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[皇后杯東北大会]聖和学園が終盤の逆転劇で決勝へ!反撃の口火を切ったのはMF早瀬彩来の鮮烈なミドル弾

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)



[皇后杯東北大会 準決勝 マイナビ仙台レディースユース 1-2 聖和学園高校]

皇后杯JFA第44回全日本女子サッカー選手権大会東北大会は8日、松島フットボールセンターで準決勝が行われた。第2試合ではマイナビ仙台レディースユースと聖和学園高校が対戦。聖和学園が2−1で逆転勝利を収め、10日の決勝に駒を進めた。

1点を追いかける聖和学園は65分、MF益子由愛が落としたボールをMF早瀬彩来が右足でミドルシュートを放つ。ボールが大きく枠を外れると、早瀬は天を仰いで声をあげ、悔しさを露わにする。

「前半からシュートチャンスはあったんですけど、ビビって自分が足を振れなかった。後半に入って、 1回目は逃しちゃったんですけど、あの時にもう絶対振るって思っていた」

そう決意して迎えた83分、絶好の機会が訪れる。右サイドをドリブルで駆け上がったDF小笠原由依が中へ折り返す。今村栞愛がスルーしたボールを受け取った早瀬は、右足トラップから持ち替えて左足を振り抜く。弾丸ライナーが相手GKの手をはじいてゴール左隅に突き刺さった。

このゴールから始まった終盤の逆転劇だったが、劣勢に立たされた前半から着々と手を打ってきたことが試合終盤になって一気に実った。打ってきた布石を成果に結びつけたのが早瀬のゴールだったとも言い換えられる。

決勝点を挙げた本田悠良(左)もゴール前まで戻って守備を助ける。 決勝点を挙げた本田悠良(左)もゴール前まで戻って守備を助ける。

試合は立ち上がりからマイナビが聖和学園を圧倒する。選手がポジションチェンジを繰り返しながらボールを動かし、DFも動かしながら相手ゴール前に侵入していく。

「走らされてる感じがすごくて、わざとスライドさせられたり、取り切る場所を変えてきたりして、自分らが狙っているところで、あえてそこを使って崩していこうとされていた。なかなか取りきれないことが多くて、 前半はしんどかったです」(早瀬)。

押され気味だった聖和学園だが、開始早々に相手の動きを見るなりDF間で話し合うなど反応は早かった。GK桑名杏奈、CB川原梨寧を中心とした守備陣がゴールを割らせない。

ベンチも石川麗奈に代わって今村、計良杏実に代わって遠藤瑚子を投入するなど手を打っていく。ハーフタイムに近づくにつれ、本田悠良の突破、小笠原の攻撃参加など、徐々に攻撃の足かがりをつかんでいく。

スコアレスで折り返した後半には、前線からの圧力を強め、マイナビから主導権を奪う。57分には先制点を許したが、ここまでお膳立てしてきたことまでは手放さなかった。マイナビは81分、豊富な運動量で攻守にわたってキーマンとなっていた大曽根由乃が足を攣らせて交代。早瀬の同点ゴールが生まれたのはその直後のことである。

試合を振り出しに戻した聖和学園は、時間内に決着をつけるべく怒涛の攻撃を繰り返す。88分には佐藤眞桜のシュートがクロスバーを直撃すると、その2分後には本田からの横パスを受けた片岡花海が味方のスクリーンも使いながらターンして左足シュート。シュートはGKに阻まれたが、この直後に決勝点が生まれる。

左サイドをドリブルで進んだ遠藤が中央へグラウンダーのパスを入れる。このボールを片岡がヒールで落とすと、本田が右足ダイレクトでゴールネットを揺らした。片岡が落とす直前には今村がスルー、この動きで相手DFは釣られ、本田がフリーでシュートする場面を作り出している。ザ・聖和と言うべき得点シーンだった。

聖和学園らしいサッカーをピッチで展開したのは10分足らずだが、そこにネガティブな印象はまったくない。洗練されつつある守備と試合運び。それらを土台として、導き出した終盤の逆転劇。「魅せることと、勝つこと」。二兎を追うことに挑んでいる聖和学園は、新たなステージを切り開きつつある。