minasaka.net

日本女子サッカーの"今"が分かるWEBマガジン「みんな@サッカー」

[皇后杯]「憧れは岩渕真奈選手!」、途中出場の2年生FW白木珠奈の勝ち越し点で常盤木学園が初戦突破!

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)



[皇后杯1回戦 常盤木学園高校 2-1 FC今治レディース]

皇后杯 JFA 第44回全日本女子サッカー選手権大会は11月26日、27日に各地で1回戦が行われた。セイホクパーク石巻 石巻フットボール場(宮城県石巻市)では常盤木学園高校(東北/宮城)とFC今治レディース(四国/愛媛)が対戦(27日、第1試合)。0−1で折り返した常盤木学園が後半に2得点を奪い、2−1で逆転勝利を飾った。2回戦ではなでしこリーグ1部に所属する伊賀FCくノ一三重と対戦する。

逆転勝利の立役者は2年生FW白木珠奈である。「とにかく前に走って、点を獲ることを考えた」と、1点ビハインドの後半開始からFW茂垣咲椰夏に代わって投入される。前半はボール保持しながらも押し込まれる時間帯が長く、失点もした。後半は徐々にいい守備を攻撃につなげ、相手陣内でボールを動かす時間を増やしていく。

そして77分、絶好のチャンスが訪れる。パスをつないで右サイドへボールを運ぶと、MF竹内瀬戸香がゴール前へ折り返す。このパスは相手GKがクリアするが、このボールに白木とMF伊藤結菜が反応。「自分が触ろうと思ってたんですけど、 結菜からスルーっていう言葉が聞こえて、確実に決めてくれるっていうことを信じて」、ゴールに背を向けていた白木が見送る。ボールを白木に託された伊藤結菜は、右足ダイレクトできっちりとゴールに突き刺す。この得点で試合は振り出しに戻った。

「次は自分が決めて勝ち切る」。勝ち越し点を誓った白木にそのチャンスはすぐに訪れた。同点ゴールから2分後、またしても右からの攻めだった。相手のクリアを拾った伊藤結菜、岸仁美を経由したボールを受けたのはキャプテンのMF高塚映奈。「相手が何枚か自分のところに来てて、珠奈の前にスペースがあった。相手はこっち食いついてるからいけるかなみたいな感じで蹴った」と、高塚が浮き玉のスルーパスを放つ。

「裏にちょうどいいボールを出してくれた。あとは自分が気持ちで押し込むだけだったので、しっかり振り抜いた」と、スペースに走り込んだ白木がダイレクトで右足を振り抜き、逆転ゴールを決めた。

「キュンキュン動ける白木と、ボールを収めながらシュートまで持っていく茂垣と、収めながら持っていく前半の茂垣は相手にとってはちょっと好都合だった。そうすると、相手センターバックの状況がわかんなかったんですね。そういった意味では、白木で動かして、センターバックもしかしたらと思ったら、もしかしたらでしたね」と白木投入の意図を語った阿部由晴監督の采配がズバリ的中した。

白木は白岡SCL出身の高校2年生。今年6月の宮城県高校総体決勝では途中出場から勝ち越し点を挙げるなど、試合の流れを変えるスーパーサブ的な役割を担ってきた。ゴールという形で結果も残している。だが現状に満足はしていない。「まだまだスタメンも取れてないし、全然結果が足りていない。もっと得点を増やして、まずは信頼される選手になれるように頑張ります」と話し、貪欲に結果を追い求め、チームからの信頼を勝ち取ろうと邁進している。

センターフォワードの座を争う茂垣とはタイプが異なる。ポストプレーからのコンビネーション、シュートに持ち込むプレーが得意な茂垣に対して、白木はスピードを武器とする。ポジションチェンジを繰り返す味方の動きを見ながらスペースに動き出し、パスを引き出す。「ワンタッチで出してすぐに動いて、相手が見えないぐらい早くスペースに動くことを意識している」(白木)。DFを背負ってボールを収めるのではなく、前向きにボールを持って勝負するタイプのフォワードである。

憧れはなでしこジャパンのFW岩渕真奈選手(アーセナル・ウィメンFC)だ。「小柄なんですけど、相手に負けないぐらいのしっかりした筋力を持ったり、確実に決めるシュート力」と、その理由を明かしてくれた。小柄な体をものともせずに海外の選手と渡り合い、ゴール前で勝負する。その姿に自分を重ね合わせる。とりわけシュート力については、後述するように自身の課題としても挙げている部分。参考になる部分も多いのだろう。

「シュートの質とトラップしてからシュートまでの速さを意識して、しっかり振り抜いていけるように練習していきたい」。シュート力に磨きをかけ、自らの得点でチームを勝利に導くことで、自身の道を切り拓いていく。