の意味で歴史を変えようと取り組んでいることがある。それはU-15年代の下部組織、「URSULA Libertad LFC」を今年度から立ち上げたことである。

宮城県は常盤木学園、聖和学園が全国区。さらに仙台大明成、仙台育英も東北女子サッカーリーグに参戦している。だが足元を見れば、今大会、単独チームとして出場したのはわずか6チームに過ぎない(この他、宮城広瀬、古川黎明、大崎中央による合同チームが出場)。

常盤木学園、聖和学園など県外から多くの選手がやってくる一方、宮城県内で育った選手は多くはない。昨年、U-15女子の公式大会に出場したのはわずか4クラブ。東北6県で最も人口が多い県としてはあまりに少ない。宮城で生まれた女子がサッカーを続ける選択肢を持てるようにすること。それこそが本当の意味で宮城の女子サッカーの新たな歴史を築き上げることにつながるのではないだろうか。