[高校総体]GK男鹿藍里が聖和学園を決勝へ導くPKセーブ!「あの反応は曽山先生の練習の賜物です」
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この日のヒロインはふたりいる。ひとりは後半28分にFKを直接決めて、同点ゴールを挙げたFW今村栞愛(2年、北海道リラ・コンサドーレ)。もうひとりは、PK戦で2本セーブした男鹿藍里(3年、JFC Craque)である。このふたりがチームを初めてのインターハイ決勝へ導いた。
試合は前半アディショナルタイムに福井工大がコーナーキックから先制する。ファーサイドに蹴られたボールを頭で決められた。チームにとっても、GK男鹿にとっても悔やまれる失点となった。
「自分たちはハイボール系が弱いので、セットプレーはやらせたくなかったんですけど、今日はコーナーが多かった。失点に絡んだ時も触れたかなみたいな。だいぶ悔しいところだったので、点を取り返してくれてすごい感謝してます」。後半のクーリングブレイク明け、今村のスーパーゴールで失点は帳消しとなり、挽回する機会が訪れた。
迎えたPK戦、1人目は反応したがコースを突かれて決められるが、2人目のシュートを左への横っ飛びでストップ。3人目も反応したが鋭いシュートを決められ、逆に聖和学園の3人目が相手GKに止められる。3人目を終えて、スコアは3−3。振り出しに戻った。
迎えた4人目、「読みもあったけど、6割反応、4割読みぐらいで行ったんですよ。結果、全部、ボールの方向には飛べたんですけど、最後、2本目止めたのはほぼ反応で、右に飛ぼうと思ってて、そしたら相手の体の向きとか重心とか見たら左だなって思って、コースも甘かったので止められました」と、左へ飛んでセーブする。仲間のPK失敗をすかさず帳消しにしてみせた。
「PKも練習してきたところなんで、よくちゃんと反応して止めたなってところですね」と、元GKの曽山加奈子監督も納得のPKストップだった。

山形県のJFC Craque出身。もともとはフィールドプレーヤーで中3時にゴールキーパへ転向。パスをつなぐサッカーをしたいと聖和学園の練習体験に参加して今に至る。トップチームの正GKとして試合に出たのは今年からだが、的確かつ絶え間ないコーチングで守備を引き締め、抜群の安定感でチームを後方から支える。
「ビルドアップの関わりと、あとはコーチングですね。勇気ある飛び出しはもともと持ってたので、それと合わせればチームを安心させられるキーパーなのかなって思ってます」と、強みをいくつも身につけてきた。キーパーを始めて3年あまりとは驚いたが、そこには曽山監督の指導があるという。
「曽山先生の教え方がほんとに上手くて、元日本代表っていうのもあって、女子のキーパーのこともわかってくれている。自分たちの欠点とか、個人個人違うので、それに合わせて練習もすごくしてくれて、今年は特に、キーパーの練習にフィールドを見ながら、1人で2つ見て教えてくれています。今日止められたPKも練習してたし、あの反応も曽山先生の練習の賜物です」
ついに決勝まで勝ち上がったが、GKとしてはここまで決して満足はしていない。「今までの試合全部1失点しちゃってるので、明日こそ無失点で終わらせたい。リスク管理がまだまだ甘いので、そこをしっかりして勝ち切りたい」。無失点で優勝と有終の美を飾るべく、決勝のゴールマウスに立つ。