[高校総体]笑顔がもたらした起死回生の一発!聖和学園FW今村栞愛が同点弾
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全国高校総体は7月29日、帯広の森球技場などで準決勝が行われ、聖和学園(宮城)が福井工大福井(福井)に1ー1からのPK戦で勝ち、初の決勝進出を果たした。
試合は前半アディショナルタイムに福井工大がリードを奪う。スペースへ走り込む相手フォワードに対して、DF我那覇凛(3年、ヴィクサーレ沖縄FCナビィータユース)のカバーリングでコーナーキックに逃れる。だが直後のCKをヘディングで押し込まれた。
前半終了直前、我那覇のいいプレーが出た後だっただけに悔しい失点である。しかし、聖和学園の選手たちが下を向くことはなかった。
MF遠藤瑚子(3年、北海道リラ・コンサドーレ)、DF今野杏凪(2年、日テレ・東京ヴェルディメニーナ)など積極的にシュートを狙っていく。この試合ではクーリングブレイク明け、後半24分にはセカンドボールを拾ってつないだボールをMF益子由愛(3年、小美玉フットボールアカデミー)がミドルシュート。再開後もいい形で試合にはいり、流れを引き寄せていく。
そして迎えた後半28分、聖和学園はペナルティーエリア手前でフリーキックを獲得する。壁は3枚。キッカーのFW今村栞愛(2年、北海道リラ・コンサドーレ)が右足を振り抜くと、強烈な弾道のシュートが壁横をすり抜け、ゴールネットに突き刺さった。
ここまで聖和学園はトリッキーなフリーキックが多かった。この場面ではベンチの曽山加奈子監督から直接狙ってみろと声がかかったという。
「壁の横に1枚いるんですけどいなくて、そこを目がけて撃ったらキーパーも触れずに入ったという感じです」と今村は得点シーンを振り返る。相手の裏をかく、会心のシュートだった。2回戦でもゴールネットを揺らしたものの記録はオウンゴール。地元・北海道での大会で嬉しい初ゴールとなった。

今大会は前後半に約5分間のクーリングブレイクが設けられている。選手はいったんベンチに戻り、休息をとることができる。前述したように、このクーリングブレイク明け、いい形で試合にはいれたことで流れを引き寄せ、今村の同点ゴールにつながった。ベンチではどんな指示があったのか。
「基本は生徒たちがたくさん喋ってるので、私はどんな状況でも笑顔で送り出すことに集中しています」と曽山監督が語れば、今村も次のように話してくれた。
「曽山先生が声かけてみんなを笑顔にしてくれたのが1番大きいなって思います。あの笑顔がなかったら、多分あのまま0ー1だったかもしれない。やっぱり監督のおかげかなって思います。やってやるぞっていう気持ちになりました」
試合が開始・再開されるたびに曽山監督はじめスタッフが選手に声をかけ、笑顔にしてピッチへ送り出すことは今大会お馴染みの光景になっている。先制点を許したり、失点した後に必ず得点を奪えていることの要因のひとつになっていることは間違いのないところだ。笑顔を携えながらつかんだ4年ぶりの決勝である。