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[高校総体関東大会]決勝|十文字が土壇場で逆転優勝!新井萌禾主将が秘める"絶対に貫きたいこと"

トピックス Takuma Omori(みなサカ編集長)

2024年5月27日(月)
第13回関東高等学校女子サッカー大会 決勝
十文字 3(延長)1 鹿島学園
得点:[十文字]本多桃華(70分)、オウンゴール(81分)、小島世里(87分)、[鹿島学園]山本彩加(6分)



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令和6年度第13回 関東高等学校女子サッカー大会は5月27日、第一カッターフィールドで決勝が行われ、十文字(東京)と鹿島学園(茨城)が対戦。延長の末に十文字が3-1で勝利を収めた。

「攻撃としては絶対ファーストチャンスで決め切ろうっていうのを決めていた。それなのに失点してバタバタしちゃう時もあったりして、前半で決め切れるところを決め切れなかったりした。今年のチームは決めきれないと、試合の流れがそのままどんどん進んで悪くなっていっちゃうので、早い段階で取り返すことができなかったことが、1試合通して苦しかったのかなって思います」。

十文字のキャプテン、MF新井萌禾(3年)が試合を振り返ったように、開始早々の失点が試合の流れを決定づけた。

準決勝からメンバーを一新した鹿島学園は前線からプレスをかけると同時に、素早い帰陣でゴール前にブロックを作る。前半6分、前線からの守備が試合を動かした。鹿島学園は十文字陣内でボールを奪ったDF田口舞(3年)のパスを受けたFW山本彩加(2年)が右足でゴールネットを揺らして先制する。この得点により、攻める十文字・守る鹿島学園という構図が明確になる。

十文字は鹿島学園のプレスをかわしてボールを前に運び、ロングボールを駆使しながら相手最終ラインにくさびを打ち込んでいく。前線ではFW本多桃華(2年)がDFを背負いながらボールを収め、サイドからもゴール前へクロスを供給する。だが鹿島学園もゴール前の危険なエリアへの侵入は許さない。十文字の攻撃をはね返すと、すかさずラインを押し上げ、コンパクトな陣形を形成する。

前半11分、右SBの位置からゴール前に顔を出したDF根鈴花季(1年)が左からの折り返しを頭で合わせるが枠を捉えられない。0-1のまま前半を折り返す。前半に放ったシュートはわずか2本。決定機はこの1本だけだった。



前半途中に3枚替えを行い、MF上田璃奈(1年)・MF今ゆうり(1年)・DF澤田さくらアリーヤ(3年)を投入した十文字。後半スタートからはMF佐藤色(1年)を送り込み、攻撃のギアを上げていく。

そして後半開始早々の3分に決定機が訪れる。新井のスルーパスに反応した本多が左スペースから折り返すと、ゴール前に走り込んできた澤田のシュートがゴールポストを直撃する。

このシーンを皮切りに、引いて守る鹿島学園に対して、十文字が押し込む展開が続く。十文字は両サイドバックだけでなく、時にはセンターバックも最終ラインから攻撃に加わるなど、一方的な展開となっていく。それでも鹿島学園がゴール前で粘り強く守っていたが、ついに十文字がゴールをこじ開ける。時計の針は後半35分を指そうとしていた。

DF梅本恵(3年)が左サイド深い位置からマイナス方向へ折り返すと、DF福島茉莉花(3年)がシュート。このボールはポストに阻まれたが、こぼれ球を本多が詰める。十文字が土壇場で試合を振り出しに戻した。

1-1で延長戦に入ると、十文字の勢いは加速していく。延長前半こそタイスコアで折り返したが、後半に均衡が崩れる。延長後半1分にはDF小島世里(3年)が蹴ったコーナーキックが相手のオウンゴールを誘い、逆転に成功。同7分にはふたたび小島が左足でフリーキックを直接決めて、追加点を挙げる。終わってみれば3-1の勝利となった。

都予選につづき、関東大会も過密日程の中で勝ち抜いた。準決勝後には十文字のグラウンドに戻って関東女子サッカーリーグを戦い(0-4で敗戦)、翌日の決勝に臨んでいる。高校だけでなく、大学や社会人、そして4月に開幕したU18関東女子サッカーリーグではクラブユースとも対戦する。様々なタイプのチームと対戦することで考えさせられることも多いというが、キャプテンの新井には絶対に貫きたいことがあるという。それは自分たちのスタイルである。

「自分たちはもっと中を崩しながら経由して、早いテンポで距離感を近く打開していくスタイル。バイタルエリアの攻略だったり、中盤で剥がしたりするのは自分たちの武器なので、それは絶対貫こうっていうのと、守備は絶対前プレをかけて奪い切って、シュートにつなげたい。そこはどんな連戦でもどんな相手でも、自分たちのサッカーは絶対だと思うので、貫きたいっていうか、そのサッカーで全国に挑みたい」。

この連戦の中でチャンスを与えられ、台頭してきた選手も多い。例えば右サイドバックのポジション。シーズン開幕当初は澤田が出場することが多かったが、都予選決勝では今、関東大会では根鈴がスタメン入り。澤田は後半に切り札として投入されている。

「サブの子の層をもっと上げようと思ってます。今もだんだん出てきてる子が多くて、交代選手でも結構いい子が多い。選手層が厚くなってきてるから、どんどんチーム力が上がってきてるんじゃないかなと思います。全国ではもっと共通認識を持ってやりたい」。タレント集団を束ねるキャプテンは、チームに”共通理解”を浸透させ、一丸となってインターハイに挑む。
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