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[東北高校選手権]「みんなで守って攻めて」つかんだ1勝。粘り強さ見せたノースアジア大明桜が競り勝つ

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

[2023.6.17 東北高校選手権1回戦 八戸学院光星 1-2 ノースアジア大学明桜]

6月18日に行われた東北高校選手権の1回戦でノースアジア大学明桜(秋田)は八戸学院光星(青森)と対戦。前回大会でも1回戦で顔を合わせて勝利している相手だが、この日も2ー1で接戦をモノにした。

「みんなで守って、みんなで攻撃に行く」。明桜のキャプテン、MF榎朱音(3年、秋田L.F.C.)は松永吾賢監督に常日頃から言われているという言葉を口にした。この日もまずは守備でリズムをつくりながら、少しずつゴールへと近づいていく。

立ち上がりは八戸学院光星ペース。MF生形ひまわり(3年、FCゼブラレディース岩手)のドリブル突破などでゴールに迫っていく。ボールを保持できずに苦しい時間帯がつづく明桜だったが、この時間帯を耐え抜き得点を許さない。前半11分には榎がフリーキックを味方の頭に合わせてゴールネットを揺らすが、オフサイド判定でゴールは認められない。

それでもセカンドボールの競り合いで勝ち、徐々に相手陣内へと押し込んでいく。前半20分にはボランチの榎が右スペースへ鋭いパスを送ると、右サイドを駆け上がった左SH宇沼愛菜(1年、秋田L.F.C.)が折り返すが。相手DFがクリア。その直後にカウンターを受けるが、GK三浦晴(1年、秋田L.F.C.)が1対1で好守を見せ、シュートを撃たせない。

そして迎えた前半26分、ついに試合が動いた。左サイドで榎がボールを受けると、一気に逆サイドへ展開する。右サイドで動き出していた宇沼が相手の内側を抜け出し、ワンタッチで浮き球のシュート。このボールがGKの頭上を越え、ゴールネットを揺らした。

「愛菜(宇沼)が走ってくれてたので、相手がちょっとその選手に釣られて外に出た。相手と相手の間が空いたのが見えたのでそこに入れました」と、決定的なパスを出した榎は振り返った。だがその4分後に失点。試合は振り出しに戻り、1ー1として前半を折り返す。



後半のはいりも主導権を握ったのは八戸学院光星だった。ときにはセンターライン付近まで最終ラインを押し上げ、明桜陣内に押し込んでいく。一方、明桜は後半開始時にMF佐々木遥禾(1年、Craque JFC)とFW永井幸菜(1年、秋田L.F.C.)。後半11分にはFW中山晴楠(1年、秋田L.F.C.)。松永監督は次々と攻撃的な選手を送り込み、メッセージ性の強い交代カードを切っていく。

後半13分にはスペースを突いた攻撃を繰り出す。これはペナルティーエリアを飛び出した相手GKにクリアされるが、こぼれ球を拾った榎からのパスを佐々木がシュート。惜しくも枠を捉えられない。だがその直後のゴールキックをヘディングではね返すと、カバーリングするDFの後ろからボールをかっさらったMF堀井美里(3年、秋田L.F.C.)がゴールに流し込む。苦しい時間帯を耐え抜いた明桜が勝ち越し点を挙げると、その後の反撃をしのぎ切った。

「うちは入りが悪い。その中で八戸学院さんは入りが良かった。最初は失点するんじゃないかと思って苦しかったんですけど、ひとつひとついいプレーをみんなでチームで拾っていきながら、前に出ることができたのですごく良かった」(松永監督)

「前からみんなが走り切る。しっかり走り切ることをすごく先生に言われてました。苦しくてもみんなで走る。粘り強くディフェンスする。というのが、うちらが頑張ってきたこと。苦しい時間が続いても粘り強く抑え続けたのは良かったです」(榎主将)

これまでのトレーニングで取り組んできたことを出し切り、やるべきことをひとつひとつ積み上げながら勝利を手繰り寄せていく。それをチームの全員がやることでつかんだ大きな勝利である。